FC2ブログ

地すべりと地下水

ここ最近では、6月の台風の影響で、日本各地で集中豪雨がありました。
時間雨量で100mm以上も降るような豪雨もありました。
当然、各地の地盤は緩んで、特に地すべり地域では不安な夜を過ごしていただろうと想像できます。
地すべり地域の地下水の測定について調べてみました。

(1)地すべり地形と地下水
地すべり調査で実施されるものの一つに、地すべり地域の地下水の賦存状況や水位変動の観測があります。
地すべり地域には、他の山地斜面に比較して、多量の地下水が賦存していることはよく知られています。
これは地すべり地域が
①表流水を集めやすい地形を呈していること
②後背地に台地が控えている場合が多いこと
③地すべりの移動土塊とその下位の不動岩盤では透水性に差が見られ、伏流水を形成しやすいこと
などに起因しています。

(2)地下水位上昇のメカニズム
地すべりの活動は、大雨の最中や降雨後などに活発化する場合が多く、地すべり活動は地下水の状態に大きな影響を受けているものと考えられます。
このことから、地下水の賦存状況と地すべりの活動の度合いとの関係を詳細に把握するために、多くの地すべり地域では継続的に地下水位の観測が実施されています。
地すべりの動きは、活動力(動こうとする力)と抵抗力(留まろうとする力)とのバランスで決まります。
活動力が強ければ地すべりは緩慢に動き、抵抗力が強ければ地すべり活動は停止しています。
このバランスが一定に保たれていれば活動状況は一定のはずですが、実際の地すべりは断続的に活動したり急激に動きが活発化することがあります。
その原因の一つとして、地下水の賦存状況の変化が挙げられます。
すなわち、降雨等により地下水位が上昇すると地すべり活動が活発化し、晴天が続いて地下水位が低下すると安定化する傾向があります。
そのメカニズムについては諸説ありますが、主要なものとしては次の2点が挙げられます。
①地下水位が上昇することにより、とくに地すべりブロック下部の受動側土塊に浮力が働き、地すべり土塊の抵抗力が減少する
②地下水位が上昇することにより、すべり面付近の間隙水圧が上昇し、すべり面のセン断抵抗力(地すべり活動に抵抗する力)が低下する
以上のような要因により、地すべりの活動が活発化あるいは沈静化するものと考えられるため、地すべり活動と地下水位の変動には密接な関係があるとされています。

(3)地すべり地域の地下水の調査
地すべり地域の地下水に関する調査としては、
①地下水の水位を測定
②地中の間隙水圧を測定
③地盤の透水性を把握
④地下水の流動層や流動方向を把握

などがあります。

(4) 地下水位の測定
地下水位の測定は、一般に既存の井戸か調査ボーリング孔を用いて行われます。
測定方法としては、
①触針式の水位計を用いて定期的に人が手測りで測定する方法
②自記水位計(自記記録式の水位計)を設置して連続的に測定する方法

があります。
自記水位計の水位を感知する方法として、昔はフロートと呼ばれる浮きが上下することにより記録していましたが、最近では間隙水圧センサによる方法がほとんどです。

(5)地下水位と対策工
水位計により把握された地下水位の変動状況あるいは間隙水圧の変化は、地すべりの安定度を検討するための基礎資料になり、安定解析を実施することによって安全率(地すべり土塊の安定性を示す指数)が求められます。
求められた安全率から、地すべり土塊が恒常的な安定を保つために必要な抑止力を算定することができ、その抑止力に基づいて地すべり抑止工あるいは抑制工のための対策工を検討します。
地下水位が最も高い時点で地すべり土塊が最も不安定な状態になることから、対策工を検討する際には、最高水位の状態での安全率に基づいて工法の種類と規模を設定する必要があります。
したがって、地下水位の測定は、水位上昇が想定される梅雨時や台風シーズン等を含めた時期のものを使用することが多くなります。
1)地下水の種類
ボーリング孔内の水位は、
①被圧している亀裂から流入する地下水
②不圧水である亀裂から流失する地下水
これらのバランスによって形成されています。
したがって、孔内で観測された水位が必ずしも地すべりの地下水位を反映したものではない場合もあります。
2)地すべりと地下水
地すべりの地下水位を的確に示すものかどうかは、
①周辺のその他のボーリング孔の水位状況との対比
②地表の湧水分布等との比較
③ボーリング孔内の水位変動と降雨との連動性

等から妥当性を検証して決定します。

(6)対策工の施工とその検証
前述のように、地下水位が上昇すると地すべり土塊が不安定になるため、対策工法の一つに、集水井工や集水ボーリング工のような地下水位の低下を目的とするものがあります。
この工法の検討では、低下する地下水の低下度合いを設定(期待低下水位という)して地すべり土塊の安定化を検討します。
したがって、対策工の施工後には期待通りの水位低下効果が得られたかどうかを確認する必要があり、そのための地下水位観測も実施されます。
測定方法は、
①すべり面付近に間隙水圧計を埋設して測定する方法
②すべり面付近にストレーナー加工した保孔管を設置して、その上下を遮水して孔内水位を測定する方法
とがあります。                       
最新記事
カテゴリ
リンク
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

月別アーカイブ
カウンター
検索フォーム
QRコード
QR