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放射線を遮断する防護服

福島第1原発で使われている防護服について、なにか気になる情報が入ってきました。

(1)日本人が着ているタイベックの防護服
福島第1原発で作業に当たっている自衛隊員や従業員らが着用している防護服は、「タイベック・ソフトウェアⅢ型」の特殊加工品だそうです。
タイベック・ソフトウェアの用途説明書には、
①新型インフルエンザ等の感染症対応
②焼却炉の解体やメンテナンス作業(ダイオキシン対応)
③工場内の清掃やメンテナンス作業
④ペイントスプレー作業
⑤鉛の除去作業
⑥アスベスト除去
⑦農薬散布
⑧食品加工
⑨金属加工

等には使用できると書いてありますが、放射能のことには一言も触れていません。
一着1200円だそうです。
実際に福島第1原発の最前線で放射性物質の除染業務に当たる陸上自衛隊の中央特殊武器防護隊(大宮駐屯地)の人は、鉛を服の前面に入れ、ある程度放射線を防げる防護服を装備しているとの事ですが、高密度ポリエチレンで出来ており、厚さは1ミリ程度以下ですから、横からの放射線には弱く、今回の事故で問題となっている放射線(ガンマ線)は防げないみたいです。
それに、X線に対してもベータ線に対してもあまり遮断効果は期待できません。
防げるのは、放射能を帯びた「物質」が付着することのみだそうです。
非常にしみにくい素材で作られたレインコートのようなものにすぎないと言っている人もいます。
長靴を履かずに、放射能の水の中に入って被爆したり、何か福島第1原発の事故処理のまずさが収束を遅らせているような気がしてなりません。

(2)アメリカが寄付したデムロンの防護服
4月に入って、アメリカのメーカーが、放射線を遮断する特殊な防護服200着を日本に寄付したそうです。
アメリカのメーカーが開発したこの防護服は、「デムロン」という特殊な素材で作られていて、重さはおよそ5kgで、福島第1原発で使われている防護服が、主に放射性物質の体への付着を防ぐだけなのに対し、この防護服は、透過性の高い放射線を遮断することができると言われています。
防護服を開発したメーカーの担当者は「生物化学兵器に対応した防護服はほかにもあるが、放射線にも対応できるのは、この防護服だけで、世界初だ」との話です。
この防護服は、アメリカ軍などが使用していて、1着15万円相当で、メーカーは200着を東電に寄付したとの事でした。 
実際にガンマ線をかなりの割合で遮蔽できるみたいです。
遮断効果としては、データではデムロンの厚さが1.5cmのとき、セシウム137のガンマ線を床と垂直方向で30%減らすことが出来ています。
これは同じ厚さのアルミニウムと同程度です。
言わば柔らかいアルミニウムといったところで、なかなかのものと言えます。
以上のように、デムロンでも防護服として用いるなら、セシウム137のガンマ線を大きく遮断することは出来ません。
30%程度あるいは厚くしても50%程度減らせるだけで、残り70%~50%は透過してしまいます。
しかし、エネルギーがもっと小さなX線程度ならもっと大きな遮断効果があり、デムロン防護服の主眼はそこにあります。
放射性ヨウ素やセシウムからはX線がたくさん出ますから、それに対しては大きな効果があります。
また、ベータ線の遮断効果も大きく、陸上自衛隊が着ているタイベック防護服よりはるかに効果があります。
でも、4月も終わりに近づいてもまだこの服を着ているところがテレビで観ません。
 
(3)事故後の安全管理や危機管理の甘さ
本当にこの服が放射能を軽減するのなら、東電は事故を想定して事前に何百着も何千着も買って保管してなければいけません。
そして、事故後には、最短時間で収束できるように、リーダーが陣頭指揮を執ってこの黒い服を着て何百人、何千人以上の収束班を率いて、一気に爆発を食い止めるような動きをみせる事が必要だったと思います。
原発の事故は起こりえないとでも思っていたのか、東電ともあろうところが、事故後の安全管理や危機管理があまりにもなさすぎなのは不思議でたまりません。
今更ながら、何もかも外国の寄付では先進国として情けない気がします。

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「デムロン」の防護服

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