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南スーダンの人々の理不尽な思い

みなさんは、今南スーダンで何が起きているかご存じでしょうか?

東アフリカに位置する南スーダン共和国は現在、国の3分の2が洪水に見舞われ、北部ユニティ州の州都ベンティウの街は、海に浮かぶ島のようになっています。
屋根だけを残し、完全に水没した家ばっかりです。
被害を受けた人々が詰め掛ける避難民キャンプも、地面が水面より低く、国連などの協力で築かれた堤防でかろうじて守られている状態だそうです。
4年連続で、記録的な大雨と洪水に見舞われている南スーダンでは、今回の洪水で90万人以上が影響を受け、深刻な食糧危機に瀕しています。
また、井戸やトイレが水没して水源が汚染され、感染症などの発生も心配されています。
国連難民高等弁務官事務所は、「気候変動が加速するにつれ、状況はさらに悪化する恐れがある」として国際的な支援を求めています。

これが、現実に起こっている自然災害ですが、南スーダンはここ10年間にも及ぶ辛い歴史があります。
南スーダンは2011年に長い内戦の末に独立を果たした「世界で一番新しい国」です。
南スーダンは半世紀に及ぶ内戦を経て2011年7月、分離独立を果たしました。
いわゆる「世界で一番新しい国」ですが、しかしその後たった2年で再び内戦に陥り、2019年からは全国的に7つの州にまたがるような洪水被害、そして直近では武装勢力による襲撃と多くの人々が命を失い、逃れてきた人々も生きる希望を奪われるような状態へ追い詰められています。
これは独立当初から脆弱な政府には到底対処できない惨事(もしくは政治的理由で意図的に画策されたもの)であり、国連機関も必死の支援を続けますが、それでも増え続ける避難民を支えきれません。
南スーダン・ユニティ州レール郡(Leer County, Unity State)において、2022年4月上旬に軍の訓練施設で武力衝突が発生しました。
それを契機に、郡内の村々が広範囲にわたり武装グループに襲撃され、4月中旬に事態が鎮静化するまでに、現地のNGOによれば8万人以上が国内避難民となりました。
軍施設での衝突と武装グループによる村落襲撃の背景には、南スーダン政治・軍事における敵対的な二大勢力の緊張関係や駆け引きがあると言われており、聞き取りをした避難民リーダーは「自分たちは政治の道具として殺されている」と私たちに訴えました。
ユニティ州はもともと洪水により甚大な被害を被っていました。
2019年から3年続き、2021年は「60年に一度」といわれるほどで、22万人以上が被災しています。
その中でも州都ベンティウには相当数の国連機関、国際NGOの事務所があり人道支援が行われている一方、南のレール郡は活動する団体が限られることもあり、支援が十分に行き届いていません。
そのような状況のなか、武力衝突によりさらに多くの人々が避難民となり、状況は悪化の一途を辿っています。
この延々と続く非常事態に人々は為す術もなく翻弄されれ、何度も何度も避難を繰返す生活の実態は、私たちの想像を絶する残酷極まりないものです。
理由も分からないまま誰かが殺しに来るので、子どもたちを連れて逃げるだけで精一杯だそうです。
着の身着のままでナイル川に飛び込み、夜があけるまで川の中に身をひそめ、日が昇ってから中洲の小島にやっと上がるそうです。
日中に移動すると見つかって殺されるので、夜な夜な川の中を移動するそうです。
国連平和維持部隊が避難民を保護する地域を目指して逃げたが、そのさなかで大勢の人が沼に溺れ、木の上から襲ってきた猛獣に子どもを食われ、毒蛇に噛まれ、ワニの餌食となり、死んでいったこともあるそうです。
命からがら避難民地区にたどりつき殺される心配がなくなったとしても、凄惨な体験に精神を病んで病気となり父親が亡くなったという人もいます。
また、支援の行き届かない中での生活環境はかなり厳しく、トイレがないために数千人が連日野外排泄をし、味気ない植物の根っこを1日1回食べるのがやっと、汚い水もそのまま飲みながら命をつないでいるそうです。
更に避難民の多くは屋根すらもない地べたで寝て夜を過ごしているために、雨季が本格的になれば、大人も子どもも豪雨に打たれながら寝られない夜を過ごすことになります。
これはもはや人間の最も基本的な尊厳に対する侵害です。
JVCインターン生の阿見さんの話では、避難民地区を訪れた私たちに過酷な体験を話してくれた避難民の人々からは、「このことを日本に伝えてほしい」「今までもいろんな団体が話を聞きに来たが何も起こらなかった」という声もあったそうです。
南スーダン出張で、JVCインターン生の阿見さんは想像を遥かに上まわる惨状に何度も圧倒されたそうです。
南スーダンの洪水は目を疑うほどに広大な面積を水没させる、まさに天変地異と呼ぶに相応しいものだそうです。
また、避難民キャンプの衛生環境の劣悪さに、阿見さんはすぐに病気に罹り病院で治療を受けることになったそうです。
避難民の人たちには南スーダンしか居場所がありません。
同じ地球なのに、同じ人間なのに、なぜこの人たちばかりが何年も何年も理不尽な思いを強いられ続けるのでしょうか。
このJVCの阿見さんの言葉からも、南スーダンで起きている差し迫った状況が伝わってきます。
日本にいると、荷物を持たず、命からがら逃げること、雨風を凌げず夜を明かすこと、毎日野外での排泄を強いられることのどれもが想像絶するものです。
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