富士山の地下水

富士山の地下水について調べてみました。

富士山は、2~8万年ほど前に玄武岩質マグマの火山活動を始めています。
1万年ほど前のウルム氷期の末期には厚く氷に覆われた山体から激しい噴火活動に伴って、大量の泥流を東西南北各方面に流し出しています。
1万年ほど前を境にしてそれ以前を古富士の火山活動、それ以後を新富士の火山活動と呼んでいます。
約1万前の新富士初期の火山活動で各方面に多孔質の玄武岩質溶岩が流し出されました。
富士山は、標高1,800m付近の勾配変換点以高では傾斜が1/2に近い急斜面なので、雨水は浸透できず、大部分が凹地に集まり表流水となるので地下への浸透は殆どありません。
でも、標高1,800m以下では水文地質学から見ると、古富士火山は水の浸み込み難い火山ですが、その上に最大厚み250mで50層くらいの新富士の溶岩流が乗っていて、この新富士の溶岩流の中に地下水の流れができています。
火山礫等に覆われており、地表水はすべて浸透して地下水となるため、富士山には河川がなく、水は全て地下へ浸み込み、連続数百mmの豪雨でさえ殆ど吸収されています。
それがやがて山麓の湧水として湧き出すので、富士山は巨大な水がめのようなものと考えることができます。
冨士山は単独で3776mの高さになった世界でも数少ない火山です。
富士山の溶岩は玄武岩で粘性が低く、裾野までよく流れて広がり、今のような形ができていました。
この富士山の溶岩が御坂山地との間を埋めて、その間にできた水溜りが富士5湖です。
この溶岩は現在良好な帯水層となって、
①北麓の忍野八海
②西麓の白糸の滝
③南西麓の浅間神社の湧玉池
④南東麓の三島湧水・柿田川
など富士山麓に日本を代表する湧水を形成しています。
富士山とその山麓の地下水流量は約470万m3/日と計算され、その量は関東平野全体の地下水の流れに匹敵すると言われています。
地下水は、当然降水量の影響を受けており、降水量が多いと富士山という水がめの水圧が上がって湧き出す水も多くなり、降水量が少ないと水圧が下がって湧き出す水の量も減るものと推定されています。

富士山は厳しい自然条件を持っており、富士山とその周辺における水循環は活発です。
富士山頂付近の地下には今も永久凍土があるといわれています。
頂上付近では平均すると積雪の初日が9月30日頃で、終日は7月1日頃です。
積雪期間は10月から6月の9ヶ月間にも及んでいます。
11月から3月の間は五合目(標高約2,300m)付近まで氷結した雪で覆われ、頂上付近の積雪の深さの最大は4月頃で、3mを超すとされています。
富士山に降る雨の大部分は4月から10月に集中し、先ほど述べたように、雨水や雪解け水は山麓で殆ど地下に浸透しています。
降水量は年間平均するとほぼ南東斜面で3,000mm、南斜面で2,000mm、西斜面で2,500mm、北斜面で1,500mm程度です。

こんな富士山とその周辺ですが、戦前は水が乏しく、田んぼもできないような地帯でした。
戦後 ボーリングの技術によって地下水が豊富にあることがわかり、一躍水の豊富な場所になったそうです。
昭和34年に富士総合開発(株)が表登山口一合目(富士宮市、標高1,040m)で取水を目的に勾配1/300で約2,000mの長さの横穴を掘削したのですが期待した水は得られず僅かに湧出した水の量も季節により大きく変化したそうです。
その時の坑道の観察によると、坑口から1,400mまでは新富士火山の初めの頃の溶岩が6枚ほど整合に重なり、ほとんど水は見られず、7枚目の溶岩は褶曲していて若干の湧水がありました。
ここから100m先に古富士溶岩との境界があるとされていますが、その先の坑道の終点までの古富士溶岩にも水はありませんでした。
坑道の終点近くで支坑を掘ったところ古富士溶岩からわずかに湧水があり、700mmの豪雨のあと、その浸透水が坑道内の7枚目の溶岩の湧出地点で湧出するまでの経過時間(10日間)と地表の浸透地点と推定される標高1,800m付近との距離(4,000m)からの新富士溶岩中の宙水状態の地下水の流速を計算すると400m/日(0.5cm/秒)となりました。
坑道終点近くの古富士溶岩の湧水の流速はさらに一桁小さく計算され、富士山の斜面で地下に浸透し、宙水として流れる地下水は勾配は、比較的ゆっくりした流れであることが分かりました。
また、坑道の終点2,000m付近で垂直に深さ110mのボ-リングをしたところやっと地下水面が検出されました。
この結果、富士山の標高1,000m付近では新富士溶岩、古富士末期の溶岩の地下水は宙水状態であり、地下水本体はもっと深いところに存在することが確かめられました。
先に述べたように、この地下水は山体を流下し、やがて被圧地下水となって富士山麓で湧出しています。
富士山の西麓を流れる芝川と潤井川は、富士山の西側山体の湧水を源流としています。
この二つの河川の流量141万m3/日は富士山西麓の湧水の総量と考えることが出来ます。
この水量をもとにして富士山の各斜面の面積と降水量から富士山と山麓の地下水流量の総量を計算すると470万m3/日ということになります。
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