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地下水の賦存と利用について

地下水の賦存と利用について調べてみました。

地球上の水の総量は約14億km3であり、この97%が海水であるといわれています。
そして残りの3%の淡水のうち70%は南極と北極地方にある氷雪であり、残りの30%(総量だと0.8%)の淡水は、その90%以上が地下水であると言われています。
しかし、地表水に転化するもの(河川流量の約1/3は地下水で補給されて流量の安定化に寄与しているといわれています)や、採取不能なものを除くと、利用できる地下水はかなり限られたものになります。
中近東やアフリカ、またアメリカの砂漠地帯の地下水は、約2万年前の最終氷期最盛期のころから涵養され、中部ヨーロッパの深層地下水は約1万年前の縄文海進のころから涵養されたものであるといわれています。
このようなところの地下水の自然の循環は、かなり長いものがあります。
これに対し、砂丘,扇状地や火山山麓の地下水循環は数年以下の短いものとなります。
被圧地下水の循環も、自然状態では早くないのですが、人工の揚水によって早められ,水平方向より垂直方向の涵養量が多くなるといわれています。
地下水の利用にあたっては,このような実相を十分把握しておくことが必要となります。

日本の水資源は、全国で渇水年に約3,300億m3と推計されています。
これに対して、日本の年間の水利用量は約1,500億m3と推計され、回収水や海水の利用を除くと,約1,000億m3だそうです。
この量は、ほぼ河川の渇水量の総量に相当する量で、全体としては不足しないように見えますが、降水量が地域的にも季節的にも偏っていることと、,利用も大都市に集中することから、松山市のように、雨の降らないところは、時々は節水を強いられることになります。
日本の全地下水利用量は約200億m3と推計されています。
これは淡水利用量(回収水を除く)の20%に相当します。
また、地下水利用の40%は浅井戸、暗渠および湧泉からの不圧地下水であり、残りの60%が深井戸により被圧地下水を利用しているものと推計されています。
用途別には,製造業や加工業で、冷却用(75%),製品処理・洗浄用(15%)、温調用(4.4%),原料用(1.3%)およびボイラー用(1.2%)に使用される工業用水が全地下水利用量の35。8%を占めています。
農業用水が18.6%,、水産用水が17.1%となっており、飲料用の生活用水は19.6%のみです。
農業用水についてみると、わが国の年間の全利用量は570億m3と推計され、内訳は水田潅漑用が560億m3、畑地潅漑用が7億m3、畜産用が3億m3です。
水源別には河川水452億m3、溜池80.5億m3、地下水(湧泉を含む)37.5億m3であり、地下水利用は全体の6.6%となっています。
この内訳は水田用水が31.8億m3で大半を占めています。
農業用を施設別にみると約64%が浅井戸であり、残りが深井戸等となっています。
農業用水の利用期間は4月から9月までの潅漑期で、全体の96%がこの期間に利用されています。
地域別にみる、関東地方の平野が多く、次いで四国地方の平野となっています。
最近では、香川用水地区のように,地表水源の導入によって地下水利用が減少した地域も多くなっていますが、パイプラインの普及していないところでは、農作業の利便性から、逆にスイッチオンで利用できる地下水利用の農家も増加しており、地下ダムのような新しい技術による開発も含めて地下水開発に期待する声は現在でも大きいものがあります。
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「水みち」と井戸計画

私たちが、地下水があるかどうかの目安として、よく使っている言葉に「水みち」があります。

「水みち」を専門書で調べると、「水が流れた跡」とか、「水の流れる路」とか書いてあります。
難しい言い回しだと、地盤の一部に透水性の高い箇所が存在し、相対的に速い地下水の流動速度を有する区間を地下水流動区間≒「水みち」と言うそうです。
そして、「水みち」の存在を把握することで、
①河川やため池堤体の健全性評価
②土木工事における作業の安全性・経済性評価
③地下水保全対策及び地下水汚染対策
等に役立てることが出来るということになります。

「水みち」は「水道」と区別して、わざとひらがなで表記することが多くなっています。
「水みち」は、不圧水(自由水)にも被圧水にもあります。
不圧水の地下水は礫や砂の間隙に存在し、地下水を含む砂礫層などは、帯水層と呼ばれています。
いわゆるこれが「水みち」です。
被圧水は堆積層の中にもあるのですが、岩盤の中の水は、断層や割れ目の水で、これが「水みち」を通路とした裂か水(パイピングフロー)と呼ばれています。
この「水みち」の透水性は、透水係数で判断できますが、水の通しのよい砂礫層は、10-2~10-0(cm/秒)くらいです。
これを普通に書き換えると0. 01~1(cm/秒)となります。
透水係数は速度の次元(単位)を有する比例係数とされ、地下水の速度は透水係数に動水勾配を乗じて求められます。
地下水は地下水位の高い方から低い方へ流れますが、 例えば、地下水位が1m離れた先で、1m低ければ動水勾配は1となります。
そして、動水勾配が1のときは水の速度=透水係数となります。
透水係数が1(cm/秒)であれば、1秒間に1cmの速さで水が動くことになります。
これは、地下水中では、ものすごく早く動くことになります。
なお、実際の水は間隙の隙間を流れるので、実際の速度は上記の水の速度を間隙率で除してやる必要があります。
通常は、ひとつの帯水層全体がこの透水係数で表され、あたかもこの速さで水が帯水層(砂礫層)全体に浸透するイメージを持たれがちです。
しかし、実際の水は砂礫層の中を特定の礫と砂の隙間の「水みち」を通って流れていることが多いそうです。
これは、水の流れがはじめて生じた時に、流水によって砂の粒子が流され、新たな「水みち」ができることもあると思います。

井戸を掘るときに、まず試験掘りをすることがあります。
その時に、現場透水試験などで透水係数を把握します。
その試験結果で、「ここは水が出ない」とか決め付けてしまうことがよくあります。
ほとんどはこの判断が正しいのですが、井内洗浄を行っていくうちに、徐々に新たな「水みち」ができ、「以外にも水があったな」と思うことがあります。
また、試験掘りで得られた透水係数などを使って井戸計画をし、実際に井戸を掘ったけど、計画通りに出ないこともよくあります。
本来では、大きい井戸の方が、小さい井戸よりも構造的には、水を集めやすいのですが、試験掘りの時の揚水で「水みち」ができてしまい、本番の井戸を作った時には揚水しても思うように水が集まってこない現象がみられる事もあります。
こういった現象は、10m~20m程度の不圧地下水の浅井戸で見られます。
これに対して、深井戸では、圧力を持った被圧地下水なので、あまり見られることはありません。
浅井戸の井戸計画は、不確定な要素が多いので慎重にする必要があります。

インドの「階段井戸」

以前には、「世界一美しい井戸」で紹介したことがありますが、インドの「階段井戸」を紹介します。

この井戸は、日本にある井戸とは全く違って、幾重にも分岐しながら地下奥深くまで続いていく階段があります。
写真を見ると、奥底には水が溜まっていることがわかります。
この建築物は、数百年以上前につくられたインドの「階段井戸」です。
降雨量の少ないインドでは、安定して水を得るために地下水をくみ上げてくる必要がありました。
しかし、地下水にたどり着くのには、かなりの深さまで掘り進まねばならず、結果として井戸の底まで延々と続いていく階段ができあがったのだと言われています。
この井戸のある場所は、西インド・グジャラト州都アフマダバード郊外だそうです。
今から514年も前の1499年に、王妃ルダバイによって建造されたものだそうで、地下5層の壮大な砂岩だけによる建造物で、その大きさは長さは70m以上、幅25m、深さは30m以上あるそうで、一番下の地下には空から光が差し込み、神聖な空気を醸し出しているそうです。
5階建てのビルがそっくり地下に潜った大きさだそうです。
三方からの進入が可能なそうで、構造物の階段を下って降りていくと各階層に踊り場があり、それらの壁に無数の美しい浮き彫りと彫像を見ることができます。
また、13階層にもなっていて、階段は3500段もあるそうです。
幾何学模様が美しく、緻密に計算された構造です。
インド国内では、現在でも数百以上もの「階段井戸」が現存し、一部はいまでも灌漑や洗濯のために使われているそうです。
そして、「階段井戸」のいくつかは寺院としても機能しており、なかでも11世紀につくられた「ラニ・キ・ヴァヴ グジャラート・パタンの女王の階段井戸」は、2014年に世界遺産に登録されています。

階段井戸(c)MITSUO ANBE/SEBUN PHOTO
気温が47度を超すことも珍しくない真夏インドで、王妃ルダバイだけでなく、王族たちがこの井戸の中に潜ってひとときの涼を求めたそうです。
井戸の水を、各層の張り巡らされた石樋を通して流し、石にしませることで水の蒸発熱を利用して天然のクーラーにになります。
エアコンの普及した今日ではまず必要はないのですが、当時はこれほど豪華な涼み方はなかったと思います。
また、中央がコンサートの舞台のようにも思えます。
こんな豪華で広い井戸の中でコンサートでもすれば涼しいと思います。
手摺りでもないと危険ですが。

image
どれくらいの費用をかけて掘ったのでしょうか?
今みたいに便利な建設機械もない頃の古代の人は、いろいろな工夫をして、たくさんの人と長い年月をかけて完成させたのだろうと想像します。
ビラミッドのように、地上に積み上げていくのも大変ですが、このように、地下に掘り下げていくほうがもっと大変だと思います。
地下水が、どの深さにあるのかわからないのですから。

井戸の影響範囲について

井戸の影響範囲について考えてみました。

家庭で井戸を掘る場合に、その場所が水が出るのか出ないのかは一番重要ですが、水が出たとして、果たしてどれくらいの範囲が影響しているのでしょうか。
都市部では、ほぼ上水道が完備されていますが、まだまだ地方では生活用水を井戸に使っているところが多く、井戸枯れや水質汚染は非常に大きな問題となるので、井戸調査は、建物調査より事前調査の必要性は高くなっています。
この井戸の調査範囲として、だいたい井戸のある箇所から100mなどと範囲が指定される場合もありますが、これはあくまでも目安でしかありません。
計算式では、ジーハルトやウェーバー、コゼニー、クサキン、レンケなど、いろいろな人が経験式などを発表していますが、絶対にこの式が正しいと思えるものはありません。
井戸の影響範囲(影響圏と言ったり影響半径と言ったりもしますが)は、地盤条件と井戸及び掘削深さから影響の有無を考えるべきものですが、近くの地質柱状図がある場合には、これらのデータから地下水を利用している帯水層を判断し、地下水影響を考えます。
この時には、透水係数のオーダーも重要になります。
透水係数とは、地層の透水性の程度を示す係数です。
地層の多孔体中の層流に関する基本則のダルシーの法則を、Q=KIと表したとき、Qを比流束(またはダルシー流速)、Iを動水勾配(こうばい)、比例定数Kが透水係数となり、QqとKはともに速度の次元をもちます。
物理的には、多孔体中で流れの方向に直角な単位断面積を、単位の動水勾配の下で単位時間内に通過する水の量と定義されています。
透水係数の大きさは下表に示しましたが、一般に粒径のそろった粗粒な地層ほど大きく、細粒で混合粒径の地層ほど小さくなります。
地下水を取水する帯水層の透水係数は日当り0.1~100m程度です。
つまり、川の流れよりも、ものすごくゆっくり流れています。
透水係数は地層の性質のほかに、水温、封入空気、イオン組成など水の性質によっても変化します。
水温が高いほど透水係数は大きくなります。
そして、封入空気は水の流れを妨げ透水係数を低めます。
また、堆積層の透水係数は、土粒子の配列構造や地層の層構造のため、一般に水平方向の透水係数が垂直方向のそれよりも大きく、異方性を示しています。
さて、影響範囲Rには以下の3つの定義が考えられています。
①水位低下量sが0あるいは十分に0とみなせる距離Rs
②Thiem法の適用により、s-log(r)直線の延長がs=0軸との切片となる距離RT
③地下水流速vが0あるいは十分に0とみなせる距離Rv
ここで、従来、①と②は両者に区別はないとして扱われ、実務的には定義①のRsを求める方法をThiem法と考え、この手法から定義②のRTを求め、両者を同一視しています。
しかし、非定常挙動時や定常時であっても漏水や降雨酒養を受けた場合にはRsとRTは必ずしも一致しないことがあります。
また、③の定義は近年その必要性が認められてきたもので、揚水や注水といったインパクトによる地下水流速への影響を考える場合であり、どの範囲まで地下水移動があるかが影響の主眼です。
この観点から③では影響評価の指標は水位変動ではなく、流速です。
定義①のように地下水位変動を数cmや数mm以内であれば影響がないという考え方は実務的に理解しやすいのですが、元来低流速である地下水流に対して、どの程度の流速値であれば地下水移動がないと考えるかは難しい問題です。
そこで、所定時間内に揚水井戸や注水井戸からどの範囲まで地下水移動が見込まれるかを指標にした影響範囲の考え方も議
論すべきと考えられています。
圧密問題では、沈下量の他に沈下による傾斜角を評価する場合があり、この場合には地下水位面の傾斜、すなわち動水勾配を考えることになります。
流速は透水係数と動水勾配の積であることから、この問題も定義③のRvを用いて考えることもできます。
私は、Thiem法を教わったので、どうしても地下水位変動が限りなく1mmに近づくところまでが影響範囲だと思ってしまいます。
まだまだ地下水は解らないことが多すぎます。
井戸の使用状況や、付近の地下水の利用状況、そして土質や透水係数によっても影響範囲は変わってきます。
こう考えると、井戸の影響範囲を決めるのはものすごく奥が深いと思います。

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不要となった井戸の処置

最近では、上水道が普及して、井戸は少なくなりましたが、昔は、井戸は大切な水源で、どこの家にもありました。

1)不要となった井戸
現在では、井戸は、地盤沈下の要因にもなっているために、都会では不要となっているところもあるみたいですが、今でも田舎に行くと、家の敷地内には井戸は多くみられます。
使っている井戸はいいのですが、何らかの理由で不要となった井戸もよくあります。
①井戸に蓋をして、今は使っていない
②潰してしまった(砂などを入れて井戸の機能を閉ざした)
③潰して、その上に家を建てた
など、特に注意することもなく雑に扱うことがほとんどです。
一般的には、一度井戸を作ってしまえば、使用しないとか潰すなんてことはだめです。

2)水龍神のはなし
こんなお話があります。
ある家の裏に駐車場があり、そこの駐車場には実は井戸があって、それを埋めて、駐車場にしたそうで、そこを守って修行をしていた、水龍神さんがいたみたいです。
その水龍神が、井戸を埋められて、修行の場を失って、苦しんでいるので、供養をして欲しいとその方に訴えてきたそうです。
供養の方法は、お酒やお米など少しお供えものをして、水をはったバケツを用意します。
そして、こういう供養に至った経緯をお話して、そのバケツに一旦移って頂き、そのバケツの水をきれいな川に流して、次の修行場に移って頂いたとのことでした。

3)埋井祭
基本的には、井戸を埋めることは好いことではないのですが、どうしてもしないといけない事もあります。
井戸を閉塞(埋める)することを埋井祭( 井戸埋清祓)と言います。
水の恵みに感謝し、元の大地に還るよう願い、水龍神さんを怒らせないようにする祭事です。
昔から井戸には、水龍神さんである水波能売命(みずはのめのみこと)大神が祀られていました。
地中深くから沸く水は清く綺麗ですが、長年使っていたり、周囲に家が多く建つことなどで、大腸菌や雑菌が基準値を超えてきたりすることもあり、掘り直す家庭もあります。
また、新築の家を建設する際に、古井戸をどうしても埋めなければならない時には地鎮祭と併せてお払いをすることが多くなっています。
地鎮祭を終えて家を建て始めた後などに敷地から井戸が出てくる場合があります。
この場合は埋井祭を単独で行う必要があります。

4)簡易なお払い
埋井祭についても簡易なお払いですます場合もあります。
掘井祭(井戸を掘る前にする儀式)と同じように、神主は呼ばず、施主と施工業者とで行います。
用意するものは、
①米 (1合)
②清酒(1升瓶でめでたい銘柄を選ぶ)
③塩 (粗塩で1kg)
あとは掘井祭と同じく、井戸のあるところに塩と米を撒いて(一掴みくらい)、清酒をたっぷりと振りかけます。
そして、皆んなで拍手を打って一礼し、儀式を終えます。

5)井戸の閉塞工事
この後、閉塞工事にかかるのですが、普段使用していないようでしたから、ゴミ等いろんなものが入っています。
まず、ゴミ等を綺麗に掃除をして、元掘っていたところまでの土を出し、井戸枠を取ります。
昔の古井戸は手掘りの掘井戸が多く、石積の井戸もあれば、土管を使ったり、コンクリートの井戸側を使ったりしています。
だいたい1m程度の直径なので中に入ることができます。
次に、お払い(お礼)をし、目抜きした長い竹に御札をつけ、井戸に入れます。
これを「息抜き」と言います。
業者さんによっては塩ビ管で井戸の目抜きをして井戸埋め施工をしている方もいますが、これは間違っています。
本来、この工事は井戸の「息抜き」を作るというよりも井戸の目抜きを竹にすることが必要です。
つまり、井戸が自然に消滅していくといった状況にするためには3~5年で腐ってなくなる竹がいいのです。
塩ビ管では年月たっても腐らないので、井戸は塩ビ管の状態でずっと残ってしまいます。
この「息抜き」の竹の作り方は、まず竹を半分に割り、節を取り、また合わせて縄で結び完成です。
下から順番に井戸の材料を割って取り除いて、川砂を入る作業を交互に繰り返します。
途中、そのままでは雨で川砂が下がりますから、水を入れて人工的に下げます。(水締め)
上記の材料を割って、川砂を入れ、水で締める作業を地上に来るまで繰り返します。
地上まで砂が盛られたらもう一度お礼をして、工事完了といった流れになります。
埋める材料は、八分砂利・砂利・砂・マサ土の層分け詰めで埋めるやり方もあります。
尚、ここで紹介した工事の流れは他の地方では変わることもあります。
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