博多駅前の陥没事故と複雑な地質

先日、埋め戻し工事をした博多駅近くの陥没箇所が、最大7cm程度沈下していたそうです。

11月8日の大規模陥没事故とほぼ同じ場所で、路面は約30m四方の範囲での沈下ですが、福岡県警は安全が確認されるまでの約4時間、現場一帯を通行止めにしたそうです。
まずは、迅速に対応した埋め戻し工事ですが、深さ約15m、縦横約30mの巨大な穴の埋め戻しが手早く出来たのは、土にセメントや固化剤を混ぜた流動化処理土を使ったためだと思います。
でも、この特殊な土は、固まりやすいために備蓄はできません。
福岡市によると、福岡市の近郊にある生産工場を押さえ、工場で増産を続けながら、ミキサー車で現場までピストン輸送したそうです。
その量はミキサー車1550台分の約6200㎥にも及んだそうです。
流動化処理土の使用で、埋め戻す前に比べて地盤が30倍の強度となった一方で、コンクリートのように強固ではないため、今後は陥没事故の原因調査のためのボーリング調査ができる利点もあると言われています。
そして、どんなに強度のある土を入れても、沈下は起こります。
深さ約15m、縦横約30mの巨大な穴なので、最大7cm程度は許容範囲だと思います。
毎日毎日、車の振動もあり、しばらくはまだ沈下を繰り返すとは思いますが、こんなのは特別問題にすることではないと思います。

そして、調べれば調べるほど、大規模陥没箇所の地質の複雑さと、工法選定の難しさを感じます。
私は、11月9日のブログで、何も地質のことを知らないがまま、「シールド工法」の方を選択すべきだったと書いてしまいましたが、どうもそうではなかったようです。
あの区間は、ちょうど駅部分にあたります。
「シールド工法」だと、大型ドリルで掘り進むのと同時に壁面を補強する工法です。
駅はどうしても広い空間が必要です。
したがって、「シールド工法」だと、トンネルの大きさを変えることができないので「NATM工法」を採用したそうです。
「NATM工法」での工事は、先に小さな穴を通し、必要な大きさまで広げてコンクリートを吹き付け、ロックボルトで固定する方法で進められていました。
そして、当初計画でも、下図を見ると、岩盤を「NATM工法」で掘って、砂質層や粘土層からは、「シールド工法」を採用しています。
不運なことに、たまたま薄くなっていた岩盤をロックボルトが突き抜けたのか、または突き抜けることはなくても岩盤の亀裂や風化部分に当たり、そこから地下水が浸み込んできたのか、いずれにしても、少しでも脆くなった部分があると水圧の力はものすごいもので、小さな穴も、あっという間に広がってしまいます。
福岡市は、工事開始後に、固い岩盤の幅が波打っていたことを見つけ、岩盤の厚さを2m以上確保するように、8月に現場周辺の設計を一部変更していたそうです。
そして、直前のボーリング調査で、現場近くの地層が傾斜していることも判明したそうで、トンネル天井高を約90cm低くする設計変更もしています。
施工業者の大成建設も、地盤の変化を感知する最先端の技術も導入していたそうです。
そして、ボーリング調査ですが、いくらボーリングを多くしても、たった66mmの径なのですべての地質を把握するのは困難です。
九州大学の教授の三谷泰浩さん(地盤工学)は、岩盤層上部には風化が進み、水を遮る粘土化した部分があるとし「他の場所に比べ粘土化が進んでおらず、水を通しやすかったかもしれない。事前のボーリング調査では把握しにくい」と話しています。
これだけ最新の技術と細心の注意をしていても複雑な地質では事故は起こるということです。

そして、まだまだ再開は難しいみたいです。
施工業者などによると、延伸工事中のトンネルには事故現場から約100mにわたり、陥没した土砂が入り込み、博多駅側には水が充満しているそうで、工事再開には除去作業から始めないといけないそうです。

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九州地質調査業協会が1981年に作製した福岡地盤図によると、現場の地層は岩盤が急激に落ち込んでいます。
こういった地層のところに駅ができることこそが困難だと思えます。

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ちょうど工法の変更箇所の近くでの事故です。

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ものすごい陥没です。
伊予銀行やアパマンショップの下はもう宙ぶらりんです。
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