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地熱発電について

地熱発電は、太陽光発電や風力発電とともにクリーンエネルギーです。
日本国内での地熱の理論的埋蔵量である「賦存量」は約3300万kw(世界第3位)と言われています。
発電出力換算で2000万kwを超える未利用資源をすべて活用した場合、原子力発電所15基分以上に相当するとの試算もあります。
地形や法規制等の制約条件を考慮した導入ポテンシャルでも約1420万kwで、これでも10基分以上です。
こう考えると、日本は火山を多く有するので地熱発電に向いていると思うのですが、日本全体の総発電量の約0.2%しか担っていません。
下図にあるように、514.7MW(約51万kw)のみです。
今の現状では、原子力発電所の原子炉1基分にもなっていません。

(1)今までの地熱発電
地熱発電は、太陽光発電や風力発電に比べ1年中安定したエネルギーを生み出すことができます。
だから、日本の地熱発電建設には、これまで2度のブームがありました。
日本で地熱発電所が建設されるきっかけとなったのは、戦後の電力不足でした。
これを受けて1966年、日本初の本格的な地熱発電所となる松川(岩手県)が発電を始めました。
翌年には大岳(大分県)が続きました。
この第1次ブームは、世界の地熱先進国に比べてもそれほど後れを取っていませんでした。
第2次ブームは1970年代の石油危機です。
三菱マテリアルや出光興産といった企業が参入し、国も代替エネルギー開発の「サンシャイン計画」で後押ししました。
その結果、1990年代に9基計32万キロワットが加わる「地熱ラッシュ」を迎えました。
ただ、温暖化対策や国産エネルギー確保を求める声を背景に開発が続いた海外とは、その後が異なったようです。国内では1999年に東京電力が運転を始めた八丈島(東京都)を最後に新規立地がありません。
現在では、3度目のブームが到来する気配が漂ってはいますが、いろいろな難題もあります。

(2)地熱発電のメリット・デメリット
まずは、地熱発電のメリットを調べてみました。
1)地熱発電のメリット
地熱発電のメリットですが、最も優れているメリットは環境性能だと思います。
蒸気を発生させるのに化石燃料を必要としないため、二酸化炭素の排出量がとても少なく、また、火山がたくさんある日本にとって大きな電力を生み出せる可能性の高い方法であるという点も魅力的です。
①公害を発生させない
単位発電量当たりのCO2の発生量が火力発電と比較して20分の1と小さいことです。
②再生可能なエネルギー
地熱という地下のエネルギーを使うため、化石燃料のように枯渇する心配が無く、長期間にわたる供給が出来ます。
③安定したエネルギー
太陽光発電や風力発電に比べ、季節や気象条件の変化による影響を受けにくく、また昼夜を問わず坑井から天然の蒸気を噴出させるため、発電も連続して行われ、1年中安定したエネルギーを生み出すことができます。
また、原子力発電と違い、需要に応じて発電量を変えられます。
④高温蒸気・熱水の再利用
発電に使った高温の蒸気・熱水は、農業用ハウスや魚の養殖、地域の暖房などに再利用ができます。
⑤発電単価の低減
長時間地下熱源からの蒸気噴出がなされれば、発電単価は一般火力並みかそれ以下まで低減します。
⑥純国産のエネルギー資源
貴重なエネルギーを国産で採掘できることから、原油や天然ガス、ウラン等の燃料価格の変動リスクがありません。

2)地熱発電のデメリット
今度は逆にデメリットです。
やはり、開発費用と地元の反対が大きいようです。
①開発に多大な費用と年月
地熱発電は、いったん発電所ができれば燃料代がほとんどかからず、うまくやれば資源を長期利用出来ますが、一方で、700mから3,000mくらいの深井戸を数本掘らないといけないので、井戸1本の掘削費用は数億円単位です。
また、掘削しても地熱貯留層に当たらないなど、開発リスクも高くなります。
建設費は、出力5万kwの標準的な発電所で約300億円かかり、事業費は約350億円もかかります。
環境調査などの手続きも多く、計画から発電まで10~15年かかるのが一般的です。
②温泉への影響・温泉地の景観への影響
候補地の多くが温泉地・または温泉地周辺であることが多く、一部の温泉業者の間で、地熱開発に対して「温泉の湯の量が減る」との懸念は根強いものがあります。
熊本、大分県境で計画された小国地熱発電所は「温泉が枯れる」との反対で用地取得ができず、2002年に計画中止に追い込まれたケースもあります。
また、人工構築物及び白煙によって景観が損なわれることもあります。
③候補地の多くが国立公園や国定公園に指定
国立公園内では開発ができないことになっているようです。
1972年、当時の通産省公益事業局長と環境庁自然保護局長とのあいだで「地熱発電の開発に関する了解事項」がかわされています。
国立公園や国定公園での地熱発電所の建設を、既存と計画済みの6カ所に当面限る内容です。
地熱発電が見込める地域の約8割はこの区域内と言われており、了解事項がある限り地熱発電は進まないと受け止められています。
④汲み上げによって温泉資源が減少したり枯渇する
必ずしも温泉資源が減少したり枯渇するとは限らないのですが、先に述べたように、周囲の温泉旅館からの反対活動があるのは当然と思います。
秋田県の大沼地熱発電所周辺の温泉地では湧出量の減少や泉温の低下などの温泉の枯渇現象が見られ、他にも間欠泉が吹かなくなったり、湯量が減少、湯温が下がった、温泉が止まった等、温泉施設側からすると致命傷ともいえる事も起こっています。
減少や枯渇までにはならなくても、泥水の温泉への混入など、既存の地熱利用施設に影響が出る可能性はあります。
⑤地震の誘発
地下水を汲み上げ続けると当然地下の様子に異変が起きます。
大きな地震ではないのですが、汲み上げ、不用水の還元によって地下水分の隙間を埋めるために地震が誘発されることがあります。
去年に起こったスペイン南東部の地方都市ロルカを中心にした地震は、マグニチュード(M)5・1で、長年の地下水くみ上げに伴う地盤沈下が引き起こした可能性が高いと言われています。
⑥大気や大地の汚染
毒性のある(硫化水素)気化性物質によって大気が汚染されたり、毒性のある気化性物質、固形物質によって大地が汚染されることがあります。
⑦ボ-リング作業での騒音等
建設中のボ-リング作業による騒音・振動、噴気の騒音もあります。
⑧地盤沈下や土壌汚染
熱水・蒸気採取による地盤沈下や土壌汚染の可能性もあります。
⑨国や地元行政からの支援が乏しい
日本で地熱発電が積極的に推進されにくい理由は、国や地元行政からの支援が火力や原子力と比べて乏しいこともあると言われています。

(3)地熱発電のしくみ
地熱発電は、地中深くから取り出した蒸気で発電するものです。
地下700mから3,000mくらいの深井戸(蒸気井)を掘って、地下から噴出する天然の、または地上からの注水による蒸気又は熱水を利用してタ-ビン・発電機を回し、発電を行うものです。
また、地下の温度や圧力が低く熱水しか得られない場合でも、アンモニアやペンタン・フロンなど水よりも低沸点の媒体を、熱水で沸騰させタービンを回して発電させる方式もあります。
残りの熱水は、ふたたび地下へ戻しています。
地熱発電所として、国内最大の認可出力を誇る大分県の八丁原発電所を紹介します。
①発電能力は11万kw
八丁原発電所は、1・2号機があり、それぞれの出力は5万5千kwで、合計11万kwの電気を発電することができます。
年間の発電電力量は約8億7千万kw時で、ほぼ20万kℓの石油が節約できます。
②発電所の標高は1,100m
八丁原発電所は,阿蘇くじゅう国立公園特別地域の一画にあり、九重連山のふところに抱かれ自然にめぐまれた標高約1,100mの所にあります。
このために、周辺の環境と調和した植樹などによって、よりよい環境づくりをめざしているそうです。
③蒸気井の深さは最深3,000m
八丁原発電所には30本の蒸気井があり、それぞれ深さが違いますが浅いもので760m、最も深いもので3,000mあります。(平成19年3月現在)
④蒸気に使用量は1時間に890t
各々の蒸気井からでる蒸気は、地下の状態、深度、井戸の大きさで変わりますが、発電所全体としては毎時890tです。

(4)地熱発電の現在の状況
現在の発電原価は21円/kWh(補助金を受ける場合は15円/kWh)です。
日本の発電量は3,369×106kWhで、国内発電能力の0.2%です。
但し、先に述べたように発電出力換算で2000万kwを超える未利用資源をすべて活用した場合、原子力発電所15基分以上に相当するとの試算もありますが、現実的には無理だと思います。
蒸気発電には使用できない熱水が大量に出てきますが、地熱発電所のある市町村の多くでは、この熱水のもつエネルギーの有効利用を図るため、河川水と熱交換して造成熱水をつくり近くの地域へ供給し、地域開発に役立てているそうです。
これも再生可能エネルギーの利用形態一つだと思います。
先日のテレビでも、自然エネルギーが100%の国であるアイスランドは、地熱発電の余水である熱水をパイプラインで各家庭に引き、循環水での暖房設備として利用していました。
人口30万人程度の国だから出来る業なのでしょうが、実にすばらしい設備でした。
参考までに、アイスランドは水力発電75%で、残りが地熱発電です。

(5)地熱発電のこれから
深部地熱資源採取技術の開発(現在、地熱発電容量の増大を図る上で深部地熱資源(深度3,000~4,000m、温度350℃程度)の開発が望まれています。
これを高温岩体発電と言い、地底の水を含まない高温の岩体中に地表から水を循環させて蒸気や熱水を回収して発電を行う方式のことです。
また、調査をより、確実で短時間で行える技術の開発や、新たな地域の調査・開発、国立公園内などの区域内における地熱発電に対する法整備も重要です。
発電量は日本の消費電力からみると、今は少ないのですが、他の新エネルギーと比べると出力が安定しており、供給の調節も可能なので安定した出力源として普及していく可能性はあると思います。
すべては、温泉地の人たちにどう理解してもらうかにかかっています。
ただ、八丁原発電所では30本の蒸気井を掘っています。
これだけ掘って11万kwです。
温泉地の近くで30本もの深井戸を掘られるのなら反対するのは無理もないように思えます。
そして、硫化水素等、土壌や空気、水源等の環境汚染だけでなく、地盤沈下や、それに助長された地震もあります。
原子炉1基が100万kw以上あるので、それと同じ程度の電力が必要となると、単純に計算して1000m級の井戸をあと140本も掘らないといけません。
これでは、地下になんらかの変動が起こっても不思議ではありません。
温泉施設は浅い層から汲み上げ、地熱発電は深層から熱を得るので影響は無いと地熱推進派の学者は言っていましたが、それは間違いです。
いずれも岩盤内の被圧水です。
そして、亀裂を伝わって流れている水です。
いくら浅い層をすべて遮断したとしても、掘削中の岩盤の緩みや、みずみちの変化は予測不能です。
そして、秋田県の例など、影響は実際に出ています。
また、もしそれでも掘ったとして、それで賄えるのはたった原子炉1基のみです。
原子力発電は、当然すべて無くすべきですが、調べれば調べるほど地熱発電もデメリットの方が多いと思いはじめてきました。
アイスランドのような人口30万人程度の国では共存は可能かも知れませんが、現在ある温泉施設との共存共栄は、日本では無理かも知れません。

              日本の地熱発電所
都道県都市発電会社発電所容量
(MW)
北海道森町北海道電力森発電所25
岩手県八幡平市東北水力地熱松川地熱発電所23.5
雫石町東北電力葛根田地熱発電所80
宮城県大崎市電源開発鬼首地熱発電所15
秋田県湯沢市東北電力上の岱地熱発電所28.8
鹿角市東北電力澄川地熱発電所50
三菱マテリアル大沼地熱発電所9.5
福島県柳津町東北電力柳津西山地熱発電所65
東京都八丈町東京電力八丈島地熱・風力発電所3.3
熊本県小国町廣瀬商事岳の湯発電所0.05
大分県別府市杉乃井ホテル杉乃井地熱発電所1.9
九重町九州電力大岳発電所12.5
九州電力八丁原発電所112
九州電力滝上発電所27.5
九重観光ホテル九重地熱発電所1
鹿児島県指宿市九州電力山川発電所30
霧島市九州電力大霧発電所30
大和紡観光霧島国際ホテル地熱発電所0.2
合計514.7




                        地熱発電のしくみ
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