「オパール化したアンモナイト」と言われる「アンモライト」

「オパール化したアンモナイト」と言われる「アンモライト」について調べてみました。

「アンモライト」 (ammolite) はオパール状の遊色を持った生物起源の宝石で、アメリカ合衆国とカナダのロッキー山脈の東斜面にのみ産出しています。
アンモナイトの化石からなり、主として霰石(真珠を形成するものと同じ)から成ります。
琥珀や真珠などと同じく生物活動によって作り出された宝石の一つです。
「オパール化したアンモナイト」と表現される場合もありますが、オパールは二酸化ケイ素を主成分とする鉱物の名前であり、この表現は正しくないそうです。
1981年に世界宝石連盟は、「アンモライト」を公式に宝石として認定し、2004年にはアルバータ州の州の宝石に定められています。
また、「アンモライト」はアーポアク(aapoak、カイナー族の言葉で「小さいありふれた石」)、宝石アンモナイト、カルセンティン、およびコーライトとしても知られています。
後者は最初で最大のアンモライト生産会社である、アルバータを拠点とする採鉱会社コーライト社による商標です。
「アンモライト」の化学組成は多様で、霰石以外にも方解石、シリカ、黄鉄鉱やその他の鉱物が含まれています。
殻そのものは多くの微量元素:アルミニウム、ホウ素、クロム、銅、鉄、マグネシウム、マンガン、ストロンチウム、チタン、バナジウムを含んでいます。
結晶学的には斜方晶系です。
モース硬度は 4.5-5.5 で、宝石としては非常に軟らかく、比重は 2.60-2.85 です。
カナダの試料での屈折率(ナトリウム光、589.3 nm で測定)は、α1.522; β1.672-1.673; γ1.676-1.679; 二軸性負で、紫外線の照射により、黄色の蛍光を放ちます。
良質の標本では蛋白石のような虹色、特に緑色や赤色が見られますが、厳密には全てのスペクトル色が観察されます。
この虹色は霰石の微細構造に由来するそうです。
屈折で光を放つ他の多くの宝石と異なり、アンモライトの虹色は光の干渉によるもので、霰石を形成する薄い板状の積み重なった層からはね返る光です。
層厚が厚ければより赤色、緑色となり、層厚が薄ければより青色、藍色となります。
赤色と緑色が最もよく見られる色で、これは青色を放つ薄い層が脆い為だそうです。
新しく切り出された面でも、これらの色はさほど劇的なものではなく、宝石としての価値を高めるには、研磨などの処理が必要となるそうです。
「アンモライト」そのものは非常に薄く、約0.5-0.8mmだそうです。
「アンモライト」は通常、灰色から茶色の頁岩、チョーク質の粘土、石灰岩などの母岩と共に産出するそうです。
凍結破砕作用はよく見られ、風雨に晒されたり、堆積物による圧密を受けることにより、ひびが入り、剥片化するそうです。
また、日照の長期被曝は白色化につながります。
このひび割れは、「竜の皮」や「ステンドグラス」などと表現される市松模様の外観を呈しています。
より深部の鉱床から採掘される「アンモライト」は完全に滑らかか、漣痕のような表面を持ち得ています。
時折、保存状態良好の完全な「アンモナイト殻」が発見されるそうです。
螺旋状の線が形取り、全体的な形はオウムガイに似ています。
これらの殻は、直径90cmに達し得るそうですが、通常、虹色アンモナイト(黄鉄鉱化したものと比較して)は遥かに小さいそうです。
ほとんどの化石化した殻では、それらの霰石が方解石や黄鉄鉱に置換されてしまうため、「アンモライト」をより貴重なものにしているとのことです。
「アンモライト」は、カナダのアルバータからサスカチュワン州、米国のモンタナ州南部にまで至る Bearpaw 層にのみ見つかるそうです。
このうち、宝石として最も良質な「アンモライト」は南部アルバータのロッキー山脈東斜面の河川沿いに産出するそうです。
商業採鉱の殆どは、カードストンとレスブリッジの間と南の一帯、セントメリー川に沿って行なわれています。
全アンモライト鉱床のうち、ほぼ半分はカイナー族の居留地に含まれており、ここの住民がアンモライト採鉱に果たしている役割は大きく、1979年の設立以来、コーライト社は主に居住区内で採鉱しています。
コーライト社はカイナー族と契約を結び、採鉱したエーカー数を基にカイナー族に採掘権を支払うことになっているそうです。
商業採鉱は機械化されてはいますが、かなり単純で、バックホーを用いた浅い露天掘りが行なわれています。
原岩は人手でも探鉱され、商業生産の一部は、地表で採集したものをコーライト社に売る個人の採鉱者によるものだそうです。
そして、採掘された「アンモライト」のうち、約5パーセントが宝石に適しているそうです。

美しい鉱物 17
これが「アンモライト」です。
約8000万年前の化石で、カナダのアルバータ州で発見されたものです。
直径は約60cmほどです。
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危険な鉱物である胆礬(たんばん)

危険な鉱物である胆礬について調べてみました。

胆礬(たんばん、chalcanthite)は鉱物(硫酸塩鉱物)の一種です。
結晶系は三斜晶系で、短柱状です。
板状結晶ですが鍾乳石状,腎臓状,粒状の形になることが多く、ガラス光沢をもち、半透明の青色を呈しています。
比重 2.28,硬度 2.5で、水によく溶け、加熱すると結晶水を失って白色粉末になります。
大型の単結晶は稀で、銅鉱山の坑道の天井に鍾乳石様の塊を形成したり、内壁から霜柱状の結晶が成長するという産状が多いそうです。
人工的に、岩の上に硫酸銅の結晶を成長させたものが観賞用の標本として販売されることもあるそうです。
和名は胆礬ですが、Blue Vitriol (青硫酸塩)と呼ばれたり、ブルー・ジャック (blue jack)とも呼ばれたりします。
国際名はギリシャ語のChalkos (銅)と anthos (花)からきていて、銅の青い花という意味です。
秋田県花岡鉱山では、坑道の天井からポタポタ垂れる水滴を、「タンバ」と呼んでいたそうです。
つまり、胆礬を含んだ水のことで、硫酸イオンのため強酸性を示します。
これは、鉱夫の天敵ともいえるやっかいな相手で、木綿製の衣服に触れるとすぐにボロボロになります。
昔はラシャと呼ばれる分厚いコートを着て、頭には帽子を被っていたそうです。
安全靴がなく、わらじをはいていた頃は、足の皮膚が負けて赤くはれ、やがて黄色く変色したそうです。
また、水溶性なので、当然のことながら舐めてはいけないそうです。
見た目の美しさから、観賞用に購入することも出来るそうですが、絶対に不法投棄してはいけないそうです。
この結晶を池に投じれば、藻類を絶滅させることも可能で、他の生態系にも多大な被害を生むそうです。
胆礬は、銅の鉱物です。
銅は過剰に摂取すれば毒性を発揮するとは言え、人体に必須の鉱物です。
でも、胆礬は他の物質と組み合わさったことで、生物学的に高い利用可能性を有することになりました。
すなわち水に溶け、動植物に大量に吸収されることによって体のプロセスを停止させ、弱らせたり、命を奪ったりするようになりました。

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この胆礬の標本は、霜柱式に結晶が成長したもので、こんなになるのは珍しい方だそうです。
先端がやや曲がる傾向は、霜柱と同じく、重力の影響を受けているそうです。
これは、USA、アリゾナ、惑星鉱山産です。

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このように魅惑的な青い結晶は、銅が硫黄や水などと結合したものです。
写真のように、美しく、希少性も高いため、人工胆礬を生産する企業もあり、市場には偽物が出回り始めたそうです。

テルル鉱物と「コロラドアイト」

テルル鉱物について調べてみました。

テルル鉱物 (tellurium minerals)は、テルルを含む鉱物の総称です。
テルル(tellurium)は、原子番号52の元素で、元素記号は Teです。
カルコゲン元素の一つで、金属テルルと無定形テルルがあり、金属テルルは銀白色の結晶(半金属)で、六方晶構造です。
テルル化合物は、にんにく臭を帯びるものがありますが、単体は無臭です。
金属テルルの比重は6.24、融点は450 °C、沸点は1390 °C(融点、沸点とも異なる実験値あり)です。
酸化力のある酸には溶け、ハロゲン元素とは激しく反応します。
化学的性質はセレンや硫黄に似ており、燃やすと二酸化テルルになります。
また、テルル単体及びその化合物には毒性があることが知られています。
また、これらが体内に取り込まれると、代謝されることによってジメチルテルリドになり、呼気がニンニクに似た悪臭(テルル呼気)を帯びるようになります。
テルルは、1782年にF.J.ミュラーが単体分離し、1798年にクラプロートによって命名されました。
語源はラテン語のTellusで、これは地球を意味するとともに、ローマ神話で大地の女神の名だそうです。
また、周期表上でテルルの一つ上に位置するセレンは、ギリシャ神話の月の女神の名だそうです。
テルルは稀に元素鉱物の自然テルル(native tellurium)としても産しますが、普通は金,銀,銅,鉛,鉄,ビスマスなどのテルル化物として産し、その鉱物の種類は非常に多いのが特徴です。
主なものとして、
・針状テルル鉱sylvanite AuAgTe4
・カラベラス鉱calaverite AuTe2
・クレンネル鉱krennerite AuTe2
・ペッツ鉱petzite(テルル金銀鉱ともいう)AuAg3Te2
・ヘッス鉱hessite Ag2Te
・硫テルルソウ鉛鉱tetradymite Bi2Te2S
・アルタイ鉱altaite(テルル鉛鉱ともいう)PbTe
・コロラドアイトcoloradoite HgTe
・リッカルド鉱rickardite Cu4Te3
・酸化鉱物のテルル石tellurite(酸化テルル鉱ともいう)TeO2
などがあります。
この中の「コロラドアイト」は、特に危険だそうです。
「コロラドアイト」は、最近発見されたばかりのマグマの鉱脈で作られる結晶性鉱物です。
水銀が、テルルという極めて毒性が強いレアメタルと結合してできています。
2つの毒物の組み合わせによって、危険な毒作用を示し、加熱されたり、化学変化したりすると、致死性の蒸気とチリが生じるそうです。
この危険な「コロラドアイト」ですが、テルル欲しさに発掘されています。
テルルは金と結合していることもあり、この事実が明らかとなると、オーストラリア、カルグーリーはそれまで道路補修材にされていたテルルを求めて奇妙なゴールドラッシュに沸いたそうです。

テルルの用途としては、ガラスなどの着色剤として利用され、ビスマスとの合金は、熱電変換素子、ペルティエ素子として実用化されています。
用途が狭く、偏在性が高く、需要量・埋蔵量ともに少ないのですが、太陽電池や各種電子部品の材料になるなど先端工業に欠かせない存在であり、レアメタルの一種です。
鉛に0.05から0.065%添加すると鉛の耐食性や強度が上昇するため添加剤として用いられています。
鉱業便覧によると、テルルの埋蔵量(資源量)は3万8000トンだそうです。
上位からアメリカ合衆国(6000トン)、ペルー(1600トン)、カナダ(1500トン)です。
いずれもズリなどを含まないテルルの純分量で、2000年時点の年間生産量は322トンです。
上位からカナダ(80トン)、ベルギー(60トン)、アメリカ合衆国(50トン)、ペルー(39トン)、日本(36トン)であり、上位5カ国で生産量の82.3%を賄っています。

当ブログで、日本地質学会が「県の石」を発表したのですが、静岡県の鉱物として下田市蓮台寺の河津鉱山で産出されていた「自然テルル」を選定していました。
でも、この河津鉱山は、現在は立ち入りが禁止されています。
「自然テルル」は1970年、国立科学博物館の鉱物学者である加藤昭さんが静岡県で初めて発見したビスマス、セレン、テルルの化合物で、金属光沢を持つ薄い平板上の結晶として産出していました。

石の表面に黒い粒状となって見える自然テルル(静岡市のふじくに地球環境史ミュージアム提供)
石の表面に黒い粒状となって見える「自然テルル」です。
(静岡市のふじくに地球環境史ミュージアム提供)

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危険なコロラドアイトです。
こうして見るときれいなのですが、水銀とテルルの結合なので、毒性がいっぱいです。

海水に浮くセピオ石

海水に浮く鉱物であるセピオ石を紹介します。
 
セピオ石(せぴおせき)は、セピオライト(sepiolite)とも呼ばれ、繊維状結晶が絡み合って皮のような集合をするマグネシウム粘土鉱物の一種です。
このセピオ石ですが、海泡石(かいほうせき)とも呼ばれ、海水はもちろんのこと、乾燥すると水に浮くほど軽くなるそうです。
結晶自体の比重は2.26なので、水には浮かないはずですが、それにもかかわらず浮くのは、微細な繊維状の結晶がからみ合った内部構造をしていて、隙間に空気を含んでいるからだそうです。
化学組成はMg9Si12O30(OH)6(OH2)4・6H2Oで表され、主成分は酸化マグネシウムと二酸化ケイ素です。
電子顕微鏡で観察すると、長柱状を示すことも特徴です。
モース硬度は2で、色調は、白色,灰白色,淡紅色,淡青色,淡黄色などを呈し、超塩基性岩、石灰岩、苦灰岩、蛇紋岩、スカルン、温泉沈殿物、ドロストーンなどの中に、粗ぼうな粘土状、土状を示す軟らかい脈、塊として産出することが多く見られます。
彫刻がしやすいので、装飾品に使用され、熱を伝えにくい性質もあり、喫煙パイプにも使用されています。
セピオ石に似たものにパリゴルスキー石があります。
これは化学成分と結晶構造が異なりますが、外観や物性はきわめて類似するためセピオ石と区別しがたいそうです。
多孔質で軽いのがイカの甲に似ているところから、英名はイカを意味するギリシア語に由来しているそうです。

セピオ石
セピオ石の微細な繊維状結晶が絡み合った塊状の標本です。
とても軽く「山コルク」と呼ばれることもあるコルクのような外観を持つ鉱物です。

「虹の石」について

「虹の石」という鉱物があります。

「虹の石」は、鉱物名としては、褐鉄鉱である鉄の酸化物だそうですが、現在では、この名前は鉱物名として使用されていないそうです。
結晶構造から、針鉄鉱と鱗鉄鉱の2つに鉱物名を分けて用いられています。
褐鉄鉱(かってっこう、limonite)は、リモナイトとも言い、鉄の酸化鉱物の通称として使われていました。
針鉄鉱と鱗鉄鉱は結晶構造は異なるのですが、産出状態も共生関係も全く同様で相伴って産出します。
特に微視的な結晶の集合体のような場合には両者の判定は非常に困難だそうで、厳密に区別しなくてよい場合も多いため、そのような場合には、現在でも褐鉄鉱の名が使われるそうです。
針鉄鉱(しんてっこう、goethite)は、ゲータイト、ゲーサイトとも言い、鉱物(水酸化鉱物)の一種です。
鱗鉄鉱とともに、いわゆる「褐鉄鉱」の主成分を成しています。
化学組成はFeO(OH)で、黄鉄鉱(FeS2)、菱鉄鉱(FeCO3)、磁鉄鉱(FeFe3+2O4)などが酸化することによって生じる二次鉱物です。
また、水中の沈殿物としても生じ、斜方晶系です。
石英属の鉱物の内部にインクルージョンとして混入する物質でもあり、黒色・赤・褐色・黄色をしており、水晶の中に針状・毛髪状・繊維状の内包物となって出現することが多いのが特徴です。
赤色の鱗鉄鉱(レピドクロサイト)と赤色の針鉄鉱(ゲーサイト)が白水晶の中に混入したものは、ストロベリークォーツと呼ばれ、コレクターやレアストーン愛好家に珍重されています。
鱗鉄鉱(りんてっこう、lepidocrocite)は、レピドクロサイトとも言い、鉱物(水酸化鉱物)の一種です。
針鉄鉱とともに、いわゆる「褐鉄鉱」を成しています。
石英属の鉱物の内部にインクルージョンとして混入する物質の一種で、赤色をしているものが多いのですが、品質の悪いものは黒色もあります。
水晶の中に、針状・毛髪状・繊維状・粉状の内包物となって出現することが多いのが特徴で、単体での存在はありません。
水晶の中に、赤色の鱗鉄鉱と赤色の針鉄鉱が混入したものをストロベリークォーツと呼び、宝飾品やアクセサリーとして用いられています。
つまり、「虹の石」とは鉄の酸化物で、つまりは天然の鉄サビです。
虹色に輝く原因は、表面に薄い酸化膜が形成されて光の干渉が起こっているためだそうです。
つまり、水面に広がった油の膜が虹色に輝くのと同じ原理です。
針鉄鉱の英語名は、先に述べましたが、ゲータイトで、この名はドイツの文豪ゲーテにちなんでつけられたそうです。
ゲーテは地質学にも関心を持っていて、論文も書いています。
また、ゲーテはドイツの鉱物学会の会員でもあったそうです。

虹の石
この標本は、表面は鱗鉄鉱で、内部は針鉄鉱と言われていますが、まだ確かめられていないそうです。

昔から、虹の橋の根元には、私が埋もれてるって、言いますよね?
金属鉱物の多くは、表面に酸化皮膜を生じるために、次第に表面が曇ってきます。
でも、一方では、酸化皮膜のために却って美しくなる鉱物もあります。
この写真は、鱗鉄鉱または褐鉄鉱の表面が、酸化皮膜に覆われたために、光の回折・干渉作用によって、虹色を帯びたものだそうです。
左上部分の色を識別してゆくと、赤紫、紅赤、黄、黄緑、翠、青竹、青、藍、紫が認められます。
右下部分では、金、鉛青、真鍮、赤銅などの色が出ています。
たった数センチの標本にこれだけ沢山の色が現れるなんて、実に不思議で、絵の具でも塗ったように思えます。
写真は、鱗鉄鉱で、スペイン、リオチント鉄山産です。
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