ヌートリアの被害

近年では、外来種であるヌートリアの被害が深刻だそうです。
そして、50を超す自治体がヌートリア対策を行っています。

(1)ヌートリアについて
ヌートリアは南米原産です。
1939年頃から軍服用の毛皮獣としてフランスから150頭が輸入され、飼育が奨励されました。
このころは軍隊の「勝利」にかけて「沼狸」(しょうり)と呼ばれ、1944年頃には、日本全国で4万頭が飼育されていました。
1945年の終戦後、毛皮の需要が激減したことに伴い、その多くが野外に放逐されました。
また、1950年代の毛皮ブームでは本種の飼育が流行しましたが、その後の毛皮価格の暴落に伴い、このときも多数が野に放たれ、野生化しています。
日本の哺乳類では水辺で草食性の動物がいないことから、20府県以上で生息が確認されています。
①形態の特徴
・体重:4kgから5kg、体長:50cmから70cm、尾長:35cmから50cm(日本に生息するげっ歯類では最大)です。
・全身は茶色です。
・ネズミ独特の大きな前歯(オレンジ色)を待っています。
・物を掴むことのできる小さな手と、水かきのついた大きな足を持っています。
②採食習性
・草食性(水陸の植物を主食)です。
マコモやホテイアオイなどの水生植物の葉や地下茎を好んで食べます。
・農業被害は、根菜類(ニンジン・ダイコン)、葉菜類(キャベツ・ハクサイ)、瓜類(カボチャ・スイ カ)、イネなど多種にわたっています。
・ドブガイ等の捕食も確認されており、タナゴ類の繁殖への影響が懸念されています。
③巣穴
・河川、溜池、農業用水路等の土手に直径30cm長さ数mのトンネルを堀って巣穴としています。
・巣穴の入り口は水際1m以内が多く見られます。
・浅瀬に浮き巣を作ることもあります。
④繁殖等
・年に3回から4回繁殖し、産子数は平均5頭から6頭と繁殖力は旺盛です。
・繁殖期はとくにありません。

(2)ヌートリアの被害状況
①農業被害
・河川に隣接する水田のイネや畑の根菜等への食害です。
農業被害金額は全国で1億2400万円、被害面積500ha(H20:農林水産省調べ)です。
有害鳥獣捕獲許可及び狩猟による捕獲実績は3,338頭(H14:環境省調べ)となっています。
②生態系への影響
・湿地帯の特定の植物が減少(マコモ・ヨシ・しょうぶ等の水生植物、ヒシ、浮き草等の浮葉植物) しています。
・タナゴ類の繁殖への影響があります。
・環境変化に伴うトンボ等の昆虫類への影響があります。
特に、絶滅危惧種に指定されているベッコウトンボの生息地を壊滅させるなど、在来種の生態系への影響も深刻です。
・水鳥などとの餌をめぐる競合、営巣放棄などの繁殖影響があります。
③生活環境汚染
・河川の土手や堤防は強度低下になります。 

(3)ヌートリアの生息地と捕獲
現在では、西日本の各地(広島県、岡山県、島根県、鳥取県、香川県と近畿・東海の各府県)に分布が拡大しています。
但し、千葉県や静岡県の一部でも生息が確認されており、今後も拡大すると考えられています。
農水省によると、農産物被害額は平成13年度は7100万円だったのですが、20年度は1億2400万円に増加し、最も被害が大きい兵庫県では約4300万円を占めています。
ここ数年の被害は、兵庫県をはじめ岐阜県や大阪府、鳥取県など10府県に及んでいます。
日本は、ヌートリアなど外来種防除のため平成17年に外来生物法を制定しています。
同法に基づく防除計画では、都道府県の許可を受けなくても捕獲や防除ができることなどから、農産物被害に悩む自治体が相次いで計画を策定しています。
ヌートリアの捕獲方法は、巨大なねずみ捕りのような「ハコわな」と呼ばれる器具を使うのが一般的です。
ただし、出産が年2~4回でそのたびに5~6匹を産むため、捕獲を続けても次々と生息域を拡大しているとみられています。 1970年代のイギリスでは、10年がかりで約100万頭を駆除し根絶に成功しています。
また、寒冷下では尾の凍傷から感染し死に至ることがしばしばあり、これが原因でスカンディナビアでは絶滅しています。

(4)ヌートリアの四国への移住
ヌートリアの四国への移住は、香川大の金子之史名誉教授(ほ乳類学)さんらが、2005~09年に、目撃証言や捕獲情報などを元に現地調査を行い、これまで生息していないとされた香川県の小豆島、豊島、直島、本島、手島、小手島(おてしま)の6島で、死骸や巣穴、ふんなどを確認しています。
香川県の島までは22~12kmあります。
川や池など淡水で生きるヌートリアが海を泳いだという報告はこれまでなく、金子名誉教授は「岡山側で数が増えて餌に困り、仕方なく海を渡ったのではないか」と指摘しています。
香川県内では08年度以降、本島(丸亀市)や、小豆島の土庄町で、ヌートリアが食い荒らしたとみられる稲やニンジンの被害が、県に報告され、2009年11月には猟友会のメンバーから坂出市のため池でヌートリアを目撃したとの情報も寄せられました。
愛媛県をはじめ、四国の他県での目撃報告は今のところありません。
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