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新居浜市の藍晶石

愛媛県の新居浜市に藍晶石があります。

(1)藍晶石とは
この藍晶石は、「四国のマチュピチュ」として有名な、東平(とうなる)地区の東平角閃岩中に灰簾石、ソーダ雲母とともに産しています。
和名の藍晶石(らんしょうせき) は、カイアナイトとも言い、 別名として二硬石(にこうせき) とも言います。
別名は、結晶の縦方向と横方向で二種類の硬度を持つことに由来しています。
カイアナイトという英名は、ギリシア語のKyanos=暗い青からきています。
ラテン系ではKがCに変ってCyaniteとなりますが、青を意味するシアンも同じ語源です。
また結晶面により、また同じ結晶面でも方向によってモース硬度が4½~7½と著しく異なることでも著名な鉱物です。 
このため、ギリシア語のDis=二つのとSthenos=力とから、Disthen(ディステーン)とも呼ばれます。
白い結晶の中に、青が浮かび上がっている不思議な石です。
 
(2)愛媛県新居浜市の藍晶石
日本でもわずか産出していましたが、愛媛県で産出するまでは、結晶は小さく外国産にはとてもかなわないものでした。
しかし、1トンの藍晶石の塊が見つかりました。
20センチの大きさの結晶でも十分外国産に対抗できる大きさです。
新居浜市別子の藍晶石は、1954年(昭和29年)頃初めて報告されました。
三波川変成帯内部にとりこまれた、変成はんれい岩体(ざくろ石角閃岩主体)の、もともと斜長石(灰長石)の多かった部分が、変成作用で藍晶石を含む岩石に変化したものと考えられています。
この、新居浜市の藍晶石は論文で紹介されています。
1961年(昭和36年)の「地学研究 (Vol.12, No.7)」に掲載された「愛媛県別子鉱山付近の藍晶石の産状」(宮久三千年、石橋 澄、水舟淑朗)です。
東平角閃岩が分布する角閃岩帯は、国領川の上流にあるマイントピア別子から西赤石山の頂上付近まで延々と続いています。
別子銅山で有名な東平以東まで続いているので、国領川の川原でなくても採集することも可能です。
また、関川流域にも露頭があることが島根大学の櫻井剛さんによって報告されています。
一時期には、山中の道路拡張に際して多産した藍晶石が鉱物店に出回り、素晴らしい標本が案外安価に店頭に並んでいた時期もあったそうです。
この新居浜市の藍晶石を紹介する書物も多く、
「鉱物採集の旅」(昭和50年)
「愛媛の自然」(平成4年)
「櫻井鉱物標本」(昭和48年)
「今吉鉱物標本」(昭和58年)
「日本の鉱物(益富地学学館)」(平成6年)
「鉱物カラー図鑑(松原聰)」(平成11年)
「変成鉱物読本(加藤昭)」(平成13年)
「日本の鉱物(松原聰)」(平成15年)
などがあり、多くがカラー写真入りで紹介されています。
愛媛大学にいた宮久三千年さんは「鉱物採集の旅」で、こういう珍しい変成鉱物の産地としては、
①十字石の富山県宇奈月
②ひすい輝石の新潟県小滝
③苦土リーベック閃石の徳島県眉山

などと並ぶ存在で、しかも三者が天然記念物または保護地域などになっているのに、ここだけはその指定がないのを嘆いていました。

(3)藍晶石、紅柱石、珪線石の比較
 紅柱石藍晶石珪線石
結晶系斜方晶系三斜晶系斜方晶系
化学組成Al6+Al5+[OSiO4]Al6+Al6+[OSiO4]Al6+Al4+[OSiO4]
モース硬度7 ½4½ - 7½6 - 7
比重3.13-213.56-683.22-26
屈折率1.628-6471.712-7351.659-680
結晶形


藍晶石は、紅柱石、珪線石とと同様に、化学組成はAl2SiO5と、同じです。
でも、上記の一覧表のように特性や姿が異なります。
その訳は、生成条件が異なるためで、紅柱石は高温,低圧、藍晶石は低温,高圧、珪線石は高温と、全く同じ化学組成の物質が生成条件によって異なる鉱物(同質異像と呼ばれます)です。
日本では、愛媛県の新居浜市だけでなく、糸魚川静岡構造線から西へ紀伊半島と四国を横断して九州にまで伸びる三波川変成岩地帯に藍晶石が含まれています。
これによって三波川変成岩が200~300℃の温度と30kmの深さで出来たと推定出来る有力な証拠となります。
因みにこの三波川変成帯と中央構造線を挟んで北側に平行する領家変成帯には紅柱石が含まれていて,そちらは高温,低圧の条件であったと推定されています。




眼の醒めるような鮮やかな
青紫色の結晶が美しい藍晶石です。
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