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玉石と転石の違い

土質力学や工学の分野では、土粒子の大きさによって、粘土、シルト、砂および礫を区分し、これを総称して土と呼んでいます。
でも、一般的には土という場合には、粘土やシルトなどの粒子の微細なものを意味しています。
でも、それよりも粒子のやや大きいものを砂、さらに大きくなるにしたがって、砂利あるいは礫、そして「玉石」および「転石」と呼び、最も大きいものを岩と呼んでいます。
この岩がある広さにわたって連続的に分布している場合に岩盤と称しています。

ここで注目したいのは「玉石」と「転石」です。
どちらも大きい石ですが、その使い分けについては、私はアバウトでした。
いろいろな辞書を調べてみると、
①玉石 (たまいし cobble stone)
一般に堅緻な石塊で、圭角を失いほぼ球形をなすものです。
河川などにある丸い石で、直径6~30cm程度です。
・海中工事の基礎としての捨石に使う
・建築の基礎や垣・庭などに使う
・蛇籠 (じゃかご) に入れる
・舗石に用いる
・砕石の原料に用いる
つまり、「玉石」とは、岩石が風化、流水、転落などの自然作用によって砕かれ、角がとれた状態になったものを呼んでいるようです。
直径は、6~30cmとか、15~30cmとか、20~30cmとか諸説ありますが、約30cm以下は間違いないようです。
参考までに層状チャート等のよく円磨された礫で、光沢があって艶々光っているものを、「玉石」と呼んでいます。
また、炭層の中にある、卵形の珪化した石炭も「玉石」と呼んでいるそうです。
②転石 (てんせき boulder )
基盤の岩石から離れ、流水などに押し流されたり、崖下などに転落している礫を呼んでいます。
通常は、粒径が1m以上とか、2m以上とか、3m以上とかを「転石」と呼んでいるみたいです。
ある辞書では、
・転がっている石
・山腹や河原などに点在する石
と説明しています。
また、地表または地中にある石塊で、水や土砂で流されたために比較的滑らかな表面を有するものとも書いてあります。

この説明では矛盾があります。
30cmから1m迄の粒径の石は何と呼ぶのでしょうか?
「玉石」と「転石」すべてが丸いものだとすれば、角が尖っているものは何と呼ぶのでしょうか?
これのヒントになるものとして、旧日本道路公団(現在の日本高速道路株式会社)の「土質地質調査要領」では施工の難易による土砂区分が以下のように示されています。
・土砂F---岩塊、玉石、岩塊及び玉石混り砂礫
・土砂G---岩塊及び玉石混り砂質土、岩塊及び玉石混り粘土
その中で、岩塊とは(転石と同じ意味だと捉えています)「径50cm程度以上のもの」とされています。
玉石とは「10~50cm程度のもの」とされています。
「土質地質調査要領」では50cmを「玉石」と「転石」の境界にしていたようです。
そして、「岩塊」ですが、これは明らかに角ばったイメージです。
「転石」についても、私には丸いイメージはなかったのですが、例えば、径が同じでも、角ばっているものを「岩塊」とし、丸みを帯びているものを「転石」とすると矛盾はなくなります。

「玉石」も「転石」も、地学用語ではなく、土木分野で使っているだけのようです。
だから、「玉石」も「転石」も厳密な定義はないようです。
地質学で、巨礫(きょれき、boulder)と呼んでいるものは、直径(礫径)256mm以上の礫との定義があり、これと同様の大きい石を土木分野では、掘削工事中に「玉石」とか「転石」とかに使い分けているものと想像できます。
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