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抑制工と抑止工について

抑制工と抑止工

地すべり対策工事には抑制工と抑止工があります。
(1)抑制工
①横ボーリング工
横ボーリング工は、水平やや上向きに行ったボーリング孔にストレーナ加工した保孔管を挿入し、それによって地下水を排除することにより、すべり面に働く間隙水圧の低減や地すべり土塊の含水比を低下させる工法です。
このため、効果的に地下水位を低下させるよう、設計に際しては地すべり地域のみならず、周辺の地形・地質及び地下水調査等から、帯水層の分布、地下水の流動層を推定して、最も効果的に集水できるようにボーリングの位置、本数、方向及び延長を決定する必要があります。
そして、対策工効果を恒久的に持続するためには定期的なメンテナンスが重要です。
②集水井工
集水井工は、集水用の井戸を掘削する工法で、深いすべり面位置で集中的に地下水を集水しようとする場合や横ボーリングの延長が長くなり過ぎる場合に用いられます。
集水井は内径3.5~4.0mの円形の井筒であり、その井筒内の集水ボーリングからの集水効果に主眼を置きますが、井筒自身の集水効果を得るために、井筒の壁面に集水孔を設ける場合があります。
移動層内には複数の地下水帯が存在しますので井筒からの集水ボーリングは、すべり面に直接関与する地下水帯の地下水を効率よく集水できるよう多段に配置するなどの計画が可能です。
対策工効果を恒久的に持続するためには集水ボーリングの定期的なメンテナンスが重要です。
③排水トンネル工
排水トンネル工は地すべり規模が大きい場合や地すべりの移動層厚が大きい場合などで、集水井工や横ボーリング工のみでは効果が得難い場合に計画されます。
排水トンネル工は、トンネルからの集水ボーリングや集水井工との連結などによってすべり面に影響を及ぼす地下水を効果的に排水できるよう設計します。
トンネルの位置は原則として不動地盤内とし、地すべりに影響を与える地下水脈の分布及びそれに対する地下水排除効果の効率性などを総合的に判断して定めます。
対策工効果を恒久的に持続するためには集水ボーリングの定期的なメンテナンスが重要です。
④排土工
排土工は、原則として地すべり土塊の頭部の荷重を除去することにより地すべりの滑動力を低減させるものです。
排土工を計画する場合には、その上方斜面の潜在的な地すべりを誘発する可能性がないか、事前に十分な調査・検討を行うことが必要です。
上方斜面の地すべりの規模が大きい場合には、この工法は適していません。
⑤押え盛土工 
押え盛土工は、原則として地すべり土塊の末端部に盛土を行うことにより、地すべり滑動力に抵抗する力を増加させます。
盛土部の下方斜面に潜在性の地すべりがある場合には、これを誘発する可能性があるため、押え盛土の設計に当たっては、盛土部基盤の安定性についての検討を行う必要があります。
盛土位置での地下水の透水層が浅部にある場合、または地すべり末端部で地下水が滲出しているような場合には、押え盛土やその荷重によって地下水の出口が塞がれたり、背後部の地下水位が上昇したりして斜面が不安定になる恐れがあるため、地下水の処置には十分注意する必要があります。


(2)抑止工
①杭工
杭工は、杭を不動地盤まで挿入することによって、せん断抵抗力や曲げ抵抗力を付加し、地すべり土塊の滑動力に対し、直接抵抗することを目的として計画されるものです。
地すべり地では、通常、鋼管杭が多く用いられます。
最近では外径1000mmを越える大口径の鋼管杭も利用されるようになり、必要とする地すべり抑止力が大きい場合にも対応できるようになっています。
②シャフト工
シャフト工は、地理的な制約などから杭工の打設機械等が搬入できない場合や大口径ボーリングに伴う地下への送水によって地すべりを助長させる恐れがある場合などに採用されるもので、直径2.5~6.5mの縦坑を不動地盤まで掘り、これに鉄筋コンクリート構造の場所打ち杭を施工する工法です。
大規模な削孔機械を使用しないため、同時に数基の施工が可能であるというメリットもあります。
通常は剛体杭として設計しますが、すべり面深度が深く杭長が長くなる場合はたわみ杭として設計することもあります。
シャフトを中空にして集水井工を兼ねる例もあります。
③アンカー工
アンカー工は、基盤内に定着させた鋼材の引張強さを利用して、地すべり滑動力に対抗しようとするもので、引き止め効果あるいは締め付け効果が効果的に発揮される地点に計画されます。
アンカーは基本的には、アンカー頭部(反力構造物を含む)、引張部及びアンカー定着部(アンカー体及び定着地盤)の3つの構成要素により成り立っており、アンカー頭部に作用した荷重を引張部を介して定着地盤に伝達することにより、反力構造物と地山とを一体化させて安定させる工法です。

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北海道での地震と崩壊の原因について

北海道で地震がありました。

9月6日午前3時8分ごろ、北海道胆振(いぶり)地方を震源とする地震が発生し、厚真(あつま)町で震度7、むかわ町と安平(あびら)町で震度6強を観測するなど道内各地が強い揺れに襲われたそうです。
この前日の、4日夜から5日朝にかけて、日本海を北上していった台風21号が北海道に接近し、道内各地に大きな被害を出していた次の日になります。
今回の地震はマグニチュード(M)6.7であり、震源の深さが30km以上とかなり深く、阪神大震災や熊本地震などと比べ、地震の規模自体は一回り小さかったのですが、かなり広範囲にわたって土砂崩れなどの土砂災害や液状化などの被害が出ています。

北海道の内陸部はおもに東西から押され、中央部に日高山脈が形成されています。
気象庁によると、今回の地震も東西から押される力でずれ動く「逆断層型」だったとみているそうです。
今回の震源の近くには、活断層の「石狩低地東縁断層帯」が南北に走っていますが、気象庁は「距離は離れており、関係性はわからない」としています。
この断層が関係した地震について、名古屋大の教授である鈴木康弘さん(変動地形学)は、土砂崩れに断層が関わった可能性を指摘し、「石狩低地東縁断層帯は大規模な断層。今後、より大きな地震を起こしうる構造がある。これで終わりだと思わず、1~2週間は気をつけた方がいい」と話していました。
厚真町の土砂崩れについて、京都大防災研究所の教授である釜井俊孝さん(応用地質学)は、「火山灰に含まれる軽石が引き金になったのでは」と指摘しています。
軽石は水を含みやすく、地震の揺れによって高速で崩れる「流動地すべり」になったとみられています。
火山の地質に詳しい産業技術総合研究所の火山活動研究グループ長である石塚吉浩さんは、「厚真町の周辺には、およそ四万年前に支笏湖(支笏カルデラ)の火山活動で噴き出した軽石が多くたまった地層がある。今回の地震で、その地層が滑って土砂崩れが起きた」と分析しています。
それに、今回土砂崩れが起きた地域は、8月以降に厚真町で計約230mm、安平町で計約300mmの降水が観測され、これに前日までの台風21号による降雨も影響した可能性もあります。

崩壊の素因として、いろいろな専門家の話をまとめてみると、過去2万年間にその斜面を均一に被覆した軽石とその間に挟まれるクロボクとロームが5mと異様に厚かったので、降雨や、その後の震度7の揺れに耐えられずに滑落したのだと思われています。
尾根線が崩れずに残っているのが特徴だそうで、崩壊した斜面上で白っぽく見えるのが軽石の多い地層だそうです。
軽石は支笏火山の4回の噴火によるもので、合計3m積もっているそうです。
すべり面は、9000年前の樽前軽石または1万9000年前の恵庭軽石だったと思われています。

そして、この地域は「石狩低地帯」が札幌市から苫小牧市まで広がっています。
東側には日高山脈があり、谷底低地と言って、構造的に「へこんだ」場所です。
河川沿いの幅の狭い低地で、砂礫や粘性土、泥炭質土からなる地盤であり、明らかに地盤が弱く、札幌などで液状化が発生しているのは、石狩川などの河川に沿った軟弱地盤であることが影響していると思います。

地震による土砂崩れで倒壊した家屋(6日午前、北海道厚真町)=共同
地震による土砂崩れで倒壊した家屋が見えます。
家屋は、もともとこの位置にあったのではなく、崩壊によって押し出されているようです。

f:id:nautical_mile:20180907090404p:plain
まるで崩壊地の空想絵のようですが、この写真を見ると斜面が切れ目なく崩れています。
このような光景は、東北の大震災でも見たことがありますが、すさまじいの一言です。

福島県喜多方市の地すべりと、水に関する地名

福島県喜多方市の西部に位置する高郷(たかさと)町では、4月下旬以降、県道に沿って地割れが拡大しており、地すべりも発生していることは、先日のブログでもお伝えしました。

喜多方市によると4月下旬、高郷町の県道新・荻野停車場線で、道路脇の排水溝(側溝)が浮き上がり、地割れが見つかりました。
亀裂は日を追うごとに広範囲で確認されたことから、5月4日、およそ1キロに渡る区間の県道を通行止めにしています。
5月17日には民家の敷地でも新たな亀裂が見つかり、農地にも広範囲で亀裂が広がっていることから、福島県では柔らかい粘土質の地盤に地下水が浸透したことが原因と見られる「農地地すべり」の可能性が高いと判断しています。
現在では、地盤伸縮計を設置し、24時間体制で地すべりを監視している状態だそうです。
地すべりの現場は、福島県から新潟県に向かう阿賀川(下流では阿賀野川)沿いの「揚津(あがつ)地区赤岩」と呼ばれる県道沿いになります。
この「あか」は、古い言葉で「水」を意味し、水気が多く、地盤が軟弱な湿地帯につけられることから、水害の危険が及びやすい場所につけられる地名だそうです。
さらに「揚津地区」の「あが」は、文字どおり「上がり・揚がり」の意味で、もともとは低かった土地を高くした場所につけられるケースが多く、瀬戸内海に面した広島県呉市の「阿賀」や、兵庫県姫路市の「英賀」など、いずれも「水」と関係する場所と言われています。

古代の集落は、湧き水や川の近くに発生したことより、水は人々の生活には欠かせないものです。
したがって、この水に関する地名は、私の住んでいる松山市にもたくさんあります。
「泉町」「和泉」「和泉北」は、湧き水がいろいろなところから出たところです。
地名は、もともとは「出水」(いずみ)であったと言われています。
「溝辺町」(みぞのべまち)は、石手川近くの地域は「水の辺」(みずのへ)と呼んでいたそうで、それから転訛したそうです。
「樽味」(たるみ)は、土地が低いので「水の勢いのたるみたるところ」と呼ばれ、「垂水」(たるみ)から今の「樽味」になったそうです。
「柳井町」は、井出神社の東に「柳井の泉」があったのが語源だそうです。
「清住」(きよずみ)は、昔は「亀代住」と呼ばれていたそうです。
「住」は「澄」であり、きれいな水を意味します。
「平井町」(ひらいまち)は、この地域は伏流水が豊富で、泉があったことによると書かれていますが、何故「平井町」にしたのかはいまいち説明不足です。
「船ヶ谷町」は、船の形をした谷を意味しますが、「ふね」は湧き水を意味することから、水が湧き出る谷とも考えられます。
「井門町」(いどちょう)は、井戸や湧き水の門や樋があったことを示しています。
松山市だけでも、水に関する地名は、まだまだいっぱいあります。
地名を調べるだけで、水だけでなく、地形や地質などの概要もつかめるのが何か不思議な気さえしてきます。

地割れ

地割れが起きた県道新郷・荻野停車場線(喜多方市が5月20日に撮影)

福島県喜多方市の地すべり

福島県喜多方市で、地すべりが発生したというニュースがありました。

場所は、福島県喜多方市高郷町揚津(あがつ)地区の県道新郷荻野停車場線周辺の農地です。
福島県や現地対策本部などによると、県道をパトロールする業者が4月20日、県道の側溝付近に亀裂などの異変を確認したそうです。
その後、亀裂が広範囲に広がっていたことを確認したため、県は農地の地すべりが発生したと判断し、5月4日から現場付近の約1.7キロの区間を通行止めにしていたそうです。
さらに通行止め区間に近い民家の敷地で17日、新たな亀裂が確認されたため、福島県は19日から機器による地すべりの常時観測を開始しました。
また近くを流れる阿賀川の護岸で20日、崩落が確認されました。
福島県によると、地すべりの発生箇所は農林水産省が定める「農地地すべり防止区域」の区域内と区域外にあるそうです。
地すべりの原因としては、大きく二つの条件があります。
一つがその場所の土の状況(地質条件)であり、もう一つが水の存在です。
「農地地すべり防止区域」の区域内にも入っているということなので、通常なら軟質な土質がすべり面になっていると思います。
そして、もう一つの水の存在ですが、4月20日に確認されるまで、集中豪雨はありませんでした。
4月7~8日で28mmが最高で、4月1~20日の間は57mm3月は61mmしか降っていませんでした。
4月20日より後も地すべりは徐々に広がっているそうです。
喜多方市高郷町揚津の赤岩地区では、基礎のコンクリートに複数のひびが入っている住宅もありました。
この家の住民の親戚の男性の話では、「1週間ほど前に家のコンクリートにヒビが入っているのを初めて確認しました。ヒビは毎日数ミリずつ大きくなっているように感じます」とのことでした。
つまり、今現在でもどんどん動いているという話でした。
4月20日以降の降水量は、4/24~25日32mm、5月に入ってまとまった雨は、9日21.5mm、17~19日49mmです。
地すべりは、亀裂が入ってしまうと動きやすくなるのはもちろんですが、でもこれくらいの雨で動くのは怖いです。
福島県の調査では、周辺の地面が1時間あたり数ミリずつ動き続けていることがわかったと言っています。
これでは、亀裂箇所をブルーシートで覆い、雨水などが入らない処置を施していても、地すべりの助長は防ぎようもないと思います。
まだ、地すべりの原因は不明ということでしたが、今年は例年よりも積雪が多かったみたいで、雪解け水が地下に染み込んでいた可能性もあるということが指摘されています。
今後は、現場周辺でボーリングを行い、詳しい原因を調査するとは思います。
今のところ、どれくらいの規模かは私にはわかりませんが、地面が1時間あたり数ミリずつ動き続けていることがわかったとなると、あまり大規模ではないと思います。
この付近は、高郷町揚津の赤岩地区と、隣接する中村地区の、23世帯およそ60人が暮らしています。
今は、避難勧告などは出していないそうですが、地すべりの範囲とその周辺の人は避難したほうがいいと思います。

地滑り対策本部設置 高郷の県道新郷荻野停車場線 喜多方市
30cm以上の段差があるところもあります。

ギリシャ・レフダカ島の地すべり

ギリシャの北端にレフダカ島があります。

このレフダカ島のビーチは、「ギリシャの美しいビーチトップ10」というサイトによれば、ヨーロッパで最も美しい海岸ということで首位になったことがあるビーチだそうです。
この島のビーチですが、2015年11月17日に、レフダカ島沖で発生したマグニチュード 6.8の地震による地すべりで「消滅」してしまったそうです。
なお、レフダカ島は、日本研究家として有名で、『怪談』などの作者でもある小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)の出生地としても知られています。

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上からの写真ですが、きれいな砂浜が続いています。

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きれいな海ですが、岩盤は脆く、急勾配のような印象を受けます。

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対岸から見たビーチがまさに地すべりにのまれている様子を写した写真だと思います。
すごい迫力で、崩壊土砂がビーチを埋め尽くしていくさまが見てとれます。
まだまだ明るい時間での撮影のようです。
このビーチが「消滅」とのことですが、本当に誰もいなかったのでしょうか?

lefdaka-004.jpg
砂浜がすっかりなくなってしまいました。
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