地形による各種の分類

私たちが一般に呼んでいる「地形」について調べてみました。

(1)地形の意味と各種の分類
まず、私たち地質屋がよく使う「地形」とは違う意味もあります。
「地形」は、じぎょう(foundation)とも言って、構造物の基礎と地盤との接点における工事のことを言います。
砂地形,砂利地形,くり石地形など工事に使用する材料を「地形」の名称にしています。
一般的には砂,砂利,割ぐり石 (砕石) などの材料が使われ、それらをランマーやローラーで地盤表面より締固め,厚みや締固めの程度などを所定のものに確保するために行うものです。
私たちがよく使っている「地形」は、ちけい(landform)は、地球表面の起伏状態(凸凹)をあらわしたものであり、地理分野の専門用語の一つでもあるそうです。
地球上では、まず、
①海面上にある陸上地形
②海面下にある海底地形

に大きく分けられます。
1)営力(作用)による分類
「地形」にはその営力によって、
①構造地形 (変動地形)
地殻運動や火山活動など内作用によって生じるもの。
②浸食地形
風化や浸食などの外作用によって生じるもの。
とがあります。
2)規模による分類
規模としては、次の3種に分類されます。
①大地形(だいちけい)
大規模な地殻変動によってできた大規模な地形です。
大山脈、大平原、大陸台地、楯状地、褶曲(しゅうきょく)山脈などがあり、地質構造と密接な関係があります。
②小地形(しょうちけい)
侵食作用・堆積作用などによってできた小規模な地形のことです。
③微地形(びちけい)
肉眼では確認できますが、地形図上では判別しにくい非常に小規模な地形のことです。
自然堤防などがあります。
3)形態による分類
形態としては、平野,台地,丘陵,山地,山脈,谷などがありますが、私たち地質屋が分類する場合には、大きく分けて、低地・台地・丘陵・山地の4種に分類します。

(2)形態による分類について
1)低地
低地は、
①河川の堆積作用によって形成された沖積低地
②海岸部の海岸低地
③山地の谷あいに形成された谷底低地
④山麓部に広がる扇状地

などが主なものです。
沖積低地は、粘性土・砂質土・礫質土より構成され、沖積低地を形成した河川の土砂供給能力により、土層構成は変化します。
扇状地は、河川が山地部から低地部に流れ込む山地と低地の境界付近に形成された扇状の緩やかな傾斜を有する地域です。
土砂の供給能力の大きな河川では、扇状地地形が海岸線付近まで形成されていることがあります。
扇状地は主に礫質土からなります。
このため、構造物の基礎地盤としては問題がないことが多いのですが、地下水(伏流水)が豊富なことが多いので、掘削等には地下水に対する配慮が必要となる場合が多いと思われます。
沖積低地の扇状地と河口の三角州との間の河道沿いには自然堤防が形成されています。
このような地形は、砂質土・礫質土が卓越することが多く、自然堤防の背後から山麓にかけては、氾濫原後背湿地と呼ばれる軟弱な粘性土が分布する低地が存在する場合があります。
扇状地が海岸線付近にまで達していて沿岸流の影響を受ける個所でもその背後に後背湿地が存在することがあります。
このような地域で、大まかには低平であるが、緩やかな起伏が認められる凹状地形個所では、軟弱層の分布を疑う余地があると思います。
沖積低地を流れる河川が暴れ川であったり、過去に河道の付け替えが行われている個所では、現在の河道にばかり目を奪われていると、予期せぬ礫質土の分布や軟弱粘性土もあり、当初の予定を大きく変更せざるを得ないことがあります。
聞き込みや古い地形図の入手が可能であれば、それらの情報を事前に捉えておくことが望ましい場合があります。
三角州は河口部に形成された自然の埋立地です。
一般に静かな海の河口部に形成されますから、粘性土層が卓越する場合が多く、表層部に河成層、海浜堆積物が分布し、その下位に海成層(粘性土が卓越)が厚く分布する場合が多いと言えます。
砂質土が分布する場合には地震時の液状化が懸念されます。
土砂の供給量の多い河川では、河川の中・下流域にも粗粒な土が堆積し、網状の流路が形成されます。
この網状の流路の粗粒な堆積物が周囲の山地から流入する小河川の口元付近を閉塞するとおぼれ谷が形成され、沼沢が形成され、腐植土が堆積します。
このため、おぼれ谷では圧密沈下などに対して注意が必要となります。
2)台地
台地とは、周辺より標高がかなり高く広がりを持った地域で、シラス台地や洪積台地などがあります。
シラス台地は、南九州にあり、関東ローム層と同様に火山灰が降り積もって台地を形成しています。
洪積台地は、扇状地または三角州が隆起した台地で、洪積世の礫質土を主体としてます。
そして、台地を形成する地形の一つに段丘があります。
段丘は河川沿いに形成された河岸段丘と海岸線に形成された海岸段丘があります。
また、形成された時代により洪積段丘・沖積段丘と呼ぶこともあります。
①洪積段丘を高位・中位段丘
②沖積段丘を中位・低位段丘

と呼ぶことがあります。
この高位・中位・低位段丘は現在の河床からの比高で呼んでいるそうです。
谷沿いの山腹斜面に小規模な段丘面の名残地形が部分的に残っていることがありますが、これを地すべり地形と間違えることがあります。
地形図をよく見るとほぼ同様な標高で同じような平坦面が点在している場合には、地すべり地形か段丘面の名残地形かを疑ってかかる必要があると思います。
不透水性の固結度の低い岩盤上に段丘堆積物が不整合に載っている場合があります。
この場合、段丘堆積物と岩盤との境界付近に地下水位が形成され、段丘側部で地すべりや崩壊が発生することがあります。
3)丘陵地
丘陵地とは、なだらかな起伏、小山や丘の続く地形の地域と説明されます。
丘陵を形成する地盤は、未固結または半固結の比較的新しい堆積物からなることが多いと思いますが、開析が進み沢が発達します。
また、頂部の高さがそろっており、以前は一続きの面であったことが伺えます。
丘陵地の地下水は全般に深いことが多いと言われています。
地層の分布が水平で、不透水層の上位に透水層が分布する場合には崖部に湧水があり、崖の浸食を助長している場合があります。
また、地層の分布が傾斜している場合には傾斜した地層の下流側に地下水が集まりやすく、被圧水が存在する場合があります。
丘陵地は、巨視的に見れば台地や平地の地下水の涵養地になっていると言われています。
火山の山麓には広大な緩斜面が広がっていることがあります。
火山山麓の丘陵状の斜面は、溶岩・凝灰岩・火山灰・泥流堆積物などから構成されますが、全般に不規則・不均質なことが多く、地質屋さん泣かせの地域と言ってよいと思います。
このような地域では、岩盤と未固結な土砂の区別は付きますが、溶岩と未固結土砂が互層をなしている場合もあり、ボーリング調査だけでは、薄い溶岩層なのか火山弾転石なのか区別が付かない場合があります。
未固結土砂は火山噴出物層や泥流堆積物層等といった地層名をつけることが多いと思いますが、土質が極めて不規則・不均質な場合にはその土砂の起源さえもよくわからず困ってしまうこともあります。
火山性の岩盤では、割れ目に対する配慮が必要ですし、未固結な土砂や固結度の低い岩盤では、水に対する抵抗性や応力開放・吸水膨張による脆弱化に留意が必要な場合があると思います。
4)山地
山地は周りの地形より起伏が大きく急な斜面を有する地形で、日本の国土の3/4は山地であると言われています。
山地は、浸食作用の激しい場所で、谷が複雑に刻まれていますので、谷の下流域に対する土砂の供給源となっています。
①高さが2000m以上を高山性山地
②1000m程度を中山性山地
③500m以下を低山性山地(丘陵)
と分類されています。
山地は主に岩盤から構成され、山腹斜面の一部に上部斜面から供給された崖錘堆積物や崩積土が分布したり、谷部には土石流堆積物等が分布したりします。
また、岩盤がゆっくりと移動する地すべり土塊も存在します。
山地斜面の主体である岩盤の工学的性質を考える場合には、風化による脆弱化と層理・片理・節理といった岩塊を分離する境界面の方向・傾斜・密度や状況に注意する必要があります。
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