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原子炉の種類

原子炉の種類を調べてみました。

(1)減速材による分類
①軽水炉
通常の水である軽水は中性子減速能が大きいのですが中性子吸収能も大きくなります。
通常は減速材が冷却材を兼ねています。
軽水は安価で大量に入手することができ、火力発電で使用されているため性状が良くわかっています。
反面、吸収能が大きいため軽水冷却炉では濃縮されたウラン燃料を用いて発生する中性子の数を増やす必要があります。
水の大きな減速能力により、減速材を薄く燃料棒を密に配置できるため、黒鉛炉や重水炉に比べて優れています。
特に加圧水型は格納容器を要さず、コンパクトな設計が可能です。
このため、軍事用を含め船舶用原子炉は全て軽水炉です。
②重水炉
水素の同位体である重水素からなる水である重水は、軽水に次ぐ減速能を持っていますが吸収能は小さくなります。
従って重水炉では天然ウランを始めとして多様な物質を核燃料として用いることができますが、重水は高価です。
③黒鉛炉
炭素からなる黒鉛は水に次ぐ減速能を持ち常温で固体です。
黒鉛は、減速能を持たない物質を冷却材として用いる設計の原子炉で使用され、構造が比較的簡単な為、原子力開発能力の低い国でも使用されています。
しかし発電効率が悪い反面プルトニウム239の生成効率が高い事から核兵器用プルトニウム製造に良く使用されました。
現在では主にガス炉の減速材として使用されています。
④高速炉
高速炉とは、高速中性子による核分裂反応がエネルギーの発生源となっている原子炉で、高速中性子炉とも呼ばれています。
高速中性子による核分裂連鎖反応を用いてウラン238からプルトニウム239を生産する増殖炉は、高速増殖炉と呼んでいます。
この型の原子炉は、減速材を利用せず、核分裂に伴って発生する高速中性子をそのまま利用するので燃料増殖には有利ですが、後に述べているようにものすごく問題のある原子炉です。

(2)日本の原子炉        
1)軽水炉
軽水炉(けいすいろ)は、減速材に軽水(普通の水)を用いる原子炉で、アメリカで開発され、現在、世界の80%以上のシェアを占めていると言われています。
そして、日本で商用稼動している原子力発電所は全て軽水炉です。
水は安価で大量に入手でき、高速中性子の減速能力が大きく、冷却材を兼ねることも出来ます。
しかし、中性子吸収量が大きいため、運転に必要な余剰反応度を確保するには、濃縮ウランを燃料とする必要があります。
主な軽水炉には沸騰水型(BWR)と加圧水型(PWR)がありますが、日本では半々で作られています。     
①沸騰水型(BWR)
日本における商用炉では、東北電力、東京電力、中部電力、北陸電力、中国電力各社の全原子力発電所、および日本原子力発電の東海第二発電所と敦賀発電所の1号機(2号機は加圧水型)で、沸騰水型を採用しており、製造は日立製作所、東芝が行っています。
沸騰水型原子炉は、核分裂反応の熱で直接軽水を沸騰させ、その蒸気をタービン発電機に送ります。
原子炉炉心の水蒸気を直接タービンに導くため、耐用年数終了時にタービンも廃棄となるので廃炉コストが嵩む可能性が高くなります。
その汚染のため作業員の被爆量が加圧水型よりも多くなります。
発電に利用される蒸気が放射能を帯びているため、全ての系を堅ろうに作ってあり、核分裂反応の制御は制御棒や軽水減速材で行われますが、不具合に備え非常用炉心冷却装置を備えています。
加圧する必要がないので原子炉容器の壁を薄くできるのが沸騰水型原子炉の利点とされていますが、先に述べたように、蒸気には放射性物質が含まれているため、広い範囲での放射能の管理が必要となるのが欠点です。  
②加圧水型(PWR)
日本における商用炉においては、北海道電力、関西電力、四国電力、九州電力各社の全原子力発電所、および日本原子力発電の敦賀発電所の2号機(1号機は沸騰水型)で、加圧水型を採用しており、製造は主に三菱重工業が行っています。
加圧水型原子炉は、核分裂反応によって生じた熱エネルギーで、一次冷却材である加圧水(圧力の高い軽水)を300℃以上に熱し、一次冷却材を蒸気発生器に通し、そこにおいて発生した二次冷却材の軽水の高温高圧蒸気によりタービン発電機を回す方式です。
発電炉として、原子力発電所の大型プラントのほか、原子力潜水艦、原子力空母などの小型プラントにも用いられています。
沸騰水型と異なり放射能に汚染された水は設計上格納容器の外には出ない構造になっており、この点が加圧水型の利点とされています。
但し、2つの水を隔てる「蒸気発生器」内の伝熱管が細いため、破損すると汚染された冷却水が漏れるのが欠点です。

2)新型転換炉
日本で開発された原子炉で、福井県敦賀市に原型炉「ふげん」あります。
続いて青森県大間に建設される予定でしたが、高コストのため見送られています。
新型転換炉も軽水炉も冷却材に水を使用する点で同じことから軽水炉と言われていますが、新型転換炉は
①減速材に重水を使用する(軽水炉では軽水)
②原子炉圧力容器が容器構造になっているのに対し圧力管(燃料の詰まっているパイプ)
になっています。
   
3)高速増殖炉
当時期待されていた発電炉で、5本の燃料を燃やすと6本の燃料ができるという「夢の原子炉」と言われていました。
軽水炉や新型転換炉(重水炉)はウラン235を主な燃料としています。
この場合に放出される中性子は、ウラン238が吸収してプルトニウムに変るプルトニウムは燃料としては小さくなります。
これに対して高速増殖炉の場合は、燃えてできた燃料がより多量の熱量をもつという特徴があります。
高速増殖炉は、日本では2箇所あります。
一つは茨城県東茨城郡大洗町にある「常陽」で、もう一つは福井県敦賀市にある「もんじゅ」です。
増殖炉という名のとおり、燃やせば燃やすほど新たな燃料が増えてゆくという、夢のような燃料効率を実現できるとの歌い文句でしたが、これはあくまでも成功すればの話で、今までも試験運転のみで、一円たりとも営業利益を得ていません。
そればかりか次のような欠点があります。
①MOX燃料をいう毒性の極めて高い燃料を使用しています
②ナトリウムという超発火性の冷却水を使用しています
③高温の液体ナトリウムがもたらす膨張・収縮の影響を小さくするため、普通の原子炉よりはるかに薄いペラペラの金属パイプが張り巡らされているので事故がきやすくなります

このように事故を起こすために造られたような原子炉で、今までも事故ばっかり起こしています。
福島のような事故があった場合は、水で冷やせないのでもう取り返しのつかないことになります。
そして、日本でも2箇所ですが、世界中でもこの2箇所だけです。
    
4)核融合炉
重い原子であるウランやプルトニウムの原子核分裂反応を利用する核分裂炉に対して、軽い原子である水素やヘリウムによる核融合反応を利用してエネルギーを発生させる装置が核融合炉です。
核融合反応を利用したもので、21世紀後半の実用化が期待される未来技術のひとつとされていますが、しかしこれも核融合反応を起こすため起電力を得るために核分裂炉が必要とされています。
太陽や恒星が輝きをはなっているのはすべて核融合反応によるエネルギーである ・ 地球上で極めて高い温度か圧力の環境を作り出す必要があり難しい
4-1)核融合炉の利点
核融合炉は、次のような利点があります。
①核分裂による原子力発電と同様、二酸化炭素の放出がありません
②核分裂反応のような連鎖反応がなく、暴走が原理的に生じません
③水素など、普遍的に存在し、かつ安価な資源を利用できます(さらに、自然界中の無尽蔵の重水素やリチウムを活用していく構想もある)
④原子力発電で問題となる高レベル放射性廃棄物が継続的にはあまり生じません(もっとも古くなって交換されるダイバーターやブランケットといったプラズマ対向機器は、定義にもよりますが、ほとんど高レベルに近い放射性廃棄物になります。ただし開発が進められている低放射化材料を炉壁に利用することにより、放射性廃棄物の浅地処分やリサイクリングが可能となります)
⑤従来型原子炉での運転休止中の残留熱除去系のエネルギー損失や、その機能喪失時の炉心溶融リスクがありません
などが挙げられます。
4-2)核融合炉の欠点
但し、次のような欠点もあります。
①超高温で超高真空という物理的な条件により、実験段階から実用段階に至るすべてが巨大施設を必要とするため、莫大な予算がかかります
②反応条件が緩やかなD-T反応でも1億度程度の高温でなければ十分な反応が起こらず(反応条件が厳しいD-D反応では10億度、太陽内部の陽子-陽子連鎖反応を人工的に再現するには50億度以上)、そのような高温状態では物質はプラズマ状態となります
③炉壁などの放射化への問題解決が求められます
④放射能の危険性は炉心と燃料の三重水素(トリチウム)において依然として無視できません
つまり、放射能による危険性はやはりどり原子炉でも同じだと考えることができます。

(5)今後考えられる重大事故
考えられる原発事故は、ほとんど無数ですが、主な重大事故としては次の3つが挙げられます。
①暴走事故
核分裂のコントロールに失敗して出力が急上昇し、ついには爆発に到ります。
加圧水型では制御棒の飛出し事故が、また沸騰水型では再循環ポンプの故障などが暴走の原因として考えられます。
②冷却材喪失による炉心溶融
炉心に水を送っている配管などが破断した場合、炉心の冷却ができなくなると燃料が溶けてしまいます。
もちろんこうした事態に対する備えはありますが、それが予想通りに機能するという保証はありません。
③原子炉容器の破壊
原子炉容器は中性子の照射を受け時間とともに脆くなる上、事故時の温度や圧力の急変などが加わることにより、常に破壊の危険性を秘めています。
今後老朽化が進み、その危険性はますます増大しますが、万一の場合の備えは何もありません。

(6)何故建設再開?
こんな中、建設中の新設原発を再開するというニュースが飛び込んできました。
Jパワーが建設を進めている「大間原発」ですが、2011年3月11日の東日本大震災以降、本体の建設工事を休止していましたが、今年9月14日に国の革新的エネルギー・環境戦略が決定され、その後、建設中の原子力発電所の取り扱いが明確になったことを踏まえ、地元住民の理解の下、建設工事を再開するとのことです。
どの原子炉も、危険な原子炉ばっかりで、福島の事故だってまだ解決していません。
それなのに何故再開なのでしょう?
「安全安全」と言っていますが、何がどう安全なのでしょう?
作らないのが一番安全なのは誰でもわかっています。
政治家も、財界も、みんなが原発マネーを欲しがっていると、そのうち日本に住めなくなる日が来ると思います。


沸騰水型(BWR)


加圧水型(PWR)
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