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姫島の黒曜石

去年の年末に、国東半島に旅をしました。

国東半島は、大分県北東部に位置し、南側を別府湾、東側を伊予灘、瀬戸内海、北側を周防灘に囲まれています。
そして、この半島の北には姫島(ひめしま)がありました。
姫島は、国東半島沖に浮かぶ島です。
一島一村であり、全島で東国東郡姫島村を形成し、人口1,991人(2015年国勢調査)だそうです。

地理的には、国東半島の北約6km、瀬戸内海の西部、周防灘と伊予灘との境界に位置しています。
最高峰の矢筈岳(標高266.6m)を中央に、西に達磨山(標高105.0m)、東に焼野岳(標高132.0m)、東端に柱ケ岳(45.0m)等が連なり、南北が約4kmであるのに対して東西が約7kmと、東西に細長い島となっています。
矢筈岳と達磨山の間のくびれた平地部に、北浦、西浦、南浦、松原といった中心集落が形成されており、その南岸には姫島港が位置しています。
また、北岸にはクルマエビの大規模な養殖場がありました。

地質としては、​第四紀更新世前 - 中期の堆積岩類を基盤とし、約30 - 20万年前の大海、矢筈岳、金、稲積、城山、達磨山、浮洲の7つの火山(これらを総称して姫島火山群と呼ぶ)の噴火活動によって形成された島だそうです。
島北東部の観音崎には、この噴火活動で形成された黒曜石が露出した断崖があります。
黒曜石の露頭は日本では珍しく、「姫島の黒曜石産地」として2007年(平成19年)7月26日に国の天然記念物に指定されています。
また、西部のス鼻海岸で産出する藍鉄鉱、及び、東部の大海海岸で見られる地層褶曲が大分県の天然記念物に指定されています。
国産み神話では、イザナギとイザナミが産んだ島のひとつ女島とされています。
1950年(昭和25年)には、全域が瀬戸内海国立公園に指定されているきれいな島です。

先に述べた黒曜石ですが、通常、黒曜石はその名が示すとおり、黒く光る石ですが、姫島で出土する黒曜石は乳白色を呈しています。
通常の黒曜石産地においても乳白色、あるいは白味のある黒曜石が少量出土することはありますが、姫島産の黒曜石は全て乳白色を呈し、黒い黒曜石は全く産していません。
また、微細な斑点を無数に含むものが多く、肉眼的にも判別しやすい特徴を有しています。
姫島は国東半島の北東に近接する瀬戸内海に浮かぶ島であり、観音崎、オイ崎、稲積、両瀬の大きく4ヶ所の産地が知られています。
姫島産黒曜石は後期旧石器時代から利用されていますが、縄文時代における利用が中心だそうです。
旧石器時代では瀬戸内海が陸化し、現在の姫島産黒曜石原産地は山の頂上であったそうです。
山裾など低地部ではガラス質安山岩が広く分布し、それらに混じって少量の黒曜石が存在していたと想定されています。
姫島に隣接する大分県中部や山口県宇部台地の旧石器時代遺跡では姫島産黒曜石と考えられる石器が少量出土していますが、まとまった量の姫島産黒曜石製石器は現状で知られていません。
縄文時代になると、現在の瀬戸内海地域に海水が流入し、姫島は島として孤立すると同時に、黒曜石原産地が日常的に海水に洗われることとなり、石材採取が容易となる状況となったものと思われます。
姫島が現在のような島となったのがいつ頃かさらに検討が必要ですが、縄文時代早期頃(約8千年前)ではなかったかと推定されています。
中国地方西部では旧石器時代末~縄文時代初頭には姫島産黒曜石の利用が認められていますが、一般的な利用は早期中葉以降であり、とくに前期以降に出土例、出土量とも大きく増加しているそうです。

私が行った所では、西北部の観音崎に、海底から高さ約40m、幅約120mにわたって黒曜石の層が露出した断崖がありました。
このように黒曜石が地表に露出し、容易に観察できる場所は、日本国内では北海道遠軽町(旧白滝村)や長野県霧ヶ峰など数例しかないそうです。
特に、姫島では、海岸の断崖に露出しているため、黒曜石が波に洗われる独特の景観を呈しています。
また、先に述べたように一般の黒曜石がその名の通り黒色であるのに対して、姫島では、乳白色から黒灰色で微細な斑点を有する特徴的な黒曜石を産出しています。
黒曜石は、ガラス質で、割れ口は先鋭な貝殻状断面を呈し、容易に刃物状に加工できるため、旧石器時代から石器の材料として用いられてきました。
姫島の黒曜石は、瀬戸内海が陸化していた旧石器時代には山頂にあって採集が困難であったと推定されていますが、海水面が上昇し採集が容易になったと考えられる縄文時代に入ると利用が急激に広がったそうです。
姫島の黒曜石は、その独特の色によって産地の識別が容易であり、東九州を中心に、中国地方や四国地方をはじめ、鹿児島県種子島から大阪府に至る広域で使用が確認されています。
姫島の黒曜石は、その地学及び考古学上の重要性から、1959年に大分県の天然記念物に指定され、2007年7月26日には国の天然記念物に指定されています。
また、日本地質学会は2016年5月10日に、姫島を主要産地とする黒曜石を大分県の「県の石」(「大分県の岩石」)に選定しています。
姫島産の黒曜石は、姫島村の離島センター「やはず」、宇佐市の大分県立歴史博物館、大分市の大分市歴史資料館で展示されています。

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小さな島の中が丸くなっていますが、ここが噴火の跡だそうです。
ここに降りるのは断崖絶壁で、遊歩道もないので降りれませんでした。
この島はほとんどが黒曜石が露頭しています。

S__8970273.jpg
西北部の観音崎ですが、海底から高さ約40m、幅約120mにわたって黒曜石の層が露出した断崖がありました。
きらきら光ってきれいでした。

S__8970270.jpg
一般の黒曜石がその名の通り黒色であるのに対して、姫島では、乳白色から黒灰色で微細な斑点を有する特徴的な黒曜石を産出しています。
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