道後温泉について

愛媛県の松山市には、日本最古の温泉と言われている道後温泉があります。
夏目漱石の坊っちゃんの舞台にもなり、伊予国風土記に熟田津ノ湯と記されるなどされた有名な弱アルカリ性単純泉で、共同浴場である道後温泉本館を中心に、デラックスな旅館がとりまいています。
1955年のボーリングで増量したとされ、20~55℃程度の温度を保っているとされています。

(1)日本最古の温泉
道後温泉が日本最古と言われる由縁は、背後にある小高い山(御勧請山 ごかんじょやま)から、約3000年前の縄文中期の土器・石鏃(せきぞく)が出土したため、当時、縄文人が入浴していた可能性が高いことによるものだそうです。

(2)松山市周辺の温泉
道後平野は地下に泉脈が存在し、そのため古くから温泉が存在する場所でした。
近年はボーリング技術の進歩により、地下1000m程度掘削を行って源泉が開発されることが多く、松山や松山周辺でも新たな温泉が次々と開業している。
松山市では道後温泉の他に、松山温泉、奥道後温泉、東道後温泉、南道後温泉、道後さや温泉、権現温泉、久万の台温泉、古川温泉、余戸温泉などがあります。
東温市では、見奈良温泉、川内温泉などがあり、砥部町では、とべ温泉があります。

(3)道後温泉の源泉と湯量
道後温泉では、これまでに28本の源泉を開発してきましたが、現在では18本が源泉として愛媛県に登録されています。
・3、5号・・・・道後湯月町
・4、6、8、9、25号・・・・道後湯之町
・7、13号・・・・道後多幸町
・11号・・・・道後公園
・12号・・・・道後1丁目
・14、15、24号・・・・道後喜多町
・17号・・・・祝谷3丁目
・19、21号・・・・祝谷6丁目
・28号・・・・道後町2丁目
源泉は開発順に番号を振り分け、上記の18本です。
このうち、12号の源泉は、施設の老朽化などの理由により利用を休止していますが、残る17本の源泉を利用して、温泉を汲み上げていす。
これらの源泉は温度も湧出量もすべて異なり、最も温度の低い源泉は、冒頭で述べたように20℃程度、最も高温の源泉は55℃程度だと言われています。
また、各源泉から地中に埋設した送湯管で、4ヶ所の分湯場に集めたお湯を、道後温泉本館・椿の湯をはじめ、周辺のホテル・旅館へ配湯しています。
湯量の供給は、道後温泉本館や地元の旅館などあわせて38ヶ所に1日平均1,970トンの湯を供給しています。
しかし、年末年始や大型連休など繁忙期には供給量が1日2,300トンを上回ることから、安定的な湯量を求めています。
道後温泉という名前がつけられる源泉の場所は、北は、祝谷、道後町、道後1丁目、2丁目、南は石手川のあたりまでの地区です。
つまり、奥道後の方から源泉を引っ張ってきてもそれは道後温泉とは言わないことになります。

(4)源泉や施設の改修
松山市では、老朽化した源泉井戸や分湯場の施設などを、平成21年度から約11年かけて順次改修を行う事業を行っています。
12号源泉の代替として、祝谷4丁目に用地150㎡を取得し、新たに29号源泉を掘削する計画で、掘削深度は800mで、1日当たり100㎥の湯量を見込んでいます。
計画が変わっていなければ、源泉掘削の工期は24年2月末から9カ月程度要し、平成23年度が3,370万円、平成24年度が5,130万円で、合計8,500万円の工事費になります。

(5)レジオネラ菌
道後温泉の本館は源泉の湯をそのまま利用する「かけ流し」温泉でした。
この「掛け流し」に対する注目が最初に集まったのが2000年から2002年にかけて発生したレジオネラ菌騒動でした。
日帰り入浴施設などに設置された循環風呂設備で繁殖したレジオネラ菌を原因とした死亡事故により、菌の繁殖の温床となった浴槽内循環機を用いない、昔ながらの「掛け流し」に対して注目が集まりました。

(6)愛媛県条例の改
平成15年(2003年)に、公衆浴場設置等の基準等に関する条例が改正されています。(平成15年7月18日条例第46号)
その第5条では、公衆浴場の管理は、次に定めるところによらなければならないとされています。
第5条の13項では、[浴槽水は、塩素系薬剤を使用して消毒し、浴槽水中の遊離残留塩素濃度を頻繁に測定して、通常1リットル中0.2ミリグラム以上0.4ミリグラム以下とし、かつ、最大1リットル中1.0ミリグラムを超えないよう努めるとともに、当該測定結果を検査の日から3年間保存すること。ただし、浴槽水の性質その他の条件により塩素系薬剤が使用できない場合、浴槽水の水素イオン濃度指数(pH)が高くこの基準を適用することが不適切な場合又は他の消毒方法を使用する場合であつて、他の適切な衛生措置を講ずるときは、この限りでない。]
第5条の19項では、[回収槽(浴槽からあふれ出た湯水を配管により回収するための水槽をいう。以下同じ。)の湯水を浴用に供しないこと。ただし、回収槽の清掃及び消毒を頻繁に行うとともに、レジオネラ属菌その他の病原菌が繁殖しないよう回収槽内の湯水の塩素消毒等を行う場合は、この限りでない。]とされています。
つまり、第5条13項を読むなら、「公衆浴場における浴槽水の管理には塩素系薬剤を用いなさい」というのが原則となっています。
19項では回収槽の湯水を再使用してよいとされています。

(7)道後温泉の塩素消毒
そして、道後温泉では、浴槽の湯の消毒を義務付けた愛媛県条例の改正が施行されたのを受け、2004年度から塩素消毒していると言われています。
多くの温泉ファンからは日本の温泉文化のシンボルといわれる道後温泉本館の「塩素漬け」に、「名湯の自殺行為」との批判があがっていました。
また、全国の温泉では、乱開発などによる湧出量の減少を受けて、「掛け流し」温泉が減少し、利用済みの湯を塩素消毒などで再利用する「循環風呂」が急増しました。
この「循環風呂」は、温泉が本来もつ効能を期待できないうえ、レジオネラ菌が大量繁殖しやすい常温で湯を循環することになるため、管理を怠った施設ではレジオネラ菌の集団感染が多発したそうです。
これでは安全性を考えると逆効果のようですが、専門家からみるとレジオネラ菌対策はそんなに簡単ではないようです。
道後温泉においては、今までに汚染されていなかったから今後も汚染されないだろうという考えは通用しないそうです。
道後温泉が昔のような「掛け流し」温泉だったとして、浴槽を掃除さえしていればレジオネラ菌問題はないとは決して言えないそうです。
「掛け流し」温泉でも、源泉の温度が60度以上あればレジオネラ菌が生息しにくい条件になりますので問題は起こりにくいと言えますが、道後温泉の場合には高くて55度です。
「掛け流し」温泉でも、特に、地中の奥の源泉から浴槽までにおいて密閉性が保たれ、レジオネラ菌が飛び込んで入るところがないのであれば良いのですが、道後温泉の場合には17の源泉を4つの分湯場に集めて使用・供給しています。
したがって、地中の奥の源泉から浴槽までの間において密閉性が保たれておらず、レジオネラ菌が飛び込んで入る可能性があるそうです。

(8)やっぱり「掛け流し」のほうが
それでも私が温泉に入るとしたら塩素消毒した温泉より「掛け流し」温泉のほうが魅力的です。
愛媛県では、奥道後温泉や鈍川温泉は「掛け流し」温泉です。
温泉マニアは、道後温泉から奥道後温泉に移ったという話も聞きます。
源泉の代替や改修工事をするのなら「掛け流し」も議論してもいいのではと思います。
そして、湯温については、20度から55度と極端な温度差があります。
引き湯して4つの分湯場に集めるまでに湯温は下がってくると思います。
どこかで沸かしていることも考えられますが、私たち市民には配管状況から設備の詳細までは伝わってきません。
せっかくの有名な道後温泉です。
いろいろなことを公開して、県外からのお客さんはもちろんのこと、松山市民も湯質などに納得してゆっくりできる温泉にしてほしいと思います。
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