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大腸菌群と大腸菌はどう違う?

私たちの生活に関わっている水は、飲料水を扱う水道、河川水や海水などの環境水、生活排水や雨水を含む下水などがあります。
それぞれ関係する法規があり、基準が定められている項目や検査方法が示されています。
例えば、水道水の微生物は生菌数が100個/mL以下、大腸菌は陰性(100mL中)でなければいけないという基準があります。
その中でも汚染状態や水の安全性を確かめるために大腸菌群や大腸菌の検査を行うことは重要です。
今回はこれらの大腸菌群、大腸菌の検査方法について比較してみました。

①大腸菌群
大腸菌群とは、好気性または通性嫌気性のグラム陰性無芽胞の桿菌で、乳糖を分解して酸とガスを生じるか、またはβ-ガラクトシダーゼ産生の細菌群です。
大腸菌やサイトロバクター、クレブシエラなどの腸内細菌以外にも、水中や土壌中で増殖する細菌も含まれます。
環境水の測定では、環境基準の告示方法であるBGLB法にて行います。
下水道は、下水道施行令に定められたデソキシコール酸寒天培地を用いて検査を実施します。
②大腸菌
大腸菌とは、特定酵素基質培地法によってβ-グルクロニダーゼ活性を有すると判定された好気性または通性嫌気性の細菌のことをいいます。
大腸菌はヒトや動物の腸管内に常在し、ヒトの糞便中の大腸菌群の90%以上を占めています。
糞便汚染のないところで検出されることはまれであり、わが国では2004年(平成16年)に大腸菌群に代わって飲料水の水質基準項目となりました。
③採取方法など
試料水は細菌試験専用の採水瓶にて採取しています。
井戸、ろ過池、浄水池あるいは配水池など比較的水深の浅い一定の深さで採取するときは、滅菌した採水器を使用します。
給水栓から採取するときは、栓口を火炎滅菌、またはその他の適宜な方法にて滅菌、また、給水栓がプラスチック製品等で、火炎滅菌できない場合は、滅菌用のアルコールスプレーを利用することも可能で、その後十分に放水、停滞水などを排除してから採取します。
採取した試験水はすぐに検査することが望ましいですが、すぐに検査できない場合は、専用のクーラーボックスにて5℃以下で保存し、12時間以内に検査をするように定められています。
このように、大腸菌群の検査では検査する水によって検査方法が異なり、検査日数も異なります。
また、環境水中では水域や季節や天候などによる流量の変動によって、菌数に差が出ます。
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有孔塩ビ管を挿入した場合の電気検層

有孔塩ビ管を挿入した場合の電気検層について調べてみました。

電気検層はボーリング孔壁周辺地盤の電気的特性を把握し、地盤状況を推定する際の資料とするために実施するものです。
井戸工事においては、帯水層の位置決めにはとても重要であり、ストレーナーの位置はこの電気検層で決まるといっても過言ではありません。
電気検層においては、測定ゾンデと孔壁との間は、できるだけ障害物(ケーシング、塩ビパイプ等)がない裸孔の状態で測定することが望ましいとされています。
ただし、実際の現場においては孔壁状況が悪い場合、掘削時の泥水の影響が消失するまでに長時間を有する場合等、裸孔のまま放置すると電気検層の実施が不可能となる場合も多く、保孔管として有孔塩ビ管を挿入した後に電気検層を実施することも必要となります。
ここで、同一ボーリング孔において裸孔と有孔塩ビ管挿入後の2種類の状態で電気検層を実施した際の事例による経験から、それぞれの検層結果の相違点、検層結果を解釈する上での留意点を述べてみます。
なお、有孔塩ビ管の開口率は1%程度(普通の水位観測孔)です。

電気検層を実施したボーリング孔の地質は、多少の風化の違いはありますが、試験地は、概ね新鮮で堅硬な花崗閃緑岩を基盤としています。
電気検層結果を比較するに当たっては、地質区分よりも亀裂状況、地下水状況が大きな要素を占めているボーリング孔です。
この現場の電気検層結果については次のようにまとめられています。
① 裸孔よりも塩ビ管挿入後の見かけ比抵抗値の方が全般的に1.4~2.3倍程度高い。
② 電極間隔が小さい方が、①の傾向は顕著に表れている。
③ 見かけ比抵抗値のピークは、裸孔と塩ビ管挿入後とも、どの電極間隔でも同じ深度に現れてお り、見かけ比抵抗曲線の大きな形状は、どちら の状態でもほぼ同じと言える。
④ 見掛け比抵抗曲線において、見掛け比抵抗値の細かい高低の変化(凹凸)は、裸孔の方が塩 ビ管挿入後よりもより明瞭に捉えられており、特に電極間隔が小さい方がその傾向は顕著である。

この結果により、裸孔と塩ビ管挿入後で実施した電気検層結果を評価する上での留意点は次のようになる。
① 裸孔、塩ビ管挿入後の見かけ比抵抗値は塩ビ管 挿入後の方が全般的に高いのですが、見掛け比抵抗値の高低の傾向は両者とも概ね合致していることか ら、ボーリング孔における定性的判断は可能と考えられます。
ただし、塩ビ管挿入後の見掛け比抵抗値は、やや高い値が得られていることに留意すべ きです。
したがって、他のボーリング孔も含めて調査域の地盤の評価を行なう場合は、各ボ-リング孔の見掛け比抵抗値は、裸孔か塩ビ管挿入後に取得した値なのかを念頭に置く必要があります。
② 電極間隔の小さい方が、より塩ビ管の影響を受 けていることでも判るように、見掛け比抵抗値は塩ビ管の開口率に大きく影響を受けることになります。
したがって、より裸孔に近い状態の見掛け比抵抗値を得るためには、
・孔間隔は測定電極間隔よりも 短くする
・孔の空け方も千鳥格子、螺旋状等とす る
・孔ではなくスリット形状とする
など、開口率 を上げる工夫を行なうことが必要です。
ただし、開口率を上げるに際しては、塩ビ管の強度、加工の手間(経費)いう問題が発生します。
電気検層の評価は相対的な傾向を把握できれば十分という場合もあるため、開口率をすべて最大にする必要はないと思われますが、ダム、トンネルな どの様に、同一の調査目的を持ち、複数のボーリ ング孔のデータを利用して地盤評価を実施する場合は、各現場において、塩ビ管の仕様、開口率を 統一しておくことが必要と考えられます。

井戸内のカメラ撮影

井戸内のカメラ撮影を行っています。

P2210081.jpg
井戸の中の状態がはっきりわかります。

揚水試験での揚水量や揚水時間の考え方

最近、いろいろな現場で揚水試験をする機会が多くなっています。

一般に揚水試験といっても、現場透水試験より少し精度よくするために、揚水量を測定する簡易揚水試験から、予備揚水試験、段階揚水試験、連続揚水試験と順序だって時間をかけてする揚水試験まであります。
(1)予備揚水試験
孔内洗浄である程度きれいな水が出てきたら予備揚水試験の準備にかかります。
予備揚水といっても、やっぱり段階での揚水は行います。
段階揚水試験の目安としての揚水量の把握が主な目的ですが、その他にも目的はあります。
①洗浄効果の確認
②水位変化状況のチェック
③各測定器機の設置状況と作動状況のチェック
④排水設備のチェック
⑤概略の限界揚水量の把握
⑥水理定数の概算
このように、段階揚水試験の前にもいろいろな準備が必要になります。
(2)段階揚水試験
段階揚水試験は、井戸能力の把握を主な目的にしています。
つまり、水位低下量は時間に依存するため、揚水量を各段階ごとに変化させて、水位が一定になるまで測定し、その揚水量における水位低下量を測定します。
ここで限界揚水量を推定することになります。
限界揚水量は、段階揚水試験時の揚水量と水位変化をグラフにプロットした際の屈曲点(急変点)における揚水量のことです。
したがって限界揚水量を上回るとわずかな揚水量変化で水位変化が大きくなります。
一般的な井戸公式に従えば、透水係数が小さくなることを意味しますが、実際には井戸周辺の流速が大きくなり非ダルシー流れ(層流から乱流へ)になり抵抗が大きくなるという解釈や、流速の増大にともなって帯水層を構成する粒子移動が大きくなり目詰まりが生じ始めているという解釈が一般的です。
段階揚水試験が何段階必要かということについては、詳しく書いてある文献では、『予備揚水試験の結果において、概略の限界揚水量を推定できた場合は、それ以下の揚水量で4~6段階、それ以上の揚水量で2段階程度を設定します』と書いています。
私も、概ねそのような基準でやっていますが、揚水量が大量にある場合とかは、水中ポンプの能力もあり、限界揚水量を把握できないこともあります。
この際、水中ポンプの能力をアップして限界揚水量を求めたらいいと思う人もいるかも知れませんが、例えば計算上では1200ℓ/minが限界揚水量だとして、使用量がせいぜい80ℓ/minだとしたら、揚水試験での最大揚水量は150ℓ/min程度で十分だと私は思います。
大量に汲み上げて、せっかくいい状態の井戸の”みずみち”をわざわざ壊す必要がないからです。
あと、段階の揚水時間ですが、1~2時間程度とするのが一般的とは文献に書いていますが、1~2分で、すぐに水位が一定になるような揚水量の段階試験では、私は20~30分程度で次の段階へ進んでも良いと思っています。
また、ものすごく揚水量の少ない井戸での段階揚水試験はもっと困難です。
特に、深井戸の場合、水中ポンプを設置する必要があり、バルブを絞っての試験だと一定の揚水量を汲み上げられない場合があります。
私の経験では、15ℓ/min以下での段階揚水試験は特に困難でした。
(3)連続揚水試験
連続揚水試験は、段階揚水試験で求められた限界揚水量の通常70~80%程度を適正揚水量として試験を行っています。
これは、帯水層を破壊せず、泥だまりへの土砂の流入を極力おさえながら、なるべく多量の揚水量を得ようとする経験的な方策といえます。
でも、先に述べた例のように、限界揚水量が1200ℓ/minで、使用量が80ℓ/minの場合などはどうしたらいいのでしょうか。
1200ℓ/minの70%としても840ℓ/minあります。
私の経験では、使用量より少し多めの100ℓ/min程度で試験を行いました。
これは、
①使用量を考えると840ℓ/minでの連続揚水試験を行う必要がない。
②周辺の井戸への影響がある。
③この井戸自体の影響(砂が大量に上がるとか目詰まりを起こすとか)が懸念される。
④揚水量が多量なので、地盤沈下も想定される。
上記のような理由です。
次に、連続試験の揚水時間ですが、『24時間は測定する必要がある』と書いている文献もありますが、私はこれも井戸しだいだと思っています。
関東地質調査業協会発行の「現場技術者のための地質調査技術マニュアル」によると、水位安定を見極めるのは困難な場合が多いため、以下のパターンになったかどうかで、試験終了の目安としています。
①被圧帯水層で上下に信頼できる難透水層がある場合は、試験中に非平衡解析を行い、時間―水頭低下曲線が理論曲線に一致していると判断できたとき。
②漏水性帯水層では、長時間経過すると理論上水位が一定になる。したがって、この場合も試験途中で漏水解析を行い、理論曲線と一致していると判断できたとき。
③不圧帯水層では、遅れ重力排水の影響で、ある時間経過すると見かけ上水位がほぼ一定となり、その後、再び水位が低下し始める。その水位低下曲線はタイスの標準曲線に従って変化することから、この曲線に一致していると判断できるとき。

なんとも判断基準が複雑ですが、最近では24時間汲むと周辺の井戸に影響を受けたり、夜間での発電機の騒音を嫌ったりするので、そのあたりも加味して『水位が一定になった』ところで終了することが多いようです。
私は、この判断として『1時間程度水位が一定』を目安としているのですが、目安値として『1mmも違わない』ではなく、mm単位の変動は、例えば大規模河川の近くだと当然河川水位の影響をうけているだろうし、海のそばだと潮位の影響を受けています。
したがって、最初測った自然水位にピタッと合わなくても、また、1mm、2mm水位が上下しているとしても、それは平衡水位と考えないといけないと私は思います。

一般細菌と大腸菌

水道法に基づく水質基準には51項目が設定されています。
その中で健康に関する項目は31項目あり、重要な指標として一般細菌と大腸菌が規定されています。

(1)一般細菌
一般細菌検査の導入はRobert Koch3)の発案によるもので、一般細菌の基準値としては、集落数が100個/ml以下となっています。
これは、一般細菌数が100/ml以下の状態ではコレラ患者の発生がないという事実に基づいたものだそうです。
一般細菌は、決められた方法で培養して増殖した細菌類のことで、特定の細菌を指す言葉ではないそうです。
ほとんどが健康に害のない自然界に存在する細菌だそうですが、一般細菌が検出されると、病原性の細菌が含まれる可能性が高くなるため、この一般細菌は飲用水の汚染の指標として用いています。
分類学的には、特定の菌または1つのグループを指したものではなく、また水中の生菌の総数を示すものでもありません。
清涼な水には少なく、汚染された水ほど多い傾向があるため、水の汚染状況や飲料水の安全性を判定する上で有効な指標となっています。

(2)大腸菌
平成16年以前は、大腸菌群を代替指標として用いてきたのですが、水系感染症の主な原因菌が人を含む温血動物の糞便を由来することから、微生物的な安全性確保に関して大腸菌の検知は重要な意味があります。
大腸菌は人や温血動物の腸管内に常在し、糞便由来でない細菌も含む大腸菌群と比べて糞便汚染の指標として信頼できることより、今は水質基準においても、大腸菌群から大腸菌に検査項目が変わっています。
大腸菌は、検出されないことが基準値です。
大腸菌は、動物の大腸にあり、たいてい無害であり、原則として毒性はありません。
ただし.保健所で行えるような簡単な検査では.毒性のある病原菌と区別できません。
そこで、大腸菌を病原菌の「指標菌」として.使用しています。
大腸菌は糞便とともに排出されます。
水から大腸菌が出るということは、その水は糞便の影響を受けているということで、糞便を通じてうつる伝染病のバイキンを含んでいる可能性があり、ということと同じ意味になります。
塩素滅菌などで大腸菌が見られなくなったら、一応、そういった糞便由来の伝染病のリスクはなくなったと判断できます。
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