擁壁の種類

道路や造成地などでは擁壁がよく施工されています。

(1)擁壁とは
擁壁(ようへき)は、切取りや盛土をした法面(斜面のこと)が、自然のままでは土の圧力で崩壊するおそれのあるときに、土圧に抵抗して土の崩れるのを防ぐためにつくられる壁状の構造物のことです。
したがって、土壌の横圧などから斜面の崩壊を防ぐために設計・施工され、土を切り取った壁や盛り土を保持するために設けられることもあります。
この擁壁ですが、いろいろな種類があります。

(2)材料別区分
材料で分けると、
①コンクリート(RC)擁壁
②ブロック擁壁
③石積み擁壁
この3種類が主ですが、近年では、コンクリートの擁壁がほとんどになっています。

(3)形状や力学からの区分
そして、形状や力学から次のような種類の擁壁があります。
①空積み擁壁
空積み擁壁(からづみようへき)は、石やコンクリートブロックを積み上げて、その間にセメントやモルタルなどを充填しないものです。
高低差が少ない場所に設けられる。高低差が大きい場所に設置されると、崩壊する危険もあるほど壁自体の強度が低く、現在の基準には適合していません。
2~3段程度の庭の小段とかの造園用などで利用されています。
②練積み擁壁
練積み擁壁(ねりづみようへき) は、材料によりブロック積擁壁、石積み擁壁等に分けられます。
モルタルやコンクリートを接着剤や固定材に用いて、石又はコンクリートブロックを積み上げた簡易な擁壁のことで、一般に石積み、ブロック積みと呼ばれています。
大きなものになると、下部にコンクリートを打って堅固な基礎を構築しています。
石やコンクリートブロックの重量で横圧に抗しているという点では、空積み擁壁も、練積み擁壁も重力式擁壁の一部であるとも言われています。
1950年~1960年代に建設された建物に設置された擁壁に多く造られた大谷石積み擁壁は、見た目の味はありますが、風化しやすく、時間が経つとともに劣化しやすい欠点があり、現在の基準には適合していません。
③重力式擁壁
重力式擁壁(じゅうりょくしきようへき)は、構造物の自重によって背面の土圧に抵抗する形式の擁壁のことです。
重い材料で構築されており、たいていの場合、安定性を改善するために下部が前に、上部が奥になるような、斜めの構造になっています。
通常は無筋コンクリートで、基礎地盤が良好な場合に使用されます。
重力式擁壁を直接斜面に施工できない場合に、斜面から離れた場所に構築して崩壊時の土砂を受け止めるものを待受式擁壁(まちうけしきようへき)と呼んでいます。
④もたれ式擁壁
もたれ式擁壁(もたれしきようへき)は、地山もしくは裏込め土にもたれた状態でその自重により土圧に抵抗する擁壁のことです。
重力式に似ていますが自立せず、地山にもたれかかるようにコンクリートを打って作られるように、地山と裏込め土からの土圧でバランスして立っている擁壁で、背後の地山が比較的安定している場合に使用します。
通常は無筋コンクリートが使われることが多いのですが、石積みやレンガなどで作られる場合もあります。
⑤半重力式擁壁
半重力式擁壁(はんじゅうりょくしきようへき)は、重力式擁壁と鉄筋コンクリート片持梁擁壁の中間形式の擁壁のことです。重力式擁壁と同様に自重により背面の土圧に抵抗しますが、コンクリート量を節約するために壁体の壁厚をやや薄くし、これにより壁体に発生する引張応力を鉄筋で抵抗させています。
⑥片持梁式擁壁
片持梁式擁壁(かたもちばりしきようへき) は、擁壁底部にかかと版を付け、その版上の土の重量で底版を固定して、片持梁と同様に水平方向の土圧を支える擁壁のことです。
かかと版の形状によりL型擁壁 (L型擁壁・逆L型擁壁) 、逆T型擁壁があります。
L型擁壁と逆L型擁壁の大きな違いは、L型擁壁は、L字のくぼみ部分に土を乗せられますが、逆L型擁壁は、土が乗せられません。
また、L型擁壁と異なり、逆L型擁壁は土の重み分が無いことから、擁壁としての強度を保持するためにL字の底辺部分から地中に杭を打ち込むような仕組みが必要な場合もあります。
逆T型擁壁はL型擁壁の底の一部が飛び出した形状になり、L型よりも構造上高いものになり、用地の広さがL型擁壁よりも必要になります。
重力式擁壁に比べて使用する材料が少なくて済み、床掘量も少なく、工場製品であり品質が安定し、工期が短縮できる等の特徴があります。
⑦控え壁式擁壁
控え壁式擁壁(ひかえかべしきようへき)は、逆T型、L型擁壁の縦壁の背面に控え壁を設けた擁壁のことです。
鉄筋コンクリート構造で壁高7m以上によく用いられ、片持梁擁壁よりも縦壁の壁厚を薄くすることができ、経済的な断面となります。

(4)施工場所による区分
擁壁を作る場所によっても種類があります。
①現場打ち擁壁
現場でコンクリートを流して作る擁壁の総称のことです。
現場で擁壁の形を作るため現地にあった形の擁壁を作ることが出来ます。
ただし、現場での鉄筋を加工するなどの作業が必要となり、熟練工が必要となります。
②プレキャスト擁壁
工場で擁壁を作成して現場で据え付ける擁壁のことです。
現場では据え付け作業のみとなるため、作業の省力化が出来ます。
ただし、現場での加工は困難なため複雑な形の擁壁や、特殊な地盤に設置する擁壁には向きません。
この場合は現場打ち擁壁との併用を行います。


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