四万十川の異変

四万十川は水質も良く日本有数の清流で、古くから漁が盛んに行われてきました。
天然うなぎ、あゆ、ごり(チチブ、ヌマチチブ)、ツガネ(モクズガニ)、手長エビなどの魚介類のほか、総延長196kmの四万十川には、海水と淡水が交差する「汽水域」が約9kmもあり、清流の汽水域でしか採れない貴重な天然青海苔の産地としても知られています。
青海苔は、四万十川産が国内の90%以上の生産量を誇り、しかも高品質です。
12月~3月の厳寒期にしか育たず、それだけに生命力豊かです。
また、四万十川は川漁で生計を立てている人が多いことでも日本有数の河川といえます。 

(1)四万十川の魚
四万十川には2010年10月現在、204種の魚が生息しています。
これは吉野川と並んで全国で最も多い魚種数です。
四万十川のような大きな川では河川相は上流・中流・下流・汽水の4つに区分されます。
上流域は落ち込みと滝壷や淵が連続した冷水域で魚の代表種はアマゴです。
中流域は河川の屈曲部から次の屈曲部までに早瀬・淵・平瀬が1単位となって組み込まれており、代表種はオイカワとアユです。
下流域は100mを超える長い淵と淵の間に平瀬が介在しており、代表種はコイに変わります。
汽水域は海水の影響を受ける区間で、四万十川では河口から四万十市(旧中村市)の赤鉄橋までの10kmが相当し、底質は砂利か砂泥となります。
四万十川の場合はアカメ(ミノウオ)が有名です。
淡水域の全域に棲む魚種としてサツキマス・カワムツ・ウグイ・アカザ・ウナギ・ドンコなどがあげられます。
その他オイカワやブラックバスなどの移入魚もみられます。
純淡水魚のタモロコ・ヤリタナゴ・イシドジョウ近似種、汽水域のアカメとクロホシマンジュウダイは他の河川ではほとんど見られない魚です。

(2)四万十川の異変
この四万十川が、環境悪化が影響したのか魚種に異変が見られます。
温暖化や移入などが原因で年々魚の種類が増えています。
その大半は、汽水域または一時的に汽水域に入ってきた海水魚だそうです。
また、四万十川水系以外の水系から人為的に移入された移入魚も18種含まれています。 
その反面、すでに絶滅や減少した魚種も多いそうです。
ウツセミカジカは、すでに絶滅したと考えられています。
特に減少したのは、メダカ、ドジョウ、シロウオなどです。
また、アユ、ウナギもかつての状況から考えると、激減したといえそうです。
アユ、ウナギの減少は、川床の変化や稚魚の乱獲が主な原因と考えられます。
自然環境悪化の3つの要素をあげると、次のようになります。
①感潮域の拡大
下流域を中心に長年にわたって大量の川砂利が採取されたため、川床が低下、感潮域が広がりました。
また、近年降水量が減少し、沿岸部の塩分濃度が高くなり、泳ぎが得意でない魚は、海の中を移動せず、海から河口、河口から下流域、下流域から中流域へと移動することで、自分に適した塩分濃度のところに移動するようになりました。
ハコフグ、ハリセンボン、クロハギなどの海水魚が大量に侵入してきています。
四万十川本流では、キチヌ、スズキ、ボラなどの海水性の魚が河口から70kmも溯上することが知られています。
②地球温暖化
降水量の減少も地球温暖化からくる気象変動と考えられますが、より直接的には、これまで見られなかった南方の魚種が見られるようになりました。
ヤエヤマノコギリハゼ、クチサケハゼ、ナンヨウボウズハゼなど、日本ではこれまで南西諸島でしか見られなかった魚種が次々に発見されています。
ノボリハゼなどは、すでに珍しくなくなっています。
また、山の保水力の低下により、洪水と渇水という両極端の現象が川にすむ水生生物を苦しめています。
③移入魚の増加
人為的に他の水系から持ち込まれたムギツク、ウキゴリなど移入魚は、一部は大繁殖しています。
ブラックバス、ブルーギルなどの外来の魚食魚は、繁殖力旺盛で、在来種に少なからぬ影響を与えています。
近年四万十川本流で増殖しているカマツカ、コウライモロコなどは、ともに移入魚ですが、砂地の河川を好む魚種です。
外敵に襲われたときなどに砂地に潜りこむ習性のある両種の急増は、もともと砂利底の河川であった四万十川が、砂底の河川に変貌しつつあることを物語っています。

(3)コンクリートに滅ぼされる
生態系は、魚だけでなく、動植物やまた、人々の生活さえも脅かします。
ある人は、「コンクリートの中だけで生きてきた人が、この国の政治や行政を動かしてきたからです。生態系の何たるかを理解しない人が、政治や行政を動かし続けた結果がこの現実です。考えても見てください。自然の中からしか富というものは生まれてこないのです。金が富を生んだりはしないのです」
と言っています。
去年は福島原発の事故が起こってしまいました。
自然を守ることの出来ない人間は、コンクリートに滅ぼされる運命なのでしょうか。

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