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福島原発の地下水バイパス

東京電力が行おうとしている地下水バイパス工事について私なりに考えてみました。

(1)地下水バイパス工事について
東京電力は4月23日、福島第一原子力発電所1~4号機の高濃度汚染水を減らすため、地下水バイパス施設を建設する方針を明らかにしました。
現在において、原子炉1〜4号機の山側から、最大1日当たり400トン程度の地下水が流れています。
この水を建物に到達する前に海へ流すようにするために、原子炉建屋山側に14本の井戸を掘り、くみ上げた地下水を海に流すバイパス工事です。

(2)福島発電の敷地周辺の地質
まず、福島第1原子力発電所の敷地周辺の地質を調べると、
下位より、
①上部白亜系の双葉層群
②先新第三系の白水層群
③新第三系中新統の湯長谷層群、白土層群、高久層群及び多賀層群
④新第三系中新統最上部~上部鮮新統の仙台層群及び第四系

が分布しています。
ただし、敷地の地質は、
①新第三系鮮新統の富岡層
②第四系更新統の段丘堆積物及び第四系完新統の沖積層

で構成されています。
ここで東京電力が言っている地下水が汚染された層は第四系完新統の沖積層だと思います。
付近のボーリングデータを見ると、
0.00~0.50m粘土質ローム. 0~0.10m草根混じり(表土)。
0.50~0.90m砂質ローム. 砂分多量。
0.90~1.50m礫泥じり中砂 小礫混入。
1.50~2.60m中~粗砂. 2.50~2.60m茶褐色粘土を挟む。
2.60~8.40m砂礫. 礫径φ2~50m/mの亜角~亜円礫。礫種は花崗岩質岩主体ときに玉石混入。
8.40m以深 砂質粘土.腐植土含む。
このような土層になり、ここで透水層として考えられる層(地下水が通ると想定できる層)は地表面より2.60~8.40mまでの砂礫層だと思います。

(3)地下水のスピード
地下水のスピードは一定ではありません。
専門的には透水係数という数字で表しますが、一番早い礫でも1km/day(1日に1km)が限度です。
砂は1m/day~1km/dayの間でありここまでが地下水がある層(透水層または帯水層)と言われています。
微細砂やシルト・粘土の混合物では0.0001m/day~1m/day つまりほとんど地下水が移動出来ない層で、この層を難透水層(あまり水を透さない層)と呼んでいます。
粘土は0.0001m/day以下なのでこれを不透水層(全く水を透さない層)と呼んでいます。
つまり、雨が降って、その雨が地表から河川に流れる水は、ほぼ1日もたたないうちに海に到達しますが、地下に浸透した水は長い長い旅をすることになります。
ここで原子炉建屋の砂礫層の透水係数の推定ですが、松山市が井戸水として使っているところで、地下を流れる砂礫層の平均値では0.53cm/secです。(範囲としては、0.081cm/cec~1.6cm/cecまでです)
つまり、1時間で約20m、1日で約438m動く計算になります。

(4)汚染水の状態と今後の対策
現在、一日最大400トンの地下水が原子炉建屋の砂礫層に浸透しているとの事です。
ここで関係してくるのは建屋から海までの距離ですが、地図上で調べるとせいぜい400mまでです。
したがって、1日もかからないうちに汚染水が混じった地下水が海に出ていることになります。
地下に浸透している断面積ですが、400トンの流量から逆算すると0.955㎡になります。
松山市で得られた透水係数は、井戸水として使っているので若干値が大きいとは思います。
福島の原子炉建屋の砂礫層はこれよりは小さい値だとは想定できますが、オーバーフローして地表面に地下水が噴出していないと思われるので、山からの浸透はスムーズにいっていると想像できます。
いずれにせよ、原子炉建屋の砂礫層には、今も建屋からの汚染水が浸透しています。
地下水バイパス工事は、これ以上汚染を大きくしないためには有効だとは思います。
ただし、以前のブログで、地中連続壁工法との比較で、原子炉建屋より海側に施工する「原発の地下水汚染には集水井を」の方がより有効だとは思います。

「原発の地下水汚染には集水井を」のブログ
http://ntooffice.blog21.fc2.com/blog-entry-570.html
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