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桜島の噴火で噴火警戒レベル5

桜島が噴火しました。

24日午後8時5分ごろ、桜島の南岳で爆発的な噴火が発生し、大きな噴石が火口から約2・5キロに飛散しました。
気象庁は噴火警戒レベルを3(入山規制)から最も高い5(避難)に引き上げました。
桜島の噴火活動に詳しい京都大学火山活動研究センターの教授である井口正人さんは、一夜明けた25日の状況について、「今の活発な噴火活動が始まった1950年代以降、現在までの67年間に、レベル5への引き上げに相当する噴火はおよそ20回起きている」と指摘したうえで、今回の噴火について「地盤変動や地震動、あるいは空気振動といった、いくつかの要素を見たときに、桜島でいえば、とりわけ小さいものでも大きいものでもない、普通の爆発だと認識している」と評価しました。
そのうえで今後の見通しについては「全体としての活動は67年間の桜島の南岳の状態を見ても依然として低い状態だと評価している。若干収縮気味で動いていて、噴火もやや増えているので、今の感じであればだんだんと収まっていく方向にいっていると見ている」と指摘しました。

桜島の噴火について、京都大学の名誉教授である石原和弘さんは「最近の桜島の火山活動の中では規模の大きいクラスの噴火で、噴石が2.5キロ付近を超えたことから気象庁は噴火警戒レベルを『5』に上げたと思われるが、桜島ではこれまでも同様の噴火は過去にも発生している」と述べました。
また、桜島で今月に入り、山体膨張を示す地殻変動が観測されていたことについて「今回の噴火で山体がある程度、収縮するものと考えられるが、噴煙が収まったあとに再び山体が膨張するようであれば今回と同じ程度の規模の噴火が起きるおそれがあるため、今後の活動に警戒が必要だ」と話していました。

桜島は、姶良(あいら)カルデラ(南北17 km、東西23 km)の南縁部に生じた安山岩~デイサイトの成層火山で、北岳、中岳、南岳の3峰と  権現山、鍋山、引ノ平などの側火山からなり、人口が密集する鹿児島市の市街地に近接しています。
有史以降の山頂噴火は南岳に限られるのですが、山腹や付近の海底からも噴火しています。
「天平宝字」「文明」「安永」「大正」の噴火はすべて山腹噴火であり、プリニー式噴火で始まり、火砕流の発生、多量の溶岩の流出と推移しました。
「昭和」噴火も山頂火口そばの斜面で発生し、溶岩を流出しました。
1914年(大正3年)の噴火前、桜島は鹿児島湾内の火山島であったのですが、大正噴火で流出した溶岩により大隅半島と陸続きになりました。
現在は東西12.2 km、南北9.5 km、周囲52 kmの不規則な楕円形の小半島となっています。
南岳山頂火口は1955年(昭和30年)10月の爆発以来今日まで長期間にわたって活発な噴火活動を続けており、噴出物(火山ガス・火山灰・火山礫・噴石など)や 爆発時の空振、また、二次災害としての土石流などにより各方面に被害を及ぼしています。
南岳の東山腹8合目に位置する昭和火口は、2006(平成18)年6月に58年ぶりとなる噴火活動を再開し、2008年以降活発な噴火活動が継続しています。
令和になってからの噴火では、令和2年に噴火があり、噴火場所は南岳山頂火口でした。
南岳山頂火口では、噴火活動が 2月頃から8月頃まで低調でしたが、9月以降、再び活発な状態となりました。
7月28日17時25分の爆発及び同日17時54分の噴火で、それぞれ多量及びやや多量の噴煙が火口縁上 3,800m及び 3,500mまで上がりました。
火口から北側の鹿児島県霧島市、湧水町及び熊本県の一部などで、降灰を確認しています。
弾道を描いて飛散する大きな噴石は最大で4合目(南岳山頂火口より 1,300~1,700m)まで達しました。
また、同火口では火映を時々観測しました。
年間爆発回数は、228回(すべて南岳山頂火口)でした。
令和3年の噴火でも、噴火場所は南岳山頂火口でした。
南岳山頂火口では、噴火活動が 2019 年9月以降活発となり、3月から6月にかけて噴出規模の大きな噴火の頻度が増加し、噴煙高度が火口縁上3,000mを超える噴火の頻度が増加しました。
6月4日02時59分の爆発では、大きな噴石が火口より約3kmの地点まで飛散しているのを確認しています。
大きな噴石が火口から3kmを超えて確認されたのは、1986年11月23日以来でした。
7月頃には、噴火回数が減少し噴火活動は低下したのですが、8月以降、噴火活動は緩やかに活発化の傾向で、8月9日05時38分の爆発では、多量の噴煙が火口縁上 5,000mまで上がり、鹿児島市、姶良市、霧島市、湧水町及び宮崎県と熊本県の一部で降灰を確認ししました。
昭和火口では、噴火は観測されませんでした。
桜島の噴火は、すべてブルカノ式噴火・連続噴火で、年間爆発回数は、221回(すべて南岳山頂火口)でした。
このように毎年200回以上噴火は観測されています。

桜島は、約26,000年前の誕生以来17回の大噴火を繰り返してきました。
その噴火活動は、大きく2つの時期に分かれています。
最初は北岳(御岳)の活動です。
誕生以来たびたび噴火し、約5,000年前に活動を休止しました。
なかでも、約12,800年前の噴火は規模が大きく、鹿児島市街地で約1ⅿ、鹿児島県のほぼ全域で約10cmの軽石が降り積もりました。
約4,500年前からは南岳の活動がはじまります。
あとから誕生した南岳は、北岳に覆いかぶさるように成長し、現在まで活発な活動を続けています。
歴史時代に入ってからは、天平宝字(764年)、文明(1471年)、安永(1779年)、大正(1914年)と4回の大噴火を起こし、そのたびに島は形を変えてきました。
大正噴火では大量の溶岩が流れ、先に述べたようにそれまで島だった桜島と大隅半島は陸続きとなりました。
昭和の噴火(1946年)は、溶岩を流した最後の噴火です(爆発的な噴火を伴わなかったため、17回には含まれません)。
その後、1955年からは火山灰の噴出を繰り返す噴火活動がはじまり、今日まで活動が続いています。
現在は、南岳の山頂火口もしくは南岳東側斜面の8合目付近にある昭和火口のどちらかが爆発を繰り返しています。

今現在の桜島では、山体膨張は概ね停滞しているそうで、現在のところ規模の大きな噴火が発生する兆候は認められないとの気象庁の発表です。
ただし、今後も同程度の噴火が発生する可能性があるため、南岳山頂火口及び昭和火口から概ね3km以内の居住地域(鹿児島市有村町及び古里町の一部)では、大きな噴石に厳重な警戒(避難等の対応)をしてくださいとの事です。
噴火に慣れている鹿児島の人たちでも、さすがに最も高い5レベル(避難)に引き上げたのには驚いたことでしょう。
一日も早く普段の生活に戻ることを願っています。
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