コンクリートの耐用年数

コンクリートの耐用年数は、60~65年とも70~100年とも言われています。
高度成長期が1955~1973(昭和30~48)年と言われており、その頃に作られたコンクリート構造物は40~58年も経っています。
したがってコンクリートの寿命ギリギリの構造物もたくさんあるわけで、これからの時代はこの対処も考えなければなりません。
まずは、その現象と原因について調べてみました。

(1)コンクリートの目に見える現象
コンクリートの目に見える現象としては、前のブログでも説明しましたが、再度上げると次のようなものがあります。
①ひび割れ ・・・・「クラック」「亀裂」とも言い、硬化したコンクリートやモルタルに生じた割れ目
②浮き ・・・・表面のコンクリートが内部コンクリートとの一体性を失いつつある状態
③剥離 ・・・・「浮き」の状態であったコンクリートが剥がれ落ちる状態
④ジャンカ ・・・・「豆板」とも言い、打設されたコンクリートの一部に粗骨材が多く集まってできた空隙の多い構造物の不良部分
⑤コールドジョイント ・・・・前に打設したコンクリートの後から重ねて打設したコンクリートが一体化しなくて不連続な面が生じること
⑥錆汁 ・・・・コンクリートの中の鋼材が腐食し、茶色や褐色の腐食物がしみ出した状態
⑦エフロレッセンス ・・・・可溶性物質が、水分とともに「ひび割れ」を通ってコンクリート表面に移動し、水分蒸発によって白く見えるようになったもの
⑧中性化 ・・・・炭酸カルシウムを生成し、PHが8.5~10程度になり「ひび割れ」等を助長する
⑨塩害・凍害 ・・・・「ひび割れ」や「剥離」を引き起こす
⑩アルカリシリカ反応 ・・・・「アルカリ骨材反応」とも言い、水酸性アルカリと骨材中のアルカリ反応性鉱物との間の化学反応でコンクリート膨張による「ひび割れ」が発生する
⑪科学的腐食 ・・・・有機酸の混入による膨張、溶解、および、「ひび割れ」や「剥離」
⑫たわみ ・・・・自動車や列車等の荷重により「ひび割れ」を発生する
⑬変形 ・・・・基礎地盤の沈下、移動、地山の変形
⑭疲労 ・・・・「疲労破壊」とも言い、材料の静的強度より低いレベルの荷重作用を繰り返し受けることにより、破壊に至る現象
⑮溶出 ・・・・コンクリート中のセメント水和物成分が水に溶解して「汚れ」や「エフロレッセンス」を発生する
⑯磨耗 ・・・・人や物の移動による床面の損傷等
⑰内部欠陥 ・・・・コンクリートの内部に生じた「ジャンカ」や「空洞」
⑱表面気泡 ・・・・「あばた」とも言い、コンクリート打設時に巻き込んだ空気等がなくならず残って露出したもの
⑲すりへり ・・・・交通車両の走行によるすりへり等
⑳汚れ ・・・・「変色」とも言い、コンクリート表面への「気泡」「ひび割れ」「剥離」「すりへり」「エフロレッセンス」等の表面への付着、さらにはコンクリート自体の変色

(2)コンクリートの強度低下の原因
①疲労
疲労はコンクリート建造物のうち橋梁などのように、もとからたわむ事を計算して設計された構造物に多くみられ、先に述べたように材料の静的強度より低いレベルの荷重作用を繰り返し受けることにより破壊に至る現象です。
②磨耗
磨耗には大きく分けて2つの磨耗があります。
一つは水路のような場合で、セメント質の部分が摩擦により削り取られ、骨材を支えきれなくなり、やがて骨材が外れるパターンの磨耗です。
もう一つは、過大荷重、衝撃荷重、地震力などで、衝撃が加わることによって割れて消失するという磨耗です。
原因としては、土石流が何度も繰り返し力を加えたり、土石がヤスリのような働きでコンクリート表面を削っていく動きです。
③ひび割れ
③-1熱膨張によるもの
セメントが硬化する場合、水和反応熱を発します。
これは躯体が厚いほど熱の発散効率が悪く、内部温度が上昇してコンクリートが膨張し、そのため収縮が大きくなって、大きな貫通ひび割れを起こします。
③-2太陽熱によるもの
完成した建物に直射日光を長時間受け続けるような日当たりのよい建物に見受けられる現象で、一定方向(南、南西方向の面)の壁面温度が高くなり、コンクリートが膨張します。
この場合、対地方向は拘束されているにもかかわらず、左右は開放されているために中央方向に向かって逆八の字の斜めひび割れが発生します。
ほぼ画一的に多数発生するのが特徴で、大規模建築物によく見られます。
④劣 化  
コンクリートのセメント分が化学反応を起こして劣化する現象を言います。
一般には特殊条件に置かれているコンクリートに起こります。
④-1酸によるもの
これは、後にも述べる中性化による劣化です。
コンクリートは強アルカリを示す物質で、コンクリート表面と酸性物質が接触した場合、その部分で中和反応が起こります。
中性化の場合には炭酸のような非常に弱い酸性物質のため、(遊離消石灰を中和する機能はあるが、セメント硬化体を破壊する機能まではない)コンクリートを表面から徐々に中性化し内部に向かって中和反応が進んでいきます。
また強酸と接触した場合には、遊離消石灰を中和するだけにとどまらず、セメント硬化体自身を中和して破壊してしまいます。
これが酸による劣化で、表面からやせ細っていくのが特徴です。 
温泉地帯や食品工場(酸を使わない食品工場でも、食品の腐敗の過程で生成する乳酸により劣化する)にみられる現象です。
④-2動植物油によるもの
この劣化には大きく分けて2種類の劣化があります。
ひとつは動植物油から遊離される酸によるものですが、この劣化過程は上記したものと同様です。 
もう一方は、コンクリート中の遊離消石灰と反応して、膨張、破壊するものです。
この劣化の特徴は、劣化の初期には何も外観上の変化はおきませんが、内部で膨張し、コンクリートを破壊します。
ただし、食品工場のように毎日洗浄が行なわれるようなところでは、内部に油脂が到達する前に表面が削り取られてしまうために、酸と同じような劣化状況を呈することがあります。
④-3硫酸イオンによるもの
コンクリートの硬化体中には、3CaO・Al2O3(アルミン酸3カルシウム、通称C3A)が存在しますが、ここにSO42-(硫酸イオン)が供給されると、3CaO・Al2O3・3CaSO4・32H2O(通称エトリンガイド)が生成します。
このエトリンガイドの膨張によりコンクリート内部から破壊されるのが、SO42-(硫酸イオン)による劣化で、温泉地帯や下水道の管渠などに見受けられます。
なお、下水道の管渠などは、酸とSO42-の複合した劣化現象が多々見受けられます。
④-4高温の状態によるもの
火災時は高温となるため、セメント水和物の脱水反応や熱応力が局部的にかかるため、コンクリート表面の剥離がおこります。
コンクリート全体を徐々に温めていけば耐えられる温度であっても、局部的に急激に熱がかかると表面が弾け飛びます。
④-5経年によるもの
特にモルタルやタイルの浮きなどの2種類以上のものの界面剥離という形でおこります。
⑤中性化
健全なコンクリートはセメントから遊離された消石灰(消石灰と言う名称は通称で、正式には水酸化カルシウム(Ca(OH)2である)を多量に含むため、一般にPHは12~13という強アルカリ性です。
コンクリートの中性化とは、アルカリ分が何らかの理由によって消失(減少)し、水素イオン量が増えていく現象のことで、アルカリ性のコンクリートがPH(水素イオン濃度)9以下に下がってしまった状態を言います。
コンクリート構造物は中性化しているうちは強度を保っていますが、これを通り越して酸性になると強度を失い崩壊してしまいます。
セメントが二酸化炭素と反応して炭酸カルシウムとなり、コンクリートが酸性側に傾き、中の鉄筋が錆びはじめていきます。
コンクリートの微細な空隙やクラックから、空気中の二酸化炭素(CO2)が雨にとけ込んだり、酸素が内部に入り、雨水に溶けることでいわゆる炭酸水を形成しセメントのアルカリと中和反応して中性化させます。
セメントが中性化すると表面 からボロボロになるだけでなく、鉄筋を錆びさせない強アルカリの作用も失われるため、鉄筋の発錆→鉄筋の膨張→コンクリート表面 の爆裂→露筋(錆びた鉄筋が見える)と進行します。
厳密な施工が行われていた第二次世界大戦以前のコンクリート構造物では、問題にならない緩やかな劣化とされていました。
⑥塩 害
塩害とは、コンクリート中の鉄筋が、Cl-(塩素イオン)が原因となって錆びる、または錆びて体積膨張をおこした結果、コンクリートを押し割っているような状態のことを言います。
Cl-の供給源としては、海砂の使用等によりコンクリート打設時に既に入っている場合と、構造物の表面から内部に侵入してくるもの(特に沿岸部の構造物に見られる現象)の2通りがあります。
そして、錆びはもとの体積の2~4倍となり、ヒビ割れなどを起こさせます。 
この塩害は、大きな川を持たない西日本を中心に特に問題になっています。
1970年代からの建設ブームのため川砂が採り尽くされ、瀬戸内海を中心とした海砂がコンクリートに使用されました。
塩抜きと呼ばれる撒水による除塩が現在では義務づけられていますが、100%は難しく、海砂中の塩化物が作り出すアルカリが、アルカリ骨材反応の劣化を増幅させます。
⑦アルカリ性骨材反応
骨材のシリカ、シリケート、炭酸塩により、アルカリシリカ反応などが起こりゲルが生じ、これが水を吸って膨張し、ヒビ割れが起きコンクリートの強度が弱まります。
以上のことが相互的に進んで寿命がきます。
大きなダムが破壊すれば、土石流災害の供給源となってしまいます。
セメントのアルカリ性と骨材として使われる特定の砂利に含まれる鉱物が、水分の介在により反応し膨張し、その内部からの力によりコンクリートが破壊される現象です。
1950年代にアメリカで発生が報告されましたが、建築専門家の間では、日本では発生しないものとしてあつかわれていました。
1984年にNHKが、建築後10数年のマンションの老朽化を「雨漏りマンション」と報道し、名前が一般 に知られるようになりました。
1982年、大阪の阪神高速道路公団堺線の橋脚において発見され、行政レベルでも発生していることが確認されました。
2003年3月、国土交通省はコンクリート脚縦軸方向の鉄筋破断がアルカリ骨材反応によって発生していることを明らかにしました。
⑧水セメント比と施工不良
コンクリート中のセメントと水の比率は、セメントと水の化学反応に必要以上の水を入れることで、ドライアウトと呼ばれる早期硬化不良や異常収縮により0.3mm以下とされる許容を超えたクラック(いわゆるひび割れ)、コンクリート中に微細な空洞が発生するなどし、強度不足と耐久性不足を起こします。
1960年頃から広く使われるコンクリート打設時のポンプ施工は、パイプの目詰まりを防いだりする目的でコンクリートの流動性を持たせるために余分な水を加えることが多く見られます。
鉄筋にどれだけのコンクリートが覆っているか、鉄筋の接合不良、鉄筋の量 的な不足(手抜き)と併せて、現場施工管理の問題もあります。
作業性をよくするためコンクリートに水を追加したときは、セメントも追加する必要がありますが、厳密にやられていないのが現状です。
アメリカでは、コンクリートを打設する現場に、第三者の鑑理官が立ち会うことが制度化されるほど重視されています。
⑨凍害
凍害とは、コンクリート中の毛細管や内部に存在する空洞等に水が侵入し、その水が凍結することにより体積膨張をおこしコンクリートを押し割ってしまう現象を言います。
これは寒冷地における建造物でコンクリート表面を防水被覆していない場合によく見受けられます。
⑩乾燥収縮
新築時でも発生するひび割れ現象で、コンクリートは作業性向上のため、セメントの硬化に必要な量以上の水で混練りしている。このためコンクリートが乾燥する際に体積減少(収縮)を起こし、ひび割れが発生します。
この現象は、収縮による負荷がコンクリートのもつ引張り強度を上回った場合に発生します。
建築物の開口部の四隅に斜めに発生するひび割れや、誘発目地に発生したひび割れなどがあります。
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