大分県中津市耶馬渓町の大規模な土砂崩れ

大分県中津市で、斜面崩壊のニュースが入ってきました。

斜面崩壊は、4月11日午前3時50分頃だったそうです。
大分県中津市耶馬渓(やばけい)町金吉(かなよし)という集落で「裏山が崩落して何軒かが土砂にのみ込まれた」と市消防本部に通報がありました。
崩壊の規模は、幅200メートル、高さ約100メートルという大規模な土砂崩れです。
でも、斜面崩壊の誘因である地下水の状況ですが、山崩れがあったこの耶馬渓町は、ここ数日、まとまった雨は降っていなかったそうです。
大分地方気象台によると、土砂崩れがあった中津市耶馬渓町のアメダスの観測地点で、まとまった雨が降ったのは、約3週間前だそうです。
3月19~21日で計約70ミリを観測して以後は雨はほぼ降らず、4月10日までの1週間は、6日に4・5ミリ、7日に1・5ミリの雨が観測されたものの、8日から10日までの3日間は0・5ミリ以上の雨は観測されませんでした。
それなのに、なぜ斜面崩壊が起きてしまったのでしょうか?
ヘリで上空から現場を見た福岡大の教授である村上哲さんは(防災地盤工学)は、崩れた山の斜面に水が湧き出ていたり、水が流れたりしていることに注目しています。
「山がため込んだ地下水のため、土砂崩れが起きたのではないか」と話していました。
地元の建設会社幹部(41)によると、現場周辺は水がたまりやすく地盤が緩いことが、地元の建設関係者の間で知られていたそうです。
村上教授はさらに、現場付近は山頂が平らで、水がたまりやすい崩積土の斜面だと分析しています。
急斜面のため崩れやすく、岩盤との境に沿って滑り落ちたと推定されています。
これを裏付けるように、数日前から山に異変があったそうです。
土砂崩れに巻き込まれた男性が数日前から「裏山から石が落ちてくる」と話していたそうです。
山が2、3日前から「ゴー」と地鳴りがしていたとの証言もあります。
村上さんは「なぜこのタイミングかは検証が必要だが、地下水に加え、地盤の風化などさまざまな要因が積み重なったのでは」とみています。
また、九州大大学院の教授である三谷泰浩さん(地盤工学)は、現場が溶岩台地で、川に沿って風化した山の斜面が浸食される「耶馬渓特有の現象」と分析しています。
垂直方向に地盤の割れ目があり、その割れ目に沿うように、まず地盤が滑り落ちたと推定しており、崩落地点のさらに上部には亀裂も確認されています。
三谷さんは「雨が降ったり、崩れた土砂を除去したりすれば、さらに崩れる恐れもある。二次災害に十分な注意が必要だ」とさらに警戒を呼び掛けています。
私は、斜面崩壊には常に豪雨が隣り合わせという印象をもっています。
でも、3週間も前に約70ミリ降ったくらいでもこのような大規模な土砂崩れが起こってしまったという現実を知ると、地形や地質構造と地下水の賦存との関係をもっともっと研究する必要があると思います。

山が崩落し、民家が土砂に埋まった現場=11日午前10時33分、大分県中津市(本社ヘリから)

山が崩落し、民家が土砂に埋まった現場=11日午前10時33分、大分県中津市
(西日本新聞本社ヘリから)


崩壊の現場の地質構造は複雑なようです。
地盤工学の専門家は、火山性の地盤の風化が素因で、あとは地下水の賦存が誘因になっているとのことでした。


斜面と民家との配置図です。
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集中豪雨による被害と「真砂土」

台風3号に伴って発達した積乱雲が次々と発生し、強雨をもたらすという「線状降水帯」によって、福岡県と大分県は大変な被害になっています。
1時間の降水量が100mm以上を記録している福岡県の朝倉市は、朝倉市杷木若市で山が崩壊するおそれがあるとして、昨日の午後2時45分、若市区と上げ区の2つの地区の115世帯316人に避難指示を出しています。
1時間の降水量が100mm以上が何回も続けば、斜面崩壊も起きるとは思いますが、こんなにも大規模の崩壊が起こった地質の要因としては、「真砂土」にあると言われています。
「真砂土」(まさつち Decomposed granite(DG))とは、花崗岩が風化が進んで砂状・土状になったものです。
結晶粒子が大きくかつ鉱物結晶の熱膨張率が異なる花崗岩は、温度差の大きい所では粒子間の結合が弱まり、風化しやすいのが特徴です。
風化が進むと構成鉱物の粗い粒子を残したままバラバラの状態になり、非常にもろく崩れやすくなります。
この中には礫や砂、シルト、粘土などの大きさの粒子が含まれます。
そして、最終的には礫はケイ砂やシルト、粘土へと風化していきます。
このようにして生じた粗い砂状の粒子は「マサ」と呼ばれ、そのマサが堆積した土を「マサ土」と定義しています。
日本では主に関西以西に広く分布しており、安価なため園芸・敷土などに広く用いられています。
土質力学的には、
①分布地域により鉱物の組合せや粒径が違い性質が異なること
②花崗岩の風化が深層に至り表面は完全に土砂化すること
などから、安全性の確定が特に難しいと言われています。
「真砂土」の特徴としては、水に弱い土質です。
これは一般に花崗岩の風化が深層にわたって及んでいること、またその表層が比較的短年月の間に物理的化学的風化の進行によって完全な土砂化をするためです。
特に粗粒花崗岩は、粘土鉱物の流出によって、土砂化した際に砂質土となり粘着力成分を失うため流水によって侵食崩壊しやすくなります。
今回のような集中豪雨が長時間続くと、表土層底部に浸透水が貯まりバランスが崩れて大規模な崩壊に至ることもあります。
最近では、2014年8月19日~20日に広島市で発生し大きな被害をもたらした土砂災害の一因として、現場周辺の「真砂土」による地質特性が挙げられています。
一般に崩壊を起こす表土層の透水性は下層が基盤となっている「真砂土」に比べてかなり大きいのが普通です。
しかし、「真砂土」は、見かけとは違って透水係数が1×10-3cm/secよりも大きいことが多いのが特徴です。
つまり下層を形成している「真砂土」も透水性があるということになります。
集中豪雨が長時間続くと、浸透量が流出量より多くなり、浸透水が貯留しはじめ地下水を形成します。
この水位が次第に上昇する過程で安定に関する力のバランスが崩れて全面的な崩壊に至ります。
「真砂土」の場合は、浸透水が下層にまで貯留するために、崩壊する時には大規模なものになることがあります。
下の写真は、福岡県朝倉市、大分県日田市などの被災地に生々しく刻まれた豪雨災害の爪痕です。
松山市も、高縄山はすべて「真砂土」なので、集中豪雨では崩れやすいのは朝倉市と同じです。
集中豪雨が何日も続くときには逃げるしかないのでしょうか?
大分県や広島県とは瀬戸内海を挟んでいるだけなのに、それにしても雨が降らない松山市です。


















今度は福岡と大分に「大雨特別警報」

大雨の継続情報です。

昨日の朝、島根県に「大雨特別警報」を発表していた気象庁は、今日は、福岡県朝倉市や同県久留米市、大分県日田市など31市町村に「大雨特別警報」を出していました。
「大雨特別警報」は、数十年に1度の降雨による甚大な被害の恐れがあることを前提としているので、そんなにしょっちゅう出すわけではありません。
でも、九州北部は5日、活発な梅雨前線に湿った空気が流れ込み、福岡、大分、佐賀県で記録的な大雨となったそうです。
島根県や広島県ばかりが気になっていましたが、気象庁の推計では、福岡県東峰村、佐賀県鳥栖市などで1時間に110~120mmを超える猛烈な雨が降ったとして「記録的短時間大雨情報」を発表しています。
また、朝倉市では同日深夜までの24時間雨量が515・5mm、日田市も同329・5mmとなり、いずれも観測史上最大を記録しています。
福岡、大分両県では6日午前0時現在、18万1885世帯約43万300人に避難指示を出しているので、「大雨特別警報」は当然なのかもしれません。
それにしても、1時間に110~120mmとか、24時間雨量が515・5mmとかは、常識では想像できません。
家にいても「テレビの音が聞こえない」とか誰かが言っていましたが、まさに恐怖を感じるような大雨だったろうと思います。

大雨による濁流でえぐられた道路=5日午後6時半ごろ、福岡県朝倉市(同市提供)
大雨による濁流の圧力で、道路がえぐられています。
(5日午後6時半ごろ、福岡県朝倉市提供)

台風3号からの「線状降水帯」

昨日は、台風3号が、正午すぎに愛媛県宇和島市付近に再び上陸しました。

愛媛県で台風が上陸したのは14年ぶりだそうです。
いかに台風が愛媛県を避けていたかがわかります。
でも、降水量はというと、宇和島市は7時間で42mm、松山市では6時間で21.5mmだけです。
渇水対策にもならないような降水量です。
でも、他県では大変な豪雨のようです。
台風の発達した雨雲が九州や四国などにかかり、午前10時20分までの1時間には、熊本県の阿蘇市乙姫で81.5mmの猛烈な雨を観測したほか、午前11時半までの1時間には高知県土佐町に国土交通省が設置した雨量計で52mmの非常に激しい雨を観測しています。
それにもましてびっくりしたのは、気象庁が、今日の朝、島根県に「大雨特別警報」を発表していました。
気象庁予報課の課長である梶原靖司さんが、「これまでに経験したことがないような大雨となっています。重大な危険が差し迫った異常な事態です」と言っていました。
島根県には昨夜から「線状降水帯」がかかっているそうで、浜田市、益田市、邑南町、津和野町では、これまでに経験したことのないような大雨になっているそうです。
「線状降水帯」とは、線状に延びる降水帯のことで、台風3号に伴って発達した積乱雲が次々と発生し、強雨をもたらすそうです。
規模は、幅20~50km、長さ50~300kmに及ぶそうです。
今日の午前3時前までの1時間には浜田市金城で82mmの猛烈な雨を観測したそうです。
そして、浜田市の多いところではこの24時間に降った雨の量が350mmを超える大雨となっています。
また、島根県に隣接する広島県や山口県でも前線の影響で激しい雨が降り続き、午前10時半までの1時間には山口県の岩国市玖珂で25mm、広島県の呉市倉橋で24.5mmの強い雨を観測したそうです。
広島県北広島町ではこの24時間に降った雨の量が多いところで300mmを超えているそうです。

島根県の大雨の要因としては、気象庁によりますと、4日まで北陸などで記録的な大雨を降らせた前線が、4日夜遅くから南下し、島根県付近にかかるとともに、高気圧の縁を回って暖かく湿った空気が日本海から流れ込み、前線の活動が活発になっていたそうで、先に説明した「線状降水帯」と呼ばれる発達した帯状の雨雲が同じ地域に次々と流れ込み、大雨になったそうです。

特別警報が発表されたのは、去年10月3日に猛烈な台風18号が接近した影響で沖縄本島地方に大雨と暴風と波浪、それに高潮の特別警報が出されて以来だそうです。
また、おととし9月の「関東・東北豪雨」では、栃木県と茨城県、それに宮城県に大雨の特別警報が発表されました。
この際は、台風から変わった温帯低気圧などの影響で、関東や東北に「線状降水帯」と呼ばれる発達した帯状の積乱雲がかかり続け、この時も記録的な豪雨となりました。

P7050011.jpg
松山では、朝は晴れていました。
午前11時過ぎに、松山ではまれに見る豪雨で、会社の屋根は、激しい音を立てていました。
この時にとった写真ですが、画像だけ見るとあまり激しさが伝わってきません。
この豪雨も、12時前には止んでしまいました。

P7050008.jpg
水しぶきが激しく、とても外には出られない状態だったのですが、この激しさが画像で伝わるのでしょうか。
でも、この豪雨も約15分程度でした。
1時間雨量では20mmくらいなのでしょうか。

博多駅前の陥没事故と複雑な地質

先日、埋め戻し工事をした博多駅近くの陥没箇所が、最大7cm程度沈下していたそうです。

11月8日の大規模陥没事故とほぼ同じ場所で、路面は約30m四方の範囲での沈下ですが、福岡県警は安全が確認されるまでの約4時間、現場一帯を通行止めにしたそうです。
まずは、迅速に対応した埋め戻し工事ですが、深さ約15m、縦横約30mの巨大な穴の埋め戻しが手早く出来たのは、土にセメントや固化剤を混ぜた流動化処理土を使ったためだと思います。
でも、この特殊な土は、固まりやすいために備蓄はできません。
福岡市によると、福岡市の近郊にある生産工場を押さえ、工場で増産を続けながら、ミキサー車で現場までピストン輸送したそうです。
その量はミキサー車1550台分の約6200㎥にも及んだそうです。
流動化処理土の使用で、埋め戻す前に比べて地盤が30倍の強度となった一方で、コンクリートのように強固ではないため、今後は陥没事故の原因調査のためのボーリング調査ができる利点もあると言われています。
そして、どんなに強度のある土を入れても、沈下は起こります。
深さ約15m、縦横約30mの巨大な穴なので、最大7cm程度は許容範囲だと思います。
毎日毎日、車の振動もあり、しばらくはまだ沈下を繰り返すとは思いますが、こんなのは特別問題にすることではないと思います。

そして、調べれば調べるほど、大規模陥没箇所の地質の複雑さと、工法選定の難しさを感じます。
私は、11月9日のブログで、何も地質のことを知らないがまま、「シールド工法」の方を選択すべきだったと書いてしまいましたが、どうもそうではなかったようです。
あの区間は、ちょうど駅部分にあたります。
「シールド工法」だと、大型ドリルで掘り進むのと同時に壁面を補強する工法です。
駅はどうしても広い空間が必要です。
したがって、「シールド工法」だと、トンネルの大きさを変えることができないので「NATM工法」を採用したそうです。
「NATM工法」での工事は、先に小さな穴を通し、必要な大きさまで広げてコンクリートを吹き付け、ロックボルトで固定する方法で進められていました。
そして、当初計画でも、下図を見ると、岩盤を「NATM工法」で掘って、砂質層や粘土層からは、「シールド工法」を採用しています。
不運なことに、たまたま薄くなっていた岩盤をロックボルトが突き抜けたのか、または突き抜けることはなくても岩盤の亀裂や風化部分に当たり、そこから地下水が浸み込んできたのか、いずれにしても、少しでも脆くなった部分があると水圧の力はものすごいもので、小さな穴も、あっという間に広がってしまいます。
福岡市は、工事開始後に、固い岩盤の幅が波打っていたことを見つけ、岩盤の厚さを2m以上確保するように、8月に現場周辺の設計を一部変更していたそうです。
そして、直前のボーリング調査で、現場近くの地層が傾斜していることも判明したそうで、トンネル天井高を約90cm低くする設計変更もしています。
施工業者の大成建設も、地盤の変化を感知する最先端の技術も導入していたそうです。
そして、ボーリング調査ですが、いくらボーリングを多くしても、たった66mmの径なのですべての地質を把握するのは困難です。
九州大学の教授の三谷泰浩さん(地盤工学)は、岩盤層上部には風化が進み、水を遮る粘土化した部分があるとし「他の場所に比べ粘土化が進んでおらず、水を通しやすかったかもしれない。事前のボーリング調査では把握しにくい」と話しています。
これだけ最新の技術と細心の注意をしていても複雑な地質では事故は起こるということです。

そして、まだまだ再開は難しいみたいです。
施工業者などによると、延伸工事中のトンネルには事故現場から約100mにわたり、陥没した土砂が入り込み、博多駅側には水が充満しているそうで、工事再開には除去作業から始めないといけないそうです。

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九州地質調査業協会が1981年に作製した福岡地盤図によると、現場の地層は岩盤が急激に落ち込んでいます。
こういった地層のところに駅ができることこそが困難だと思えます。

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ちょうど工法の変更箇所の近くでの事故です。

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ものすごい陥没です。
伊予銀行やアパマンショップの下はもう宙ぶらりんです。
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