橄欖岩と蛇紋岩の違い

橄欖岩と蛇紋岩の違いについて調べてみました。

(1)橄欖岩と蛇紋岩の違い
私たちが地表で眼にする場合には、橄欖岩より蛇紋岩の方がよく見かけます。
これは、橄欖岩はマントル上部を構成する岩石の一つであり、そのほとんどが地下深くに存在するためです。
地表で見られるものには、地殻が捲れあがってマントル物質が地表に現れたものや、マグマ等が急激に上昇する際に、捕獲岩として運ばれてきたものがあります。
他の超塩基性岩類や塩基性岩などと共にオフィオライトの一部を構成することが多いのが特徴です。
そして、橄欖岩は変成作用を受けやすく、地表で見られる場合には、蛇紋岩に変化している場合がほとんどと考えられているためです。

(2)橄欖岩とは
橄欖岩(かんらんがん、 peridotite、ペリドタイト) は火成岩(深成岩)の一種で、SiO2 成分に乏しい超塩基性岩に分類されています。
主に橄欖石から成り、そのほかに斜方輝石、単斜輝石などを含んでいます。
低圧では斜長石橄欖岩、中圧ではスピネル橄欖岩、高圧では柘榴石橄欖岩となります。
色は橄欖石の色を反映した明るい緑色をしています。
粗粒であるために、一つ一つの鉱物がはっきり肉眼で確認できることが多いのが特徴です。
そして、岩石に含まれる鉱物量比により、さらに4つの岩石に分類されています。
①ダン橄欖岩
ダン橄欖岩(dunite、ダナイト)は、橄欖石が全体の90%以上を占めるものを言います。
②斜方輝石橄欖岩
斜方輝石橄欖岩(harzburgite、ハルツバージャイト)は、橄欖石を50%以上含む岩石のうち、斜方輝石に富むものを言います。
③単斜輝石橄欖岩
単斜輝石橄欖岩(wehrlite、ウェールライト)は、橄欖石を50%以上含む岩石のうち、単斜輝石に富むものを言います。
④複輝石橄欖岩
複輝石橄欖岩(lherzolite、レールゾライト)は、橄欖石を50%以上含む岩石のうち、斜方輝石と単斜輝石の両方が伴われるものを言います。
複輝石橄欖岩が部分溶融して玄武岩質マグマを生成すると考えられています。

(3)愛媛県の橄欖岩
愛媛県での橄欖岩の分布位置と特徴を調べました。
① 東赤石山周辺の岩体
一番広く分布しているのは、新居浜市にある標高1706.6mの東赤石山(ひがしあかいしやま) の山頂付近です。
暗緑色~灰緑色で、ち密質塊状のダン橄欖岩(ダナイト)~単斜輝石橄欖岩(ウェールライト)として分布しています。
②八幡浜南方の岩体
八幡浜南方にも小岩体があります。

(4)蛇紋岩とは
蛇紋岩(じゃもんがんserpentinite)はその名前のように、暗緑色~黄緑色の、蛇の皮のような模様をした岩石です。
特に美しい蛇紋岩は貴蛇紋岩と呼ばれ、彫り物や装飾用の石材としても使われています。
地学的には、蛇紋石を主成分とする岩石を蛇紋岩と呼んでいます。
この蛇紋石は鉱物名であり、Mg(Si2O5(OH)4の化学組成を持つ鉱物族です。
したがって、蛇紋岩はマグネシウムを多量に含む岩石です。
蛇紋岩は、愛媛県では分布範囲は狭いのですが、地すべり地帯などではよく見かけます。
つるつるしていて硬く、いかにもすべりそうな岩石です。

(5)蛇紋岩のできるまで
蛇紋岩は、橄欖岩や輝石が水を含んで変質してできた岩石です。
橄欖岩は、二酸化ケイ素が他の火成岩にくらべてずっと少ない(45%以下)超塩基性岩で、マグネシウム、鉄などを多く含んでいます。
地殻は、大陸が花崗岩や安山岩のように二酸化ケイ素が多い岩石、そして海洋が玄武岩のように二酸化ケイ素が少ない岩石からできており、橄欖岩のように酸化ケイ素が少ない超塩基性岩はあまり存在しません。
超塩基性岩は、地殻の下のマントルをつくっている岩石となります。
そして、橄欖岩や輝石が熱水と作用する時、ある温度条件より上だとマグマになりますが、それ以下だと蛇紋岩になります。
つまり、一般にマントルを構成している橄欖岩が何らかの理由で上昇してくるとき、大量の水分を含むと、 橄欖岩に含まれている橄欖石という鉱物が蛇紋石に変質します。
この蛇紋石がいっぱい詰まった岩石が蛇紋岩です。
蛇紋岩は、超塩基性岩から蛇紋岩化作用で生成されますが、源石の橄欖石、輝石などが残存していることがあり、また、源石の鉱物の仮像を示すものもあります。
その場合、橄欖石から変わった蛇紋石は一般に網目状組織を示し、斜方輝石から変わったものはバスタイト組織を示すものが多く見られます。
そして、蛇紋石化は、一般に、橄欖石>斜方輝石>単斜輝石の順に受けやすいと言われています。

(6)蛇紋岩の特徴
蛇紋岩は蛇紋石の他にクロムやニッケルを含んでいることが多く、クロムは比較的多量に含まれていますが、難溶性の鉱物中に含まれており、植物の生育に害を与えることは少ないが、ニッケルは時として植物に障害を与えることになります。
また、多量に含まれるマグネシウムが植物の水分吸収能力を低下させるとも言われています。
蛇紋岩が風化して形成される土壌は明るい赤色となり、土壌粒子間の結合が弱いために土壌中に水分を含むと液状化や地層の流動を起こしやすいのも特徴です。
このために、蛇紋岩を含む地層がある地域では、大規模な斜面の崩落や地すべりが発生しやすいことにもなります。
また、岩石の表面は、スメクタイトなどの粘土鉱物を含み平滑状となっていることが多く、断層などのすべり面には強い鏡のような光沢(鏡面反射)が形成されることもあります。

(7)愛媛県の蛇紋岩
愛媛県での蛇紋岩の分布位置と特徴を調べました。
① 東赤石山周辺の岩体
一番広く分布しているのは、新居浜市にある標高1706.6mの東赤石山(ひがしあかいしやま) の山頂付近です。
この山頂の表面は、酸化のため赤褐色をしており、それが「赤石」の名の由来だそうです。
赤石地域の蛇紋岩は、露頭部分はどこも堅くて緻密で岩体の規模も大きいのが特徴です。
また、東赤石山の周辺にもレンズ状に分布しています。
東端は、四国中央市富郷町から、西は新居浜市鹿森ダム周辺~西条市市之川付近までスポット的に分布しています。
②西予市城川町の黒瀬川構造帯
愛媛県の四国山脈を挟んで、高知県との県境付近の黒瀬川構造帯でも分布しています。
黒瀬川構造帯は前回のブログでも述べましたが、古生代の寺野変成岩類や、三滝火成岩類及び岡成層群、そして蛇紋岩より構成され、愛媛県では西予市城川町を中心に小規模に分布しています。
西予市城川町窪野~西予市城川町嘉喜尾~西予市野村町野村まで分布し、黒瀬川構造帯レンズ状部に沿って、レンズ状~岩床状に、また大野原石灰岩層の南側から西南側にかけても岩床状に分布しています。
色調は、黒緑色~灰緑色で圧砕され、著しく片状となり細片化し、しばしば脂感を有しています。
③八幡浜南方の岩体
八幡浜南方にも大小の岩体があります。
八幡浜市八代~八幡浜市川上町川名津にかけてと、西予市三瓶町和泉~頃時鼻までの飯之山周辺です。
岩質は軟弱、片状で、色調は、暗緑色~灰緑色で、細粒、脂感のある岩石です。
④宇和島市津島町の貫入岩脈
宇和島市にも、津島町山財谷北方の断層に沿って貫入した幅10~15mの岩脈があります。
黒緑色~緑色~灰緑色などを呈し、ち密ですが割れ目の発達する部分もあります。

(8)東赤石山の愛媛閃石
愛媛県新居浜市東赤石山で新種の角閃石、愛媛閃石(Ehimeite)が発見されました。
今年にはIMA(国際鉱物学連合)に承認されるようです。
化学組成はNaCa2Mg4Cr(Si6Al2O22)(OH)2、角閃石でクロムを主成分として含むものは今回発見された愛媛閃石が初となります。
東赤石山は三波川変成帯に分類される地質帯にあり、各種結晶片岩が四国北半分に東西方向に広がる中で、山の中心部は、先に述べた橄欖岩・蛇紋岩などの超苦鉄質岩の団塊から成り立っています。
東赤石山は通常の結晶片岩よりもさらに高圧で変成された超高圧変成岩であるエクロジャイト(eclogite)が見つかることや、結晶片岩中の橄欖岩の団塊から日本初のダイアモンドが見つかるなど、鉱物学の記載にとどまらず広域変成岩上昇の仕組みなど、地球科学全体の研究進展に貢献しました。
そして、今回の愛媛閃石の発見は橄欖岩中の正マグマ鉱床に産するクロム鉄鉱が熱水変質してできたできたとされています。
東赤石山は火成岩貫入による変成作用を受けたわけではないので、愛媛閃石は、特別に高温という条件でできたのではなく通常の地熱による熱水の変成でできたのかと思われています。
そういった地質条件は東赤石山に限ったものではなく、日本各地に点在する小規模な蛇紋岩中のクロム鉱床が変質した場所や、蛇紋岩などの超苦鉄質岩の近くにある熱水鉱床の変質帯などで愛媛閃石が形成される条件が整っている可能性も考えられます。
愛媛閃石を通じて、このような形成条件が愛媛県から発信できたのはすばらしいことと思います。


   少し黒っぽい橄欖岩です。
   この岩石は、橄欖石が全体の90%以上を占めているダン橄欖岩(dunite、ダナイト)です。
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