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原子力発電は必要か?

福島第1原発の事故が長引きそうな予感がする昨今、原子力発電についての問題点がいくつかあります。
まず、この問題点をリストアップしてみました。

(1)原子力発電についての問題点
①大きな事故の場合、大惨事
大きな事故を起こした場合、取り返しのつかない大惨事になってしまいます。
今まさに福島第1原発の事故が示すように、半径30kmが立ち入り禁止になるなど、放射能汚染は山や海や川など、すべてのものに撒き散らし、農作物や家畜だけでなく人間の命も奪います。
古くは1979年のスリーマイル島原発事故で、原子炉の冷却機能が故障し、原子炉が爆発寸前に陥りました。
1986年のチェルノブイリ原発事故では、原子炉が爆発し、大量の放射性物質をまき散らし、 今の日本と同じような深刻な放射能汚染になりました。
そして、事故から25年以上たった現在も、半径数十キロにわたって一般の人たちの立ち入りは禁止され、周辺地域の人々には、放射線障害によるガンや甲状腺障害の発生率が高くなっています。

②地震多発地帯
日本は地震多発地帯なので、直下型地震が原発の真下で発生した場合は、必ず大惨事になります。
今回でも、震源地から一番近い東北電力・女川原発(宮城県)は無事だったのですが、震源地から250kmも離れている福島第1原発がこのような状況です。
ただでさえ原発には事故のリスクが伴うのに、地震多発地域の日本に原発を集中させるのは危険性が大きすぎると思います。
女川原発も震度は6弱で、原子炉は安全に停止しました。
ここまでは福島第1原発も同じでした。
また、津波の高さも福島原発と同じ14メートルだったのですが、女川原発は波高より約4m高いところにあったため、原子炉、発電施設に重大な被害はありませんでした。
こんな紙一重では安全とは言えないと思います。
政府や電力会社は、地震多発地帯をさけ安定した地盤に原発を建設しているとかつては主張していましたが、柏崎刈羽原発は、地震の後の調査で、真下に断層があることが判明しました。
また、愛媛県の伊方原発でも、近くに断層が走っているのが発見されて大慌てで地質調査をしています。
私は、地質調査を長年やっていますが、ボーリング調査でさえ、20m離れたら地層が違っていることが多く見られます。
つまり、日本には安定した地盤も地震のない地域も存在しないと言うことです。

③被爆国
日本は被爆国なのです。
66年前の広島、長崎の原爆で、放射線障害の怖さはよく知られているため、原発に不安や不信感を抱いている人は多いと思います。

④核廃棄物の管理
使用済み核燃料の保管が大変なのを今度の事故で初めて知りました。
そして、原発から出る核廃棄物は半永久的に管理しなければならないみたいです。
何故なら、使い終わった核燃料棒は、約十万年の間、強い放射線を出し続けるので、ガラスで固めて鉛の容器に入れ、地下深くに埋めて半永久的に管理し続けなければいけません。
日本では、青森県六ヶ所村に放射性廃棄物の処分場がつくられたが、将来的に安全に管理できるかどうかは不明で、放射性廃棄物の処分費用や管理費用も含めると原子力発電はけっして安上がりではないと思います。

⑤事故やトラブルが多い
日本での原子力関連の事故やトラブルは多く、特に、1990年代の後半から信頼性に欠けています。
・1995年 実験用原子炉「もんじゅ」で冷却剤のナトリウム漏れ事故
・1997年 茨城県東海村の再処理施設アスファルト固化処理施設で火災爆発事故
・1999年 茨城県東海村のプルトニウム加工施設で臨界事故→ 放射能の漏れる大事故            
・2002年 全国の原発で百件以上のトラブルを隠していたことが発覚 → 原発を停止して総点検
・2007年 ふたたび全国の原発で百件近くのトラブル隠しが発覚
・2007年 新潟県中越沖地震によって柏崎刈羽原発が火災事故 → 後に柏崎刈羽原発の真下に断層があることが判明
・2011年 今回の大震災で福島第1原発の事故
本当に、これでは安全とは言いがたいですね。

⑥研究費や補助金
日本では、原子力技術の専門家のほとんどが電力会社や国から研究費をもらっています。
だから、中立・公平な立場から原発の安全性を評価できる専門家がほとんどいないと思います。
また、国は補助金によって、原発を過疎地域に押しつけています。
原発建設計画のある地域では、反対派住民への嫌がらせがくり返され、建設業者や地元有力者による反対派住民へのおどしや村八分もありました。
1993年石川県珠洲市では、原発推進派の市長候補を選挙で勝たせるため地元自治体が投票用紙を偽造したことが発覚しました。
民主主義の日本で、こんなことをしてまで原発建設の金は魅力なのでしょうか。

⑦廃棄原発の末路
古くなって廃棄された原発は、放射能レベルが高いため、再利用できないできない土地になってしまいます。
原発の耐用年数は30年~50年なので、古くなった原発は設備を解体し、跡地を鉛とコンクリートで固めて管理しますが、放射線の量が通常レベルになるまで約100年間は管理しなければなりません。

⑧原子爆弾に転用可能
濃縮ウランやプルトニウムは、原子爆弾に転用可能な物質です。
また、原発や原子力関連施設は、テロやミサイル攻撃の標的になる危険性があります。
もし攻撃されたら、その被害は広島や長崎どころではありません。

⑨トラブル隠し
日本の原子力行政は、何か隠し事が多い気がします。
情報公開がほとんどなく、事故やトラブルを人々の目からかくそうとする体質があります。
・2002年全国の原発で百件以上のトラブル隠しが発覚 → 原発停止、総点検へ
・2007年ふたたび百件近くのトラブル隠しが発覚
このようによく隠します。
本来ならば、不利な情報も公開して、広く議論をした上で決めるのが民主主義本来のあり方だと思います。
そのカムフラージュとして、電力会社による「原子力発電は安全でクリーン」という大量の広告もありました。
大量のコマーシャルによって世論操作をしているような気がしました。
原発の是非のような重要な問題は、世論を誘導するのでなく、世論の声を広くあつめオープンな議論をすべきもの
だと思います。

⑩環境問題
環境問題への意識の高いヨーロッパ諸国では、原発を縮小・段階的廃止の方針をうち出している国が多くなっています。
ドイツ、スウェーデンなどは、原発のかわりに太陽光や風力などの再利用可能なエネルギーへシフトしています。
また。オランダでは電力の20%が風力発電を利用しています。

⑪限りある資源
ウランは石油や石炭や天然ガスと同様に限りある資源です。
今のように使い続けると、数百年後には枯渇してしまいます。
半永久的に利用できるのは風力や太陽光などの再生可能なエネルギーだけで、原発はより効率の良い再生可能エネルギーが開発されるまでの「つなぎ」と考えられます。
同じ「つなぎ」ならば、石油・石炭・天然ガスなど他の発電方法はいくらでもあります。
   
ただし、原子力発電は利点もあります。
利点と言えるものをリストアップしてみます。

(2)原子力発電の利点
①電力の安定供給
原子力発電は電力の安定供給の切り札?と言っていました。
現在の日本の総発電量に占める原子力の割合は約30%(東京電力では約40%が原子力)です。
2000年までは一貫して増加していましたが、先ほど、問題点で述べたような事故があって2000年からは横ばいになっています。
ただし、政府としては原子力の発電割合を50%程度まで高めたいという方針(特に自民党)を持っていました。
原発は大規模に安定的な発電が可能です。
現在の風力や太陽光では、石油に代わるほどの大規模発電は不可能で、風力や太陽光は発電コストも高い
家庭用のソーラーパネルで導入費用は約300万円かかります。
日本はエネルギー資源の99%を輸入に依存しています。
火力発電で必要な石油の産油国はアラブ諸国に集中していて政治的に不安定です。
戦争や紛争でしばしば石油価格は高騰している現在では、エネルギーを石油に依存することはオイルショックの二の舞になる危険性もあります。
その点、ウランの産出国であるオーストラリア・カナダは政治的に安定しており、安定供給が可能とは少しへ理屈なのでしょうか?

②電気代が安くなる
原子力発電を増やすことで電気代が安くなると言われています。
電気代が安くなることは、家計が助かるだけでなく、大量の電気が必要な工場の運転コストが下がり、日本の経済競争力を高めることにつながります。
また、原発は少量のウランから大量のエネルギーを得られるため、エネルギー効率が良く、ウラン燃料を一度、原子炉に入れれば、一年以上交換なしに発電可能です。
通商産業省資源エネルギー庁による1kWhあたりの発電コストの試算て゜は、原子力 5.9円、石炭火力 6.5円、石油火力10.2円、水力 13.6円 となり、原発の発電コストは石油火力の約半額です。
ただし、この金額には放射性廃棄物の処分費用や管理費用は含まれていません。
これを含めるとどっちが安いのかは疑問になります。

③地球温暖化防止
二酸化炭素を排出しないため、地球温暖化防止に役立ちます。
二酸化炭素だけでなく、窒素酸化物(NOx)や硫黄酸化物(SOx)も排出しないので、欧米各国でも近年、原発を再評価する動きがありましたが、今回の福島第1原発の事故でその評価はどうでしょうか?

④過疎地域の経済対策
原子力発電所の建設によって、過疎地域の経済対策にはなると思います。
地方の過疎地域には、仕事先がなく、若者の多くが都会へ出て行ってしまうのが現状です。
こんな過疎地域に原発を建設することで、建設業や原発関連の仕事で働くことができ、また、原発を受け入れた自治体には、国や電力会社から数千万円の補助金が支給されるので、地方財政も潤うことになります。

こうしてみると、利点より問題点の方が明らかに多くなります。
こんなに問題点が多いのならもういらないと思ってしまいます。
でも、日本ではもう造ってしまっています。
これをどうするかという問題と、この原発に変わる電力をどうするかという問題を考えなくてはなりません。
これについては、また改めて考えてみたいと思います。
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