海洋での発電

原子力発電に代わるエネルギーとして、一般に知られている発電は太陽光発電や風力発電がありますが、海洋がらみの再生可能エネルギーもあります。

(1)海洋での発電の種類
海洋での発電エネルギーとしては、
①海洋温度差(OTEC)発電
②波力発電
③潮汐(潮力)発電
④海流(潮流)発電

などが挙げられます。
発電に使うのが可能かどうか検証してみましょう。

(2)海洋温度差発電
海洋温度差発電(かいようおんどさはつでん)はOTEC(Ocean Thermal Energy Conversion) とも言い、海洋表層の温水と深海の冷水の温度差を利用して発電を行う仕組みです。
深海の温度は1年を通してほぼ一定に冷たい状態ですが、海の表面は太陽エネルギー(つまり日光)によって暖かくなっています。
そして、温度差はほぼ一定であるため、深海の冷たい水と、表面の温かい水との温度差を利用して、その熱落差を電気エネルギーに変換する発電方式です。
この海洋温度差発電の原理は1881年に、フランス人科学者のダルゾンバール(J. D'. Arsonval)が最初に考案しました。
その後、1970年代の石油ショックをきっかけに、特に日本とアメリカにおいて本格的な研究が行われるようになりました。
フロンやアンモニアといった気化しやすい作動媒体を熱の交換に用い、暖かい海水で液体を蒸発させタービンを回し、冷たい海水で作動媒体をもとの状態に戻すシステムです。

1)海洋温度差発電のメリット
①クリーンで再生可能なエネルギー
クリーンで再生可能な海水のみをエネルギー源としています。
②多量なエネルギー
地球上の70%を占める海水の持つ潜在的熱エネルギー量が膨大であり、建設可能な国は98カ国に及び、1兆KWの発電が可能であると見込まれています。
③安定したエネルギー
年間を通じて安定した電力供給が可能になります。
これは、風力発電や太陽光発電などの自然エネルギーを利用した発電では天候に左右されて連続運転が困難であることに比べると安定しています。
④地球環境問題に貢献
CO2の排出が他に比べ極めて少ない発電方式です。
また、海洋温度差発電で用いた深層海水は、サンゴや海藻類を増殖するので、CO2を固定化することができます。
⑤複合利用も可能
発電と共に持続的に海水淡水化や水素製造、リチウム回収などの複合利用も可能です。
情報化社会に不可欠なリチウムイオン電池の原料であるリチウムは100%輸入に頼っているのが現状なので、海水からリチウムが回収できれば大きなメリットです。
また、発電の際に利用する海洋深層水には、乱獲や環境変化で水産資源が減少している魚場の回復や、持続可能な水産資源の確保を目指した海洋牧場への利用といった他の様々な利用可能性も期待されており、既に、多くのプロジェクトが進められています。

2)海洋温度差発電のデメリット
①海水表面と深海の温度落差
一番問題なのが、海水表面と深海の温度落差です。
海水面の温度は、大気との接触によって拡散され平均28℃内外であるのに対して、深海の温度は平均10℃であり、その差は18℃しかありません。
一方、火力発電では、給水ポンプ入口で約30℃~40℃に対して、高圧タービン入口では285℃であり、245~255℃の差があります。
温度差は、仕事量を決定するエンタルピーに大きな影響を与えますから、その差は歴然です。
②コストが高い
数100kW 以下の規模では、コストが高く、発電のみでのコスト回収は困難であるため、海洋深層水利用などとの複合利用でないと採算がとれません。
1000kW規模では、太陽光発電並みの発電コストです。
離島など、ディーゼル発電を用いている地域では、それと併用することで、双方のメリットが活かせるとされています。
③取水管が長くなる
陸上プラントは海底の地形に沿って取水管を設置しなくてはならないため、その長さは長くなります。
そのため、経済性を確保するためには、急な海底斜面の場所が必要です。
④海流の邪魔
規模が大きいものだと、海流の邪魔をするとも考えられています。
⑤まだ実験段階
まだ実験段階であり、実用化が進まないのは、それだけのリスクが大きい割には他の自然エネルギーを利用した方法よりも発電量が得られないからだと思います。

(3)波力発電
波力発電(はりょくはつでん)は、主に海水などの波のエネルギーを利用して発電する発電方法で、
①海流を利用したもの
②波の上下振動を利用したもの
③ジャイロ式発電タイプ
④人工筋肉により発電するもの

まで様々なタイプのものがありますが、基本は②の海面に浮かべて波の上下運動による空気の移動などでタービンを回すのが主流です。

1)波力発電のメリット
①クリーンで再生可能なエネルギー
クリーンな波力をエネルギー源としています。
自然のエネルギーを利用するために、なくなる心配もありません。
②発電量の変動が少ない
波力の場合は、風力ほど大きな変動は無く、したがって大きな出力低下のリスクは風力ほど大きくはありませんので、発電量に見通しがつけやすくなります。
発電に最適な地理条件さえ確保できれば、比較的安定的な発電方法です。
③狭い面積で発電できる
1k㎡の面積で3万kWを発電できます。
面積あたりのエネルギーは、太陽光の20~30倍、風力の5~10倍です。
④環境の問題がない
発電時に二酸化炭素などを出さないため、環境にやさしいエネルギーです。

2)波力発電のデメリット
①コストが高い
費用がかかる理由として、浮力式などは1基当りの発電量が小さく多数設置しなければ所定の電力が得られないため、発電量に対しての設置費用がかかります。
具体的な費用などについては、積算していませんが、風力や太陽光に比べても発電量に対するコストがかかりると思います。
②破損などでの修理費がかかる
波力発電のための装置は、激しく変化する海洋気象に耐えなくてはならず、激しい台風による高波や高潮にも耐える必要性があります。
しかし、海面という不安定な位置に多数設置するため、荒天時に漂流物や発電機同士の接触などで機器が破損しやすく修繕費がかかります。
③メンテナンスが必要
フジツボなどの水棲生物が発電機に付着して効率が落ちたりするので、頻繁にメンテナンスおよびその費用が発生します。
④漁業関係者からの反対
海洋生物への影響という点では、海面に機器が設置されることにより太陽光が海中に届かなくなります。
その結果プランクトン類が減少、それらを餌にする魚も減少することになると思います。
海洋生物に影響が出るということで、漁業関係者からは当然設置に対して異論がでることや、結構な面積を占有することで船の運行の邪魔になるなどの理由で反対運動は起こると思います。
⑤まだ実験段階
将来性は高いとは言われていますが、まだ実験段階であり、実用化が進まないのは、それだけのリスクが大きい割には他の自然エネルギーを利用した方法よりも発電量が得られないからだと思います。

(4)潮汐発電
潮汐発電(ちょうせきはつでん)は、潮力発電(ちょうりょくはつでん)とも言い、潮汐流(潮汐による海水の移動)が持つ運動エネルギーを電力に変える発電です。
海水には潮汐力が働き、そのため時刻によって潮位が変動します。
このような潮の干満を利用した発電で、原理的には低落差の水力発電です。
入り口の広い湾内あたりの干満の落差の大きい場所に堤防を作り,満潮時に水門を開いて貯水池に海水をため,干潮時に放流しつつ発電を行う方法で、満潮時の充水時にも発電を行う2方向の発電方式も考えられます。
そのため、満潮時には堰を開放し、湾内に海水を導入し、干潮時に堰を閉鎖し、海水をタービンに導入、このタービンの回転力を利用して、発電機を回します。

!)潮汐発電のメリット
①クリーンで再生可能なエネルギー
潮汐現象をエネルギー源としていますのでクリーンです。
自然のエネルギーを利用するために、なくなる心配もありません。
②発電量の変動が少ない
潮の満ち干きや潮流は場所によって決まっているので、風力ほど大きな変動は無く、したがって大きな出力低下のリスクは風力ほど大きくはありませんので、発電量に見通しがつけやすくなります。
③稼動している発電所がある
フランスのランスに24万kWの潮力発電所が建設され、建設には3年かかり1967年以来運転されています。
今のところ海洋エネルギーを発電に利用し電力系統に供給している唯一の例ですが、低落差で効率よく発電できる水車などが開発されれば実施例が広がるものと思われます。
建設費は全体で6億2000万フラン(日本円で570億円)くらいです。
アジアでは韓国西海岸の江華島で最大出力812Mwの潮力発電所建設計画が進行中です。
約2300億円をかけ、江華島と3つの島を全長7795mの堰で結びます。
ここに水力発電機32基を設置し発電します。
発電開始は2015年の予定で、もちろん、完成すればランス潮力発電所を遥かに超え、世界最高出力となります。
④環境の問題がない
発電時に二酸化炭素などを出さないため、環境にやさしいエネルギーです。
⑤エネルギーの集中が可能
水の密度が充分大きいためエネルギーの集中が可能です。

2)潮汐発電のデメリット
①大規模な潮汐発電所の設置に適した箇所が無い
日本では、鳴門海峡、津軽海峡、関門海峡など潮流の激しい地形で水平型水車を回す研究が進められており、北九州市と九州工業大学は、関門海峡で2011年度から実証実験を開始し、大間崎などでも検討されています。
しかし、たとえ干満の差の大きいところであっても、大規模な潮汐発電所の設置に適した箇所が無いことから、それほど普及していません。
②維持管理費がかかる
貝などの付着の除去や機材の塩害対策等に維持管理費がかかります。
③耐用年数が短い
常時、水流や塩分、嵐や波にさらされるため、設備の機能維持が長期間できるかという問題があることです。
修理するにしてもコストが高いと商用利用が困難になります。
このことより、耐用年数は5~10年と短いと想定され、コストパフォーマンスが悪くなります。
④漁業関係者からの反対
漁業権や航路等から反対運動が起こることは考えられ、また設置できたとしても様々な制約から設置場所が制限されることなどがあります。
⑤生態系に悪影響
堰による発電は水の交換を邪魔するため、生態系に悪影響を与える可能性があります。

(5)海流発電
海流発電(かいりゅうはつでん)、または潮流発電(ちょうりゅうはつでん)は、海流による海水の流れの運動エネルギーを水車、羽根の回転を介して電気(電気エネルギー)に変換させて発電させる方式で、海中に設置したプロペラを潮の流れで回して電気を起こすというものです。
エネルギー変換効率は20~45%と比較的高く、潮汐発電とともに、海水を利用する発電であり、海流を海水の流れとすれば、潮汐流による潮汐発電も海流発電の一種となります。

1)海流発電のメリット
①クリーンで再生可能なエネルギー
海水をエネルギー源としていますのでクリーンです。
自然のエネルギーを利用するために、なくなる心配もありません。
②発電量が大きい
2008年2月に明石海峡で行なった実験では、長さ1.2m、回転直径65cmのプロペラを使い、秒速1.5mの流れのなかで200ワットの発電に成功しています。
もし、東シナ海に長さ25m、回転直径16mのプロペラを4つ付けたブイを800基設置すれば、黒潮の流れにより、160万kw(24時間の発電で約380万世帯分)の発電が可能になると言われています。
原子力発電所の1機分の発電能力が120万kw程度ですから、それ以上の規模になります。
③安定した発電量
風力発電と異なり、海流はより安定した流れを持っています。
また、空気よりも密度が大きい(約800倍)ので、流れが遅くても単位面積当たりの力は風力発電より大きいです。
④景観や航行に問題なし
海中なので、人目に付かないためたくさん作っても問題有りません。
深さが調節できるので航行の支障にもなりません。
⑤台風の影響なし
台風などが来ても、10m以下の海中では台風による影響はほとんどありません。

2)海流発電のデメリット

①設置場所が限られる
どの海流でも発電できるものではないです。
例えば、黒潮は世界で最も早い海流ですが、ルートの変動が年によって異なります。
②耐用年数が短い
常時、水流や塩分、嵐や波にさらされるため、設備の機能維持が長期間できるかという問題があることです。
修理するにしてもコストが高いと商用利用が困難になります。
このことより、耐用年数は5~10年と短いと想定され、コストパフォーマンスが悪くなります。
高速の海流がある海中の構造物の耐久度の研究が必要です。
③漁業関係者からの反対
海流は陸地から離れていますが、潮流は陸地に近い所にありますから漁業権や航路等から反対運動が起こることは考えられます。
④破損などでの修理費がかかる
貝などの付着の除去、機材の塩害対策等で維持管理費がかかります。
発電コストも原発のおよそ4倍だそうです。
⑤まだ実験段階
将来性は高いとは言われていますが、まだ実験段階であり、実用化が進まないのは、海流の持つエネルギーがあまり目立たなかったため、アイデアがあまりでなかったのが、研究の遅れだとも考えられています。

(6)将来の海洋での発電は
私が調べた結果では、海流発電が日本の人口と、設置場所は適していると思います。
それに、台風などが来ても、10m以下の海中では台風による影響がほとんどないのは魅力です。
あとは地元の理解をいかに得て、より経済的な設備を造るかにかかっています。
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