アルカリイオン水について

先日、こんな話をしていました。
「ぼつぼつ井戸を掘ろうと思っている」
「でも、この辺は水質が悪いと思うよ」
「大丈夫、今はアルカリイオン水になるからどんな水でもOKだよ」
こんな話を聞きながら、井戸の専門家として一言言いたかったのですが、あかの他人に要らない事を言ってもと思い自重しました。
まだまだ「アルカリイオン水(電解水)」について勘違いをしている人は多いと思いました。

健康ブームに乗って「アルカリイオン整水器」「電解水生成機」「電解還元水整水器」とか言う商品が売れました。
大手メーカーもこぞって発売しているので耳にされた方も多いはずです。
この健康によいとされる「アルカリイオン水」について考えて見ましょう。

(1)「アルカリイオン水」の生成過程
「アルカリイオン水」の生成過程を説明すると、
 ①水道水を内部に組み込まれた浄水器でろ過します。
 ②カルシウム剤(乳酸カルシウムなど)を溶かし、それを電気分解します。
 ③電気分解すると、陰極(マイナス極)に「アルカリイオン水」ができ陽極(プラス極)に
  「酸性水」ができます。
 ④陰極(マイナス極)では水の還元、陽極では水の酸化という化学変化がおこっています。
 ⑤これにより、陰極(マイナス極)では水酸化物イオン、陽極(プラス極)では水素イオン
   ができます。
 ⑥イオンとは電気を帯びている原子や原子集団です。
 ⑦さらに陽イオンである添加したカルシウム剤からのカルシウムイオンやもともと水道水に
   含まれていたカルシウムイオン、マグネシウムイオンなどのミネラル成分は、隔膜を通
   して陰極(マイナス極)に、陰イオンである塩化物イオンや炭酸水素イオンなどは陽極
   に引き寄せられます。
 ⑧陰極(マイナス極)にできたものはおもにカルシウムイオンと水酸化物イオンです。
        したがって、「アルカリイオン水」は水酸化カルシウムの水溶液となります。 
        簡単に言うと、うすい石灰水と言うことになります。

でも、何故手間暇かけて、乳酸カルシウムをわざわざ電気分解して「石灰水(水酸化カルシウム水溶液)」をつくって飲むのでしょうか?
水酸化カルシウムの水が飲みたければ消石灰をそのまま水に溶かして飲めばいいはずです。
また、高濃度のカルシウムを摂取したければ乳酸カルシウムを電気分解しないで、そのまま溶かして飲んだ方がずっと効果が高いはずです。
どうしてもカルシウムを補給したいというのであれば、「アルカリイオン水」などよりはるかに多量のカルシウム分を含むしらす、小魚、煮干し、卵を食べたり、「アルカリイオン水」の30倍のカルシウムを含む牛乳を飲めばよいのです。
水でカルシウムを補給するという考え方は無理があると思います。 

(2) 誇大表現と薬事法違反
また、「アルカリイオン水」の宣伝の仕方として誇大表現を使ったり、薬事法違反のくだりがありました。
表現の一部を紹介すると、
 ①世界一の浄水器です。(これは全く根拠がないです)
 ②パーフェクト浄水器です。(浄水器で完璧なものは存在しません)
  (そこで、複数の商品を組み合わせても、完璧に浄水することは不可能です)
 ③あらゆる有害物質を除去できます。(これもあり得ません)
 ④アトピーが完全に治ります。(薬事法違反になります)
  (これで本当に治るなら、医者要らずです)
 ⑤糖尿病・高血圧が治り、その他あらゆる病気に有効です。(薬事法違反になります)
 ⑥厚生省認可商品です。(商品においては、お墨付きを与えた訳ではありません)
 ⑦日本水道協会認定です。(一部の商品においては、活水器や磁気水製造器も認定されてい
     ます)
   (商品的に優れたものが、認定されると言う訳ではなく、塩素を除去する、セントラル浄水器な
       ど、一定の基準を満たせば、普通に認定は取れます) 
 
「アルカリイオン整水器」は、例えばパナソニック製でも、JIS規格指定13物質、“遊離残留塩素(カルキ)”、“濁り”、“クロロホルム”、“ブロモジクロロメタン”、“ジブロモクロロメタン”、“ブロモホルム”、“テトラクロロエチレン”、“トリクロロエチレン”、“1、1、1-トリクロロエタン”、“総トリハロメタン”、“CAT(農薬)”、“2-MIB(カビ臭)”、“溶解性鉛”を7トンまで約80%以上除去出来ると書いています。
(メーカーはJIS S 3201に基づいて測定した試験結果だと言っていますが、水質および水圧によって多少の差異が生じるとも言っています)
私の見解では、せいぜい濁りと臭いの除去くらいじゃないかなと思っています。
それにしても、パーフェクト浄水器とか、有害物質を除去できるとかはあまりにも言いすぎですね。
たかだか3万円程度の「アルカリイオン整水器」で出来るわけがないと思います。
9万円~25万円もする除菌器でも水質を飲用可能にすることは出来ません。
除鉄槽は10万円~25万円もするけど、除去できるのは鉄だけです。
除鉄・除マンガン槽で25万円~60万円、除鉄・除マンガンユニットで60万円~100万円以上はします。
これでも除去できるのは鉄とマンガンだけです。
大腸菌と一般細菌が除去できると言われているろ過装置を40万円くらいで売り出している業者がありますが、なにかあやしい臭いがします。(確かめてないのでわかりませんが)

「アルカリイオン水」を飲めば、カルシウム補充、慢性下痢、消化不良、胃酸過多制酸、胃腸内異常発酵などに有効で、「酸性水」のほうは飲用はできないが、弱酸性のアストリンゼンとして美容に用いたり、さらには、食器、衣類などへの洗浄効果があるというのが、メーカーのうたい文句でした。
そのうえ、販売員や信奉者が胃ガン、糖尿病、高血圧、アトピー性皮膚炎、水虫、はては老人性痴呆症にまで効果があると、まるで万病に効くかのような誇大なセールスを繰り返しました。
これはもう、普通に考えればインチキかなと思いますが、水質のことに詳しくない人は騙されるんですね。
 
(3)根拠のない説明
科学的に根拠のない説明としては、
 ①クラスターが小さい水は、体への吸収が良い。(科学的に否定されています)
 ②水の単分子化に成功し、体への吸収が良い。(科学的に未証明になります)
 ③アルカリイオン水は、濃度が高いほど健康になります。(逆に危険です)
 ④磁気水は、配管内の水垢を防止します。(再現性は低く、水の汚れを浄水することは出来ません)
 ⑤微弱エネルギーで、水を活性化させます。(科学的に未証明になります)
 ⑥MRA波動測定器で測定したら、素晴らしい数値が出ました。(MRA波動測定器自体が嘘です)
 ⑦銀イオンが流出して、抗菌性の水になるので腐らない。(水は腐りませんが、銀は有害物質に
     なります)
③の濃度とはPHの事ですが、一般にPHの高い水は、アルカリ性が強いとされていますが、pHが高いからといって、酸を中和する能力が強い訳ではありません。
 
(4)悪徳業者の問題商法
問題商法としては、
 ①「メンテナンスが不要」がうたい文句です。(浄水器で、フィルター交換が、不要な商品はありま
      せん)
 ②「友達に薦めると儲かりますよ」もうたい文句です。(マルチ商法になります)
 ③水を検査した後に脅してきます。(点検商法、実験商法になります)
  (時には、水道局員に成りすますなど、悪徳業者になります)
 ④アンケートに答え、それをきっかけに売り込みます。(最近特に被害者は急増しています)
 ⑤無料で浄水器を置いて帰ります。
  (商品は無償になりますが、フィルター・カートリッジが法外に高く、
   継続使用契約を、無理やり結ばされた上に、解約が出来なくなります)
 ⑥最初から、クレジット契約の話をしてくる。(訪問販売会社が良く使う手口です)
 ⑦浄水器を購入すると、もう1台おまけで付けるか、あるいは、別の商品を何か付けます。
  (お得とは思わないで下さい。ただ悪徳業者は、不要な在庫を処分したいだけです)
   (もっともらしい理由を付けるほど、怪しいです)
 ⑧浄水器を買ったお客様に、他の商品を薦めてまでも売りつけます。
  (取扱い商品を、事前に良く、チェックするようにして下さい)

このような悪徳業者はいっぱいいます。
ひどい例では、「病気が治る魔法の水」とか「奇跡の水」とか言って売り込みます。(これは薬事法違反になります)

(5)私の見解
なにも「アルカリイオン整水器」そのものが特に悪いわけではないのですが、私が知っている限りではこれは水酸化カルシウムの水溶液で、つまり、うすい石灰水と言うことになります。 
それに、この「アルカリイオン水」は手間暇かけて、乳酸カルシウムをわざわざ電気分解しています。
ある大学の教授は、「アルカリイオン水は胃酸を薄めるから、胃の役割である食べ物を消化・分解する力や消毒力を弱める。水は人間の命を養ういちばん大切なもので電気分解するのは自然に反する行為」と新聞紙上で人体への悪影響を指摘しました。
このようなことを考えると「アルカリイオン水」はあまり体にいい水ではないと思います。
(ただし、一人ひとりそれぞれ見解が違っていることもあるのであくまでも参考にしてください)
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