日本最古の井戸について

元々井戸は井の入り口の事を「井戸」と呼ぶ様になったのがきっかけだそうです。
現在では、普段から井戸を利用している方は減ってきていると思います。
松山だと、井戸は珍しくもなんともないのですが、都会では神社等でしか見た事ない人もあるでしょう。
昔から人々は、川や池や湧き水等、水がある所に住居を構えて村や町をつくってきました。
水が乏しい時には雨水を溜めたり、井戸を掘って水を溜めたりして水源を確保してきました。
井戸は生活に必要不可欠な存在だったと言えます。
そんな井戸ですが、日本で一番古い井戸について調べてみました。
日本最古の井戸がある神社は島根県出雲市にある「御井神社」で、斐川インターから近く、小山にある安産祈願の神社として知られています。
「御井神社」は、古事記等日本最古の史書十三の文献に記された由緒正しき神社だそうです。
安産の水神の祖であると言う歴史は、記紀に記された故事による物です。
ここでは
・生井(いくい)・・・・生井安産と子育て水神
・福井(さくい)・・・・福井母子の幸せを司る水神
・綱長井(つながい)・・・・綱長井母子の寿命を司る水神
の三つの最古の井戸があり、今でも清水が沸いています。
パワースポットとして遠方から参拝に来る方も見えるそうですが、地元では、お産の神様としてお礼参りや七五三や子どもも成長を祈って参拝される方が多い神社です。
この様に古い良き井戸は現在も清水を沸かせて人々の暮らしや祈りの支えとなっています。



生井


福井


綱長井



生井、福井、綱長井の場所
 
 
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彩浜館の「さざえ掘」

愛媛県伊予市に彩浜館があります。

彩浜館(さいひんかん)は、道後温泉の本館建築にあわせて明治27年に建てられた木造寄棟造りの集会場です。
洋風建築様式を取り入れた木造2階建ての建物で、各種の式典や催し物などに使用されていました。
日露戦争の最中にはロシア人捕虜将校の接待や、伊藤博文の歓迎会場として使われたこともあるそうです。
また、大洲藩の米や物産の積み出し港である萬安港(ばんあんこう)をこの地に築いた際、潮の干潮を知るために、らせん階段のように石を積み、砂を盛り上げて造った「さざえ掘」が保存されています。
彩浜館の利用については下記の通りです。
【利用時間】午前8時30分から午後10時までです。
【休館日】
年末年始(12月28日から1月4日)のみです。
【利用方法】
直接彩浜館(089-982-0506)に申し込みをします。
【主な施設】
第1号和室(65帖)・第2号和室(12帖)・第3号和室(10帖)があります。

平成元年に旧館の姿を残したまま改築された彩浜館は、五色浜の松林の緑に溶け込んでいる。
彩浜館です。
ステージもあり、大規模な宴会ができるような立派な和室があります。

さざえ掘 
彩浜館の裏庭に「さざえ掘」があります。
潮の干潮を知るためのものということですが、他にない貴重な遺構です。
以前に当ブログで、「まいまいず井戸」を紹介しましたが、形状はよく似ています。

井戸の種類③

井戸の種類にもいろいろありますが、今回は井戸の掘削方法による分類です。

(1)バイブロハンマーでの打ち込み井戸
打ち抜き井戸とも言い、鉄管の先にシューと呼ばれる尖ったものをつけて、バイブロハンマーで叩いて掘り下げていく方法です。
この方法は、いくら狭いところでも、鉄管が立てれて、その上にバイブロハンマーを載せることが出来れば掘ることは可能なのですが、松山あたりだと、どんなに深くてもせいぜい8~10m迄です。
何故かと言うと、帯水層と呼ばれる層は、砂礫層から成っており、この層は地下水はあるのですが掘り下げるのが難しいのです。
バイブロハンマー程度の振動だと、Φ30cm程度の玉石に当たるともう進まなくなります。
実は、この玉石くらいからが地下水脈となっているのです。
水道業者が主に、この方法で井戸を掘っていますが、何回も何回も掘り代えているのを見たことがあります。
それくらい、玉石の隙間を狙って掘り下げていかないと、地下水脈まで当たりません。
松山では、地下水位は5~8mくらいにあります。
地下水位が安定している時には、打ち抜き井戸でも取水は可能な場合もあります。
でも、この深度だと、市販されているパイプでは、穴は先端の30cm程度しか開いてないので渇水の時には水が出なくなってしまいます。
真空状態で汲み上げるので、エアがはいったら水が出なくなる欠点もあります。
このような理由で、最近ではあまりやらなくなっている方法です。
パイプの長さは5.5mなので、もう少し掘り下げたい場合は継手が必要になります。
フート弁・逆止弁などは取付不可能です。
打込式だと、地下水位がどこにあるのかわからないし、エアが入ると水は出ないし、メンテナンスの仕様もないのですが、一番安上がりです。
そして、汲めば汲むほど水はきれいになります。

(2)手掘りの井戸
昔は、周りを石積や井戸側で囲んだ掘り抜き井戸(掘井戸)がよく見られましたがこれは手掘りです。
私のイメージでは、オーソドックスな井戸といえばこのタイプです。
愛媛県では3尺(内径約1m)の井戸をよく見かけますが、他県では2尺(内径約60cm)の井戸も多いみたいです。
深さは4~6m程度です。
水が出てくれば当然掘りにくくなり、水替えもしないといけないので水位線より約2mくらいが人力で掘る限界だったのかも知れません。
水が出ないとこでは、土質によっては15m程度までは掘削は可能ですが、この深度になると酸欠も考えなければなりません。
この施工方法は、打ち抜き井戸や小口径のボーリング井戸と違い自分の眼で地下水を確認できます。
そして、水の出る量が少ない場合は、掘削深さを調整することにより、希望の水量を確保できます。
施工方法としては各種ありますが、いずれもやぐらを建て、ウインチを使って掘る方法で、主に人力で掘りながら順次コンクリ-ト製の井戸側や石積を入れてさらに掘り進む工法です。
井戸筒内の限られたスペ-スなので一人しか掘削できないために効率が悪く、愛媛県では、今はほとんどやっていません。

(3)重機械を使った井戸
木製や鋼製の土止め板(矢板)を使って、予定の取水量・貯水量が確保できる深さまで一挙に掘り下げ、その後で、コンクリート壁を施工します。
ユンボなどの大型重機を使って掘り進めます。
愛媛県ではあまり見かけませんが、高知県では一般的です。
広いスペースがあれば、確実な工法だと思います。
地すべり対策でのΦ3m以上の直径で施工する集水井のように、地表面からクラムシェルを使ったり、小さい重機を中に入れて掘り進めながら、順次側壁をライナープレートなどで保護する方法もあります。
これだと広いスペースが必要で、工事費もかかります。

(4)上総掘りの井戸
「かずさぼり」と読みます。
ボーリング機械の発達した日本では現在でこの工法で掘っている井戸はないと思いますが、掘り始めはこの名前にもある千葉県上総地方の人が発案したとされています。
この工法は、10mくらいの櫓を組んで、円形に近いような多角形の大きい木製の踏み車を作り、この上に竹か杉の丸太を束ねたもの(はねぎと言うそうです)を設けます。
このはねぎに掘削用の鉄管(ホリテッカンと呼ばれ鉄管の中は空洞で先にノミをつけたもの)を装着し、操作はすべて人力です。
木製の踏み車の中に人が入ってはねぎの弾力を利用して掘削する方法です。
インターネットのビデオで造り方や掘り方を実践していましたが、こんなやり方はとても出来るものではないですね。
但し、ボーリング機械のまだ普及していなかった明治の初期から30年頃にかけてはこの工法が主流だったみたいです。
でも、このような引き上げては落とし、また引き上げては落としの繰り返しは、現在でも使われているパーカッション工法の原型ですね。
人力で木製の踏み車を動かすのがエンジンとモーターに変わっただけです。(でもこれはとても大きい)
それにしても上総掘りで100m以上も掘ったことを考えると昔の人は忍耐強いと思いました。

(5)ボーリング機械を使った井戸
ボーリング機械を使った方法は、現在での主流です。
以前にも紹介しましたが、①パーカション工法②エアハンマ工法③ロータリー工法の3工法です。

1)パーカション工法 (Percussion)
この工法は比較的浅い井戸にも使用され、玉石層などに強い工法です。
櫓から下りているワイヤーロープの先端に重いビット(1.5t程度の掘削棒)を吊し、振幅0.5m程で上下させ、その打ち込む力で孔底の地層を突き崩しながら掘削していく工法です。
堀り屑が溜まって進行が低下すると、ビットを地上に引き揚げ、代わりにべーラーを孔底にワイヤーで降ろし掘り屑を浚い取ります(これをベーリングと言います)。
堀り進むにつれ、崩壊を防ぐために孔内に補泥(粘土で孔壁を保護します)していきます。
ビット->べーラー->補泥の手順を繰り返しながら堀り進みます。
そのため、ロータリー工法よりも掘削効率は悪いですが、1.0m程度毎に地質サンプル(スライム状となります)を把握できるため、完成度の高い井戸がさく井できます。
適用地質は未固結堆積層、軟岩層であり硬質岩盤には不適となります。
この工法の長所としては、比較的ツールが安いこと、地質サンプルが精度良く採取できること、泥水の管理は比較的簡単なこと、井戸仕上げは比較的容易なことが挙げられますが、固い地層には不向きなこと、掘削には熟練した技量が必要なこと、掘削中には水があるかどうかわからないこと、掘削中は泥水で汚れるなどの短所があります。

2)ロータリー工法 (Rotary)
近年は主流の工法で、岩盤掘削や大深度までの掘削に向く工法です。
①トリコンビットでの掘削
ドリルカラーの先端にトリコンビットと呼ばれる刃先を付け、それを回転させて地層を破砕しながら堀り進みます。
その際に刃先から泥水を噴射させビットを洗浄しながら堀削したり堀り屑を地上まで運び、それを地上部でふるいにかけて堀り屑と泥水に分別し、きれいになった泥水を再度循環させて掘り進みます。
孔壁の保護にはベントナイトを使います。
主に岩盤掘削や大深度までの堀削に向いている工法です。
掘削中には、地層の変化や、泥水の逸水などで帯水層の目安はつけれます。
そして掘削後には、電気検層を実施して帯水層の確認ができます。
この工法は、現在ではよく使われていますが、ボーリング機械の搬入やドリルカラーの立ち上げには2t程度のユニック車が必要になります。
だから、ユニック車が横付け出来る事が絶対条件で、なおかつ施工範囲も広いスペースが必要になります。
②メタルクラウンやダイヤモンドビットでの掘削
この工法は、刃先がトリコンビットからメタルクラウンやダイヤモンドビットに代わっただけで、それを回転させて地層を破砕しながら堀り進むのは同じです。
ただし、ドリルカラーは必要ありません。
刃先から泥水を噴射させビットを洗浄しながら堀削したり堀り屑を地上まで運び、それを地上部でふるいにかけて堀り屑と泥水に分別し、きれいになった泥水を再度循環させて掘り進む方法も同じですが、孔壁の保護にはケーシングを使います。
つまり、一般で行われている地質調査と同じ方法です。
この方法だと、小さいボーリング機械でも施工が可能なので、ユニック車が横付け出来ないような狭いところでも、機械を分解して運ぶことが出来ます。
作業範囲も10㎡程度あればOKです。
この工法の欠点は、孔壁の保護にはケーシングを使っているため電気検層が出来ず、掘削中の、地層の変化や、泥水の逸水などでしか帯水層の目安がつけられません。
したがって、何処に水があるのかは、熟練技術者の判断だけになります。
でも、最近の家庭の井戸掘削は、広いスペースがなかなかとれないのでこの工法が主流になってきています。

3)エアハンマ工法 (Down The Hole)
空気圧を利用して、硬質岩盤や玉石等、他の工法が不得意とする地層を短時間で掘削します。
地すべり杭工法にも威力を発揮します。
本工法の正式名称は、ダウン・ザ・ホールパーカッションドリル工法、略してダウン・ザ・ホールハンマ工法(DTH工法)またはエアハンマ工法とも呼ばれます。
この工法は、孔底にビット及びパーカッションドリル(エアハンマ)で堀り管接続で降下し、圧縮空気による圧力及びハンマピストンの重量でビットに打撃を与え岩石を破砕掘削します。
コンプレッサーにて送り込まれた高圧で大風量のエアーはエアハンマを作動させた後、ビット先から噴出し、ビットを洗浄冷却しながら連続的に掘り屑を地上に搬出する工法です。
地質サンプルは粉末状となり把握が困難です。
掘削深度は100m程度が目安であり、大深度の堀削は困難となります。
適用地質はすべての岩盤岩盤(軟岩~極硬岩)であり、未固結堆積層や崩壊層には不適となります。
この工法の長所としては、他の工法に比べ掘削速度が最も速いこと、地下水に当たると水が吹き上げてくるので、水のありかが掘削中にわかること、ケーシング工法(スクリーン位置はあらかじめ決める)のため井戸仕上げは不要なことが挙げられますが、大型のコンプレッサーと建柱車が必要なこと、粘土層では打撃が弱くなるなどの短所があります。

井戸の種類②

井戸の種類にもいろいろありますが、今回は井戸の材料による分類です。

①素掘井戸
素掘とは、地面を掘る際、周囲の土の崩壊を防ぐ工事を行わないで、そのまま掘り進めることを言います。
これは、手掘りでも、ボーリング機械を使ってもいいわけですが、掘った後には周りの土は崩れるのが一般的です。
手掘りで大きく掘っていっても崩れないのは粘土とかの不透水層だけで、この不透水層は地下水は出ません。
透水層である砂の層や砂礫の層は、地下水をよく通すので、崩れやすくなります。
したがってあまり深くは掘れません。
ボーリング機械を使って掘っても、素掘りだと孔壁が持ちません。
パーカッションやトリコンビットを使った井戸は、電気検層の都合もあり、素掘りで掘ることが多いのですが、孔壁を粘土やベントナイトなどの粘着力のあるものを使って崩れなくします。
だから、完成した時には素掘井戸と言えるのですが、このままでは地下水は出ません。
素掘井戸の中に、ストレーナ加工した塩ビ管や鋼管などを入れて崩れなくし、孔壁の粘土やベントナイトなどを洗浄により取り除いて完全な井戸となります。
したがって、完成した時には素掘井戸ではなく、塩ビ管や鋼管などの材料を使った井戸になります。
ただし、弥生時代の井戸は、ほとんどが井戸側などの施設を持たない素掘りの井戸だったそうです。
直径1mから1.5mほどの円形の穴で、深さ2、3mから、なかには5mにも及ぶものもあるそうです。

②石積井戸
孔壁の崩壊防止のために、材料に石積を使っている井戸のことを石積井戸とか石組み井戸とか言います。
地下水を求めるのが目的なので、よっぽどでないかぎり空石積での施工となります。
主には掘井戸に使われています。
丸井戸もあれば、四角形の角井戸もあります。
丸井戸は1m程度のもので、人が一人入って手掘りで施工するのが一般的ですが、四角井戸の場合は5m×5m以上の大規模なものもあります。
松山城二の丸史跡公園の大井戸は、特に大規模で、東西18m・南北13m・深さ9mで、石積みは乱層積および段積になっています。
平安時代や鎌倉時代の昔から造られていますが、つい20年くらい前までは施工できる井戸屋さんがいました。
私の家にある古井戸も石積井戸ですが、およそ100年の歴史があるようです。
現在ではほとんど造られていません。
特に、家庭用の井戸は、ボーリング機械を使ったものに変わってしまいました。

かつて防水用水としての水が溜められていた大井戸。大きさはなんと東西18m、南北13m、深さ9m。
これが松山城二の丸史跡公園の大井戸ですが、大井戸の東半分は井戸の中に3列各3本の柱が縦横に貫を通して組まれ、その上に邸がせり出して建てられています。
その基礎部となった梯子状の木材は現在も残っています。
古絵図には3ヶ所の階段を描いたものもあり、汲み上げた防火用水を床下を通って火災現場に運ぶ仕組みになっていたと思われます。

③木枠井戸
木枠井戸は、木造井戸または木製井戸とも言い、古墳時代では、弥生時代と同様に素掘り井戸でしたが、孔壁での素材には木枠が使われています。
木などの有機質は腐食して通常失われていますが、井戸の底などのように水気のある環境では残ることがあります。
飛鳥時代でも同様ですが、奈良時代になると方形に木を組んだ井戸側を持つものが増えてきます。
横板を積み上げたものや、四隅の柱に横木をわたし、幅の狭い板で横または縦に囲ったものなど、多様な構造を見ることができます。
その底をさらに掘り込み水溜として曲物(まげもの)を設置したものもこの頃から見られます。
鎌倉時代になると、結い桶が出現します。
木製円筒の容器で、先に述べた曲物桶とは別に、結い桶を重ねた井戸側です。
どちらもスギ,ヒノキ,サワラなどが使われていますが,曲物は片木(へぎ)に割裂したものを円筒形に巻き,合せ目をサクラやカバの皮の紐で縫い合わせ,底をつけたものです。
結い桶は鴻臚館に変わって貿易の拠点となった博多に、宋の商人がもたらしたものと考えられています。
これ以後、博多を中心とした地域では井戸側として一般的になりますが、全国的に広がるのは室町時代後半の15世紀以降からです。
世界最古の井戸も中国の木製井戸です。
約7000年前の河姆渡(かぼと)遺跡の中に井戸があり、木構造の井戸で、200本余りの削られた杭とほぞ接ぎの横木を組み合わせて造ったものだそうです。
形は商、周の金文に出ている「井」という文字に似ていて、漢字の「井」はここから誕生されたのではないかと言われています。

④瓦井戸
江戸時代には、専用に焼かれた瓦を円形に組んだ井戸側が多く見られるようになり、近年まで使用されていたそうです。
孔壁に瓦を貼り付けただけなので、古くなると崩れ落ちる危険もはらんでいます。
現在でも、愛媛県では時々見かけますが、補修はなかなか大変です。

⑤側付井戸
いわゆるコンクリートの井戸側を孔壁にもつ井戸のことで、内径の規格が60cmから150cmまであります。
井戸側とは、土砂の崩れ落ちるのを防ぐために、井戸の周囲に設けた囲いのことで、井筒(いづつ)とも言います。
手掘りで掘るのが一般的です。
最近はあまり見かけなくなりましたが、30年くらい前までは専門の井戸屋さんがいました。
穴を掘って、井戸側を敷き、その上に電柱を平行に並べ、掘った土を置いていきます。
井戸側を中心に、天秤のようにして重量で徐々に井戸側を沈ませていきます。
この繰り返しで、井戸側を何枚も何枚も重ねて掘っていきます。

⑥コンクリート井戸
側付井戸もコンクリート井戸なのですが、ここでいうコンクリート井戸は現場打ちの井戸のことです。
バックホウなどで、5m×5m程度の広い範囲を掘削して、地下水を確認して側壁の崩れを防止するためにコンクリートを用いています。
配水槽を井戸にしたような構造で、愛媛県ではあまり見かけませんが、高知県ではよく施工されています。
井戸の底は、砂利を敷き詰めたり、水抜き穴をたくさん設けたコンクリートを用いたりします。
地上部はコンクリートで蓋をしているので、どの範囲に井戸があるのかはわからないことが多いです。

⑦鋼管井戸
鋼管を側壁に使っている井戸はたくさんあります。
打ち抜き井戸は、鋼管の先端を尖らせて、バイブロハンマーの振動で掘り進めていきます。
鋼管の定尺が5.5mなので、それ以上掘るとなると継手が必要になります。
愛媛県では、地下水が豊富な西条市などではこの井戸で充分ですが、10m以上掘るとなるとポンプの揚程の限界もあり使用できません。
掘削径は、40A(4cm)か50A(5cm)です。
ボーリング機械を使って掘削し、鋼管で仕上げるのは一般的です。
掘り方は、パーカッション工法、ダウンザホールハンマー工法、ロータリー工法などありますが、重要な井戸はステンレス(SUS)を使い防錆しています。
掘削径はΦ40mm仕上げからΦ500mm仕上げまで広範囲です。
温泉掘削になると1000m以上の深井戸になることもあります。

⑧VP井戸
ボーリング機械を使って掘削し、塩化ビニール管(VP管)で仕上げる方法で、家庭用の井戸は、現在ではこれが一番多いと思います。
VP50からVP100程度が一般によく施工されています。
鋼管だとストレーナ加工が大変ですが、VP管だとドリル一つで可能です。
耐久性においても、防錆性においても優れており、軽いので容易に出し入れができます。

⑨集水井
大口径の井戸で、直径が3m~4m、深さは15m~30mが多いようです。
主として地すべり対策工の抑制工の一つで、地すべりブロックからの地下水の排除が目的です。
集水ボーリングとの併用で施工することが多く、集水ボーリングは横ボーリングでVP管を入れるのですが、集水井は、主としてライナープレートで施工されています。
ライナープレートとは、薄い鋼板に波付け加工し、4辺にフランジを取り付けたもので、もともとはトンネル覆工材として開発されました。

井戸の種類①

井戸の種類について調べてみました。

井戸(well)は、地面を掘ったり、または地下に管を打込んだりして地下水を汲出すところです。
井戸は、川水を生活の用水としていた時代に、川水をせきとめてためた場所であり、水のとどまるところというのが語源になっています。
その後、仏教伝来とともに大陸の技術が入り、地面から垂直に掘下げた井戸ができるようになりました。
さて、井戸の種類ですが、いろいろな分類のしかたがあります。
今回は、この中で、井戸の形態による分類について調べてみました。

①丸井戸
円形の井戸のことを丸井戸もしくは、円井戸と呼んでいますが、一般的には掘井戸のことを言うようです。
筒井戸も、筒のように丸く掘った井戸で、口径の太いものを言うので掘井戸と同じ意味です。
堀井戸とは、人が坑内に直接入って掘った井戸で、概ね直径1m程度の孔を、人力により垂直に地下水面に達するまで掘削する方法です。
孔壁に井戸側を使ったり、石積で周りを補強しながら掘削していきます。

②角井戸
丸井戸があれば角井戸もあります。
四角井戸が一般的ですが、三角井戸、五角井戸、六角井戸、八角井戸などあります。
七角井戸や九角井戸は聞いたことがありませんが、日本全国を探せばあるかも知れません。
昔造られたものが多く、主に孔壁は木枠が多いようです。
三角井戸は東京都文京区の清土鬼子母神堂などがありますが、非常に少なく、またこの形状にした理由はわかりません。
五角井戸は、徳島県の八倉比売神社など全国各地でよく見られるようです。
五角形は造りにくい形であり、囲うだけなら、普通は四角形か六角形になるはずですが、わざわざ五角形にしたのは特別な意味があり、それを伝えていることは間違いないと言われています。
五角形の五という数字は、神社略記で天照大神の葬儀を行った五神(伊魔離神、大地主神、木股神、松熊神、広浜神)、あるいは、天孫降臨の時に五つの供の緒を分かち合った五(天の児屋の命、布刀玉の命、天の宇受売の命、伊斯許理度売の命、玉祖の命)をあらわし、天照大神が亡くなった当時は、五つの部族によって国が成立していたということではないだろうかとの言い伝えです。

③まいまいず井戸
まいまいず井戸は、当ブログでも以前に紹介しましたが、まず地表にすり鉢状の窪地を堀り、すり鉢状の斜面には井戸端に降りて行くための螺旋型の歩道が作られ、その底に丸井戸を掘削する方法です。
井戸の利用者は、螺旋型の歩道を通って、底部にある垂直の丸井戸に向かうことになります。
「まいまい」 → 「かたつむり」 なので、形がカタツムリに似ているのでこの名がついたと言われています。
まいまいず井戸は武蔵野台地にあるのですが、このような井戸が造られた要因として、武蔵野台地特有の地質学的背景がありました。
武蔵野台地は多摩川によって形成された扇状地で、武蔵野台地には脆い砂礫層の上に更に関東ローム層の火山灰があるため、特に国分寺崖線より上は地表面から地下水脈までの距離が長いのが特徴です。
従って武蔵野台地では他の地域よりも深い井戸を掘らなければ地下水脈に達することができません。
当時はボーリング機械などはなく、手掘りの井戸だったので、地層が脆いために地下水脈まで垂直な井戸を掘ることが出来ませんでした。
そこで考えたのが、一旦地表面からすり鉢状に地面を掘り下げて砂礫層の下の粘土層を露出させ、そこから改めて垂直の井戸を掘って地下水脈に至るという、当時の人々の工夫を物語るこのまいまいず井戸の掘り方です。

④タケノコ井戸
タケノコ井戸もその形状から呼ばれています。
松山市で上水道にも使われている堀井戸は、水底を見ると、徐々に径が小さくなって2段とか3段になっていることがあります。
このように、徐々に径を小さくしている井戸のことをタケノコ井戸と呼んでいます。
四角い堀井戸だけではありません。
私たちが現在の井戸で主流になっているボーリング機械を使った井戸でも、最初は大きい径で掘って、徐々に小さく仕上げていくことがあります。
このような井戸もやはりタケノコ井戸で、特に温泉を掘るような深井戸では、1回では掘らず、何回かに分けて掘るのが普通で、2段~3段の竹の子状の構造になっています。

⑤管井戸
管井戸は、鉄管を打ち込むなど細いものを呼んでいます。
丸い井戸なので、丸井戸の形状の中に入ってもいいのですが、丸井戸が自由水対象の掘井戸であるとすると、管井戸のような深いところの地下水である被圧水が対象の井戸は別にしました。

 
⑥横井戸
今まで紹介した井戸はすべて地面に対して垂直に掘る竪井戸(縦井戸)でしたが、山の崖など斜面に水平方向に掘る井戸を横井戸と言います。
日本では、地下水が豊富なので堅井戸が多いのですが、中近東など乾燥地帯で紀元前から発達した井戸に横井戸(水平井戸)があります。
これは、遠い山麓などの帯水層から水を集め、砂漠の地下を流して集落まで導き出すもので、長さ数km~十数kmにも及んでいます。
30~50m置きに縦穴を掘り、その底から両側へわずかに勾配をつけたトンネルを掘って相互につなげたもので、中近東ではカナート、カレーズ、北アフリカではフォガラ、中国では乾児井(かんにせい)、坎井(かんせい)などと呼ばれています。
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