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熱海の土石流は大規模な盛土が原因か

静岡県熱海市の伊豆山で7月3日、大規模な土石流が発生しました。
人が多く住んでいる居住地にまで土石流が流れ込んできて、渓流の河川だけでなく、道路までも川となって住居をなぎ倒して海まで流れ、多数の住民が安否不明になっています。
このような土砂災害はなぜ起きたのでしょうか。

地盤災害に詳しい東京電機大の安田進名誉教授(地盤工学)は、「被害状況から土石流が起きたと判断できる」と説明しています。
土石流は、山腹や川の土砂、石が集中豪雨や長雨などで一気に下流へ押し流される現象で、その速さは時速20~40キロとも言われています。
名古屋大の田代喬特任教授(河川工学)は、「まず非常に強い雨が降り続いたことが大きい」と話しています。
気象庁によると、熱海市網代の観測地点では、3日午後3時20分までの48時間で321mmの降水量を記録し、7月の観測史上で最多となっていました。

名古屋工業大の松岡元はじめ名誉教授(土質力学・地盤工学)は、「かなり激しい流れだ。降り続いた雨が斜面全体に浸透し、(土壌の中が)水でいっぱいとなって一気に斜面が流れ出たのだろう。土中の水の圧力が、土石流発生の根本の原因。これが水の恐ろしさだ」と強調しています。
普段は土の粒子が互いに結び付き、斜面を滑り落ちる力よりも、滑りに抵抗する力の方が大きい状態で安定しています。
土の中に浸透した水の圧力によって、粒子同士の結び付きが離れると、粒子の摩擦力がなくなります。
「そのような状態になると、斜面の傾斜が15度以下でも計算上、滑り出して土石流が起こり得る」と解説しています。

さらに現場は、近くの活火山である箱根山の過去の噴火による噴出物や火山灰が堆積していた可能性があります。
田代特任教授は、「崩れやすく、もろい地質だと思う。急峻な山間地の谷地形になっていて、周辺からの水と土砂が相まって山腹の木々も巻き込み、相当な力で一気に流れたのではないか」とみています。
ハザードマップによると、周辺は土石流や地すべり、急傾斜地の崩壊などのリスクが高いエリアに指定されていました。
田代特任教授は、「危険度が高まっているときは、空振りになるかもしれなくても、命と身の安全を守る行動をとってほしい」と呼び掛けています。

さて、ここまではまさに天災ですが、この大規模な土石流について、静岡県は4日、土石流の起点となった逢初川の上部で、開発行為に伴う盛土の崩落が確認されたと明らかにしました。
崩れた盛土は約5万立方メートルと推定され、周辺を含めると約10万立方メートルの土砂が流れ下ったとみています。
盛土の存在が土石流の被害拡大につながった可能性もあるとみて今後、開発行為の経緯を含めた原因の調査を進める方針との事です。
盛土が確認されたのは逢初川河口から約2キロの標高390メートル地点だそうです。
逢初川の起点より約400メートル西側で、盛土前に谷になっていた地形の最奥に当たるそうです。
県が昨年取得した地形の電子データと2010年頃の国土交通省のデータを比較したところ、長さ約200メートル、幅約60メートルの盛土が分かったそうです。
静岡県によると、土石流の最初の起点が盛土だったのか、盛土より下流側の崩落が盛土の崩落を誘発したのかは現時点で分かっていないそうです。
崩れた盛土の上部には車両が通行できる道が整備されていたそうですが、開発行為の目的や時期も明らかになっていないそうです。
県土採取等規制条例は面積千平方メートル以上、体積2千立方メートル以上の土地改変を行う場合、県に届け出をするように定めているます。
ただ、全国一律で盛土を規制する法律はないため県内の自治体が国に整備を要請していたそうです。
静岡県の川勝平太知事は同日、ウェブ開催された全国知事会の広域災害対策本部会議で、「雨が直接的な要因であり、開発と因果関係は明確ではないが、今後検証したい。防災の専門家の意見ももらい、全国知事会としても何らかの開発制限について国への提言など対応の強化が必要」と述べています。

愛媛県でも、田舎の林道とかは、新設する際には構造物を多くするとその分工事費がかさむので、何段もの切土をして工事費を安くする設計になっています。
ここで問題になるのが発生した土をどこに捨てるのかということです。
切土が多くなればなるほど盛土も同じくらいどこかに捨てないといけません。
できればその設計のなかで何とかしたいと思うのは当然のことで、特に谷部に大量の盛土を行うような土捨て場計画をするのは設計者としては当たり前かも知れません。
林道は、民家までの距離が遠いために熱海のような人を巻き添えにするような土石流は非常に少ないのですが、近くの山に約5万立方メートルもの盛土を行うのはものすごく危険なことと思えます。
盛土は、地山に比べると抵抗力は小さいのは当然のことなので、今後は、斜面での大規模な盛土は禁止するのが一番だと私は思います。

土石流最上部の盛り土が崩落したとみられる箇所=3日午後、熱海市伊豆山(静岡県がドローンで撮影)
土石流最上部の盛り土が崩落したとみられる箇所です。
7月3日午後、熱海市伊豆山(静岡県がドローンで撮影)(静岡新聞社)
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