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「クルド人」についての歴史

「クルド人」について調べてみました。

トルコで嫌われている「クルド人」とはどのような人たちなのでしょうか?
そして、なぜトルコはここまでクルド人を目の敵にするのでしょうか?
まず、クルド人の歴史についてまとめていきます。
クルド人は中世から近世にかけてオスマン帝国の中で暮らしていました。
しかし、第一次世界大戦によってオスマン帝国が敗れると、フランスやイギリスやロシアによって複数の国に分割されてしまいました。
1946年には、ソ連の後押しによって、クルディスタン共和国ができましたが、最終的には独立することができませんでした。
その結果、クルド人は複数の国家にまたがってしまい、それぞれの国では少数民族として扱われてしまうようになってしまいます。
そして、各国の政府はクルド人に対して、同化政策をとり、クルド人が独立しないようにしました。
20世紀の後半になると、トルコやイラクなど多くのクルド人が住んでいる国で、分離独立しようとする動きが加速し、長い間政府と武力闘争を繰り広げられています。
最近までは、クルド人の居住域周辺で過激派組織ISIL(イスラム国)が勢力を拡大していて、さらに緊張感が高まっていました。
るというのが現状です。

ISILの戦闘員数は、2015年の最盛期には約3万3,000人であったそうですが、その後減少が続き、2017年12月時点では、1,000人未満になったとされています。
他方で、2020年8月には、シリア及びイラクに戦闘員ら1万人以上が残存しているとも指摘されていました。
こんな中、アメリカのバイデン大統領は、2022年2月3日、アメリカ軍がシリア北部で急襲作戦を実行し、「イスラム国」の指導者と幹部が死亡したと発表しました。
バイデンさんは演説で、これにより「世界からテロの脅威が取り除かれた」と述べていました。
その後は、「イスラム国」のニュースは入ってきていないのでわかりませんが、、「イスラム国」というのはそもそも、指導者の指導力やカリスマ性によって勢力を維持している組織ではなく、「イスラム国」ならびにその戦闘員は、イスラム教徒が神の言葉そのものと信じる啓典『コーラン』を典拠とするイスラム法に従い、全世界をイスラム法の統治下におくまで戦い続けることこそが自らに課せられた義務だと信じている人たちの集まりなので、クルド人に交じって潜伏しているものと思われます。

このように、クルド人は約3000万人という人口を誇っているにもかかわらず、独立することができないというのがクルド人問題のおおまかなところです。
元々は、一つの民族としてまとまりがあったにもかかわらず、民族と関係なく国境を定められたせいで、分断されてしまったというなんとも可哀想な歴史が生み出した悲劇というわけですね。
クルド人は、民族衣装が独特で、シリアに住むアラブ系の人々とも少し違っています。
トルコ、シリア、イラク、イランなどにまたがって暮らしている約3000万人の民族グループで、共通の言語や習慣を持っていますが、一度も自分たちの国を持ったことがなく、「国を持たない最大の民族」と呼ばれています。
多くの人々が複数の国境にまたがっていることから、クルド人はしばしば周辺国にゲームの駒として利用されてきました。
1980年代には「クルド労働者党(PKK)」がトルコ国内で武装闘争を開始しています。
クルド人国家の分離独立を目指しましたが果たせず、死者は4万人にも上っています。
この結果を受け、トルコ政府は「クルド人はトルコを脅かすテロリスト集団」と見なしました。
そして、2011年に始まったシリア内戦ではクルド人が活躍しました。
トルコ、シリア、イラク、イランなどにまたがって住んでいるため、どの国で問題が起きた場合もクルドはその影響を受けます。
自らの身を守るためにシリアのアサド政権と対立し、さらにアメリカと結託して過激派組織「イスラム国」に勝利しました。
その見返りとしてシリア北部での自治権獲得を目指していたのですが、これを見たトルコは、「このままではトルコ国内での自治要求が強まるかもしれない。トルコを割ってクルドの国を作ろうとしている」と警戒心を募らせ、クルドを叩こうとシリア北部のクルド人地域に侵攻しました。
アメリカは、これまでずっとクルドを守ってきました。
クルド人が住んでいるのは、シリアの石油資源が豊富な場所です。
つまり、クルドと結託していれば、アメリカはクルドを通して間接的に石油を手に入れることができ、イランやロシアの介入を防ぐことができます。
しかし、トランプ大統領はアメリカの利益だけを優先して、中東の終わらない戦争に関与しない姿勢を示しました。
そして、何の前触れもなくいきなりアメリカ軍を撤退してしまいました。
この結果、次の3つのことが危惧されています。
(1)生じた隙間にロシアが介入し、このエリアは事実上、しばらくの間ロシアの影響下に入るということ。
(2)トルコがシリア側の国境沿いに「安全地帯」を作り、そこへトルコに何百万人といるシリア難民を戻すと言っています。
しかし、元から住んでいるわけでもない場所にアラブ系シリア人を大勢投入することで、そこにいるクルド人を薄めようとしているのではないか、ゆっくりと民族浄化を行っているのではないかという説があります。
(3)アメリカ軍が撤退すると、シリアの軍勢がイランを後ろ盾にして、イスラエルの国境にまで進出する可能性がありますが、イスラエルにとってイランは絶対に許せない存在です。
すぐ近くにイラン軍が来ているとなると我慢できずに一方的に攻撃し、次なる戦争が起きてしまうというリスクもあるのです。
つまり、アメリカが外した安全装置は、実は大きかったのではないかということになります。


元々中世から近世にかけて、オスマン帝国内を移動しながら遊牧をしている民族でした。
なので、結構広い範囲に分布しています。
しかし、このように複数の国にまたがって住んでいることが問題に結びついていると思います。
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