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空石積と練石積について

石積には、空石積と練石積があります。

空石積は、文字通り石だけで積みます。
角をハンマで割ったり石の形状を上手に組み合わせたりしながら背面土圧に対抗する応力を経験的に考えながら積みます。
石ががっちり組み合わさるため熟練者の積んだものはちょっとやそっとでは壊れませんが、練石積が少しくらい積めると言う人が積んだものは途中の石を引っ張れば簡単に抜けてしまうこともあります。
今では、この空石積が積める職人さんが減ってしまっているようです。
そのせいか、見かけてもほとんど古いものばかりです。
これに対して、練石積は、石を積む際にコンクリートを使用します。
コンクリートで、接する石同士の一体化を図るためいくつかのルールさえ守れば仕上りの美観を優先して施工できます。
少し器用な人であればすぐ積めるようになるそうです。
練石積では、胴込コンクリートも使います。
これは、練石積において石同士を連結するためのものです。通常、石の控長(25cmの石なら25cm)までの部分です。
また、裏込コンクリートも使う場合があります。
裏込コンクリートは、胴込コンクリートからさらに厚くする部分であり、石積の安定計算の結果により、厚いものでは数10cmも厚くします。
このように、現在では安定計算をして断面の大きさを決めることになります。
空石積では、背面土圧に対しての支持力はほとんどないはずなのに、不思議と安定しています。
これも昔の人の経験の成せる技なのでしょうか。

石積にも、いろいろな積み方があります。

①玉石を用いた布積み。
②間知石を用いた布積み
③間知石を用いた乱積み
④玉石を用いた乱積み。
⑤割石を用いた乱積み。
⑥玉石を用いた谷積み。
⑦間知石を用いた谷積み。
⑧野面石を用いた谷積み。
三個の石で常に谷が出来るように積む。

P1210014.jpg
空石積です。
れは、玉石を用いた谷積みですが、きれいに積んでいます。

P1210016.jpg
練石積です。
これも、玉石を用いた谷積みですが、上写真の空石積に比べるとやや技術に劣りがみえます。
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治山事業について

都道府県で行っている事業のうち治山事業があります。

治山事業とは、森林法に基づき、森林の持つ水源のかん養及び山地災害の防止、生活環境の保全等の様々な働きを高度に発揮させるため、保安林内において森林を維持・造成することを目的とした事業で、保安施設事業とも言います。
地すべり等防止法に基づく保安林(森林)内での地すべり被害の除去・軽減を目的とした地すべり防止事業もこの治山事業に含まります。
つまり、山地の荒廃を防ぐことを目的としたもので、山地の荒廃は、
・渓流荒廃
・山腹荒廃
の2つに分けられます。
①渓流荒廃
治山事業でいう「渓流」とは、山林の中を、水が集まって流れる部分を指します。
したがって、山林を離れて、耕地や集落に流れた部分は「渓流」ではありません。
渓流の荒廃とは、
・浸食の進行・・・・渓流を流れる水の勢いによって、渓流の底や岸が削りとられたり(「浸食」)、渓流がクネクネと蛇行し、広い幅の部分を浸食している(乱流)状態を言います。
・不安定土砂の堆積・・・・浸食によって発生した土砂や、山腹の崩れによって落ちた土砂が、不安定な状態で、渓流の中に多量に貯まっている状態です。
このような渓流荒廃を放っておくと、不安定土砂が雨水と一緒に土砂流や土石流として流れ出し、集落や農地、道路などを襲い、人命や財産に被害を与えるおそれがあります。
また、渓流荒廃が、山腹荒廃を引き起こす要因となることもあります。
②山腹荒廃
山腹荒廃とは、山の斜面が崩れて(「崩壊」)落ちた(「崩落」)状態で、さらに崩壊が広がりそうな状態や、崩落した土砂が流れ出しそうな状態のことを言います。
山腹荒廃の種類としては、山腹の表面の土砂だけが崩落する「表層崩壊」、山腹の地面深くから崩壊する「深層崩壊」などの「山腹崩壊」、山腹上に点在する岩石が崩落する「落石」、そして、雪が深い地域では「なだれ」も含まれます。
山腹荒廃を放っておくと、崩落した土砂が人家や道路などを襲い被害を与えることが、最も深刻な問題です。
また、一度崩落した山腹の斜面には、放置した状態では樹木などの植物が再生しにくいので、森林の公益的機能を低下させてしまいます。
愛媛県では、林業課がこの治山事業を行っていますが、ここで設置されるダムには、その目的や機能によって
(1)えん堤工
えん堤工は、
①渓流の勾配を緩くして、川底や川岸の浸食を防ぐ
②川岸斜面を安定させ、崩壊の発生を防ぐ
③川底に貯まった土砂が流れ出ないようにする
④上流で土石流が発生しても、川底や川岸が削られて勢いがつくのを抑えるとともに、下流への流出を防ぐ
上記を目的に大きな流域に設けられ、規模も治山事業では一番大きいものとなります。
(2)谷止工
えん堤工の目的のうち、
①渓流の勾配を緩くして、川底や川岸の浸食を防ぐ
②川岸斜面を安定させ、崩壊の発生を防ぐ
③上流で土石流が発生しても、川底や川岸が削られて勢いがつくのを抑えるとともに、下流への流出を防ぐ
上記を目的に、比較的小さな渓流に階段状に設けられている所が多く見られます。
(3)床固工
えん堤工の目的のうち、
①川岸斜面を安定させ、崩壊の発生を防ぐ
②川底に貯まった土砂が流れ出ないようにする
③上流で土石流が発生しても、川底や川岸が削られて勢いがつくのを抑えるとともに、下流への流出を防ぐ
上記を目的とするもので、特に土砂が堆積している下流部で階段状に連続して設けることが多いのが特徴です。
また、水の流れを規制することを目的に、これら床固工と護岸工を組み合わせたものを流路工と呼んでいます。
(4)山腹基礎工と山腹緑化工
また、山腹荒廃に関する治山施設として、「山腹基礎工」と「山腹緑化工」があります。
「山腹基礎工」とは、崩れを食い止める基本的な構造物で、土の重さを受け止める働きをするのに対して、「山腹緑化工」は、山腹の表面の動きを止めるとともに、早い時期に植物が生育するようにします。
1)土留工
山腹基礎工の主なものが、「土留工」です。
崩れた山腹の最下部や、中腹のところどころに、等高線に沿った形に壁を設置します。
土留工の役割は、山腹をしっかりと固定することで、上部から落ち崩れようとする土砂を抑えます。
設置場所や土質によって、コンクリートや、コンクリートブロック積、金属の枠に石などを詰めたもの(鋼製土留工)、丸太を組んだものなど、様々な材料を使用します。
大きな土の圧力がのしかかる部分ではコンクリート製とし、あまり土の圧力がかからない部分ではコンクリートブロック積製を使うのが一般的です。
設置する地盤が柔らかかったり、土に浸みた水の圧力がかかるようなところでは、歪みに強く水を通しやすい「鋼製土留工」を使います。
2)木柵工
木柵工は、その名の通り、丸太で造られた柵です。
分類としては「山腹緑化工」に含まれますが、基礎工と緑化工の中間的な働きをします。
高さは、地上に出ている部分で50センチメートル前後のものが一般的につくられています。
木柵は、上部からの大きな土の圧力を受けるようなことはできませんが、山腹のごく表面の土砂の動きを止めることができます。
表面の土(「表土」)の動きを止めることは、森林を再生させるために、非常に重要なことです。
表土が動いている限り、植物の種子などが落ちて発芽しても、その芽はすぐに流されてしまい、いつまでたっても植物が再生しません。
しかし、表土の動きが止められると、自然の植物がきわめて再生しやすくなります。
3)筋 工
筋工は、山腹緑化工の代表的な方法です。
筋工は、斜面の等高線に沿って、細かい帯を何本も入れていくような緑化工です。
筋状にすることで、筋と筋のあいだに樹木の苗木を植栽できることが大きな特徴です。
筋工による緑化では、植物の種子が含まれた資材や苗木を帯状に並べるのといっしょに、その支えとなるものを設置することが一般的です。
支えとするものとして、現在もっとも使用されているのは、丸太です。
丸太筋工と呼ばれ、木柵を低くしたようなもの(高さは10cmから20cm)を設置し、それに沿って植物の種子が付着している布状のもの(植生帯)を張り付けたり、苗木を植えたりします。
丸太筋工のほかには、土のう(土を詰めた袋)を並べた「土のう筋工」、石を積んだ「石筋工」、木々の細い枝を束ねて並べた「そだ筋工」などがあります。
4)伏 工
伏工は、山腹緑化工の代表的な方法です。
伏工は、斜面全体を植物の種子などが含まれたシートなどで覆(おお)い、金属などのピンで固定する方法です。
斜面が急で、筋工などの方法が使えないような場合に使います。
シートとはいっても、その材料は様々で、「稲のわら」をつなぎ合わせてシート状にした「わらむしろ張り伏工」や、天然繊維や化学合成繊維のネットを使用した、「ネット伏工」などがあります。
現在では、重量が軽く強度のある化学合成繊維のネットが、もっとも多く使われています。
「わらむしろ伏工」は、小規模な部分でよく使用されています。
伏工に使用される植物の種子は様々ですが、多くのものには牧草類が混入され、
なるべく早い時期に草の根によって斜面が安定するように配慮されています。
近年では、様々な製品が開発され、ある程度の時間がたつと、微生物などによって分解され土になる、「生分解性」の化学合成ネットや杭なども使用されます。
5)厚層基材吹付け工(客土吹付け工)
土砂の層が薄い山腹崩壊地では、岩盤が露出してしまうことがあります。
岩盤では、表土がないため、筋工や伏工などの緑化工法では植物が育ちません。
そういう場合に、厚層基材吹付け工という方法で緑化します。
厚層基材吹付け工とは、植物が生育しやすい基盤材や土、肥料、水、そして植物の種子をタンクの中で混ぜて、泥のようになったそれらを圧力ポンプでホースに送り、岩盤に吹付ける方法です。
岩盤の表面には、種子入りの泥が付着しやすいように、あらかじめ金網などを張っておきます。
6)法枠工
急傾斜の斜面で、亀裂が多く入り、崩れやすくなったような岩盤では、厚層基材吹付け工ではとても斜面を抑えきることができません。
そのような場合、格子状のコンクリートなどで斜面を抑えつけ、その枠の中に厚層基材吹付け工を行います。
この工法を、「コンクリート法枠工」と呼びます。
コンクリートの枠は、斜面の状況によっては柱のように太くしたり、半円形に吹付けたりと、いくつかのバリエーションがあります。
小規模な斜面では、丸太を格子状に組んだ「丸太法枠工」を施工することもあります。
7)その他の渓流荒廃に関する施設
山腹荒廃地での施設は、他にも、「モルタル吹付け工」「水路工」「暗渠工」など様々ありますが、それらの工法をとりまぜて、崩壊した山腹を安定させ、緑に戻していきます。

丸太杭について

擁壁など、簡易な構造物で、軟弱地盤に施工する時には丸太杭が今でも使われています。
この丸太杭について調べてみました。

(1)丸太杭の長所・短所
コンクリート杭や鋼管杭と比較した場合での、丸太杭の長所および短所を調べてみました。
1)丸太杭の長所
①軽量
丸太杭は、コンクリート杭や鋼管杭に比べて軽量です。
したがって、鉛直支持力の面で有利となり、重量の割に十分な強度を備えています。
②地盤との密着性
杭打設時に発生した周辺粘土中の過剰間隙水圧は、杭周面に水膜を発生させることになりますが、丸太杭はその特性から水膜を吸収するので、地盤との密着性が確保されます。
③軟弱地盤における施工性
大規模な施工機械を必要としないため、軟弱地盤における施工性に優れています。
④無泥水・無排土での施工
無泥水・無排土での施工及び間伐材の利用が可能であり、材料としては他の材質による杭よりも経済的であり、常時水面下であれば腐らず耐久性があります。
⑤温室効果ガス削減に貢献
丸太杭に加工される樹木が大気中の二酸化炭素を吸収固定し、それを地中に打設することから、二酸化炭素を地中貯蔵し温室効果ガス削減に貢献しています。
2)丸太杭の短所
①雪害・獣害による変形
材料の寸法、特に雪害・獣害による形状(根曲り・先折れ等)にばらつきがあり、品質確保と品質管理の上で注意が必要となります。
②地下水より上は腐朽
地下水より上の部分は腐朽しやすいので、対策が必要となります。

(2)丸太杭の耐久性
1)木材劣化の要因について
木材は、長期的に使用できる生物素材ですが、さまざまな理由で劣化していきます。
時間の経過とともに劣化が進むと木材の強度低下などの問題が発生し、目的とした使用に耐えられなくなります。
それに至るまでの時間は、外部の環境条件や木材の種類、発生した劣化の種類などによって異なってきます。
ここでは木材に発生する劣化の種類について解説します。
①木材腐朽菌による劣化(褐色腐朽,白色腐朽,軟腐朽)
木材が劣化する主な原因の一つで、一般的にキノコとして知られている担子菌類によるものが多く見られます。
分解の仕方により、3種類に分けられ、これらを引き起こす菌類を木材腐朽菌類と呼んでいます。
・褐色腐朽
褐色腐朽は、針葉樹材に多く、木材の主要成分であるセルロース、ヘミセルロースが分解されますが、リグニンはほとんど分解されないので、腐朽した材は褐色に見えます。
・白色腐朽
白色腐朽は、広葉樹材に多く、セルロース、ヘミセルロース、リグニンのすべてが分解されるので、腐朽した材は、白色に見えます。
・軟腐朽
軟腐朽は、セルロース、ヘミセルロースを分解しますが、褐色腐朽のようにセルロースを急激に分解はしません。
リグニンも幾分は分解します。
原因となる菌は、子のう菌類や不完全菌類であり、橋脚材や土壌に接する高含水率状態の木材を腐朽させます。
②その他の菌類やバクテリアによる劣化(表面汚染菌,変色菌、バクテリア)
これも3種類に分けられます。
・表面汚染菌
表面汚染菌は、真菌類のいわゆるカビで、木材表面の糖などしか利用できないので、質量減少や強度低下などの劣化は大きくありません。
・変色菌
変色菌は、主に子のう菌類が原因で、木材の辺材部に変色を起し辺材内部にまで影響します。
しかし、木材の構成要素であるセルロースやリグニンはほとんど分解されないので、強度低下などにはあまり影響しないといわれていますが、衝撃曲げ強度が若干低下するという報告もあります。
・バクテリア
バクテリアは、木材が湿った環境下にある時、初期に侵入してきます。
また、長期間、池や河川に貯木したり、地中に埋めたり、海水中に浸積したとき、特殊な環境下ではバクテリアによる劣化が生じます。
ただし、木材腐朽菌(担子菌など)と比べ、質量の減少(バクテリアによる分解)は少なく、実際にどの程度木材を劣化させるかについては、詳しくは明らかになっていません。
③虫による劣化(シロアリ,その他による被害)
虫による劣化において、もっとも被害が大きいのはシロアリによる食害です。
日本ではヤマトシロアリやイエシロアリの被害が多く見られます。
住宅等における虫害にはヒラタキクイムシなどの甲虫類による被害もありますが、土壌中の湿った環境で使用する丸太の場合には無視しても良いそうです。
④ウェザリング(weathering)による被害
野外に暴露することにより劣化する現象で、一般的には紫外線や光酸化によるリグニンの分解などがあります。
野外に暴露すると、1週間程度で黄変がみられ、その後退色により白くなります。
さらに進むと1年もたたないうちに暗い灰色に変色します。
分解された成分は、水可溶性の成分になることで、木材表面から溶脱していきます。

(3)木材が腐朽する条件
木材劣化の要因の中から、木材の強度低下をもたらす最も重要な原因の一つである木材腐朽菌(褐色腐朽菌、白色腐朽菌、軟腐朽菌)による劣化、腐朽の発生条件について調べてみました。
木材の腐朽が発生するには、腐朽菌が活動するために必要な水分、空気(酸素)、温度の条件が大きく関係しています。
これら必須条件のうち、いずれか1つでも腐朽菌が好まない方向へと変えてやり、その状態を維持することができれば木材腐朽の活動を大幅に抑えることができます。
ここでは、腐朽菌が活動するために必要なそれぞれの条件について解説します。
①水分
木材腐朽菌の生育には水を必要とします。
木材中に含まれる水分量を含水率と呼び、湿った
状態の木材中に含まれる水分量をその木材を乾かした際の木材の質量で割った値の百分率で表すと、
  含水率(% )=(湿った木材の質量-完全に乾いた木材の質量)÷完全に乾いた木材の質量が、40%~150%の範囲で腐朽が生じやすいと言われています。
②空気(酸素)
生物が活動していくには、必ずエネルギーを必要とします。
このエネルギーは、栄養分を分解することで獲得されますが、その方法には、酸素を必要とする「呼吸」と、酸素を必要としない「発酵」の2つの方法が存在します。
木材の腐朽をもたらす木材腐朽菌は、呼吸を行う生物の仲間であるため、空気(酸素)の存在しない環境下では活動すること(エネルギーを得ること)ができません。
したがって、木材の腐朽も生じません。
水中などで長期に木材を保存した場合、木材内部の細胞空洞すべてに水が満たされることになります。
そうなると、結果的に酸素不足になり、木材は腐朽しにくくなります。
③温度
木材腐朽菌の生育は、温度によって影響を受けます。
一般的に低温では生育が悪く、適温で最も繁殖します。
高温になると菌の生育が悪化し、ついには死滅するか胞子による休眠状態に陥ります。
木材腐朽菌が生育できる温度は、およそ0℃~50℃だそうです。

橋桁の構造による分類

ほぼ毎日のように利用し、私たちの生活には欠くことのできない橋ですが、この橋には様々な分類法があります。

用途により分類すると
①道路橋
②鉄道橋
③水路橋
④歩道橋
⑤併用橋
などがあります。
材料により分類すると
①木橋
②石橋
③鋼橋
④鉄筋コンクリート橋
⑤合成橋
などがあります。
橋床位置により分類すると
①上路橋
②中路橋
③下路橋
④二重橋
などがあります。
橋が動くかどうかにより分類すると
①固定橋
②可動橋
などがあります。
このように、橋だけでもそれぞれに分類する事ができます。
最後に、橋桁の構造から現代の主要な橋を分類すると、だいたい以下の5種に分類する事ができます。

(1)桁橋
桁橋とは、最もシンプルで、古くから用いられてきた橋梁形式で、私達が身近に最もよく見かける橋です。
橋桁は、向こう岸に板などを渡しただけの単純な仕組みで、小さい川に架かっている多くがこの形です。
丸太を一本小川に架けて即席の橋とした場合も、分類上は桁橋になります。
昔は木材が使われましたが、鉄の出現により現在では相当長い桁橋も可能になりました。
短い距離に橋を架ける場合はこの橋梁形式が経済的で、スパン(橋の両端の距離)が50m以下の場合はだいたい桁橋として造られます。
桁橋は、鋼材をI形断面、あるいは箱形断面に組み立てて桁とした橋梁で、それぞれ「鈑桁橋」、「箱桁橋」といいます。
桁橋は車両や人々が通行する床版と、それを支える主桁から構成されます。
床版にはRC床版、鋼床版、合成床版、PC床版などがあり、床版と主桁が一体となって荷重に抵抗する構造を合成桁橋、主桁のみで抵抗する構造を非合成桁橋といいます。
一般的な適用支間は25m~150m程度ですが、世界最大支間の桁橋はCosta e Silva橋(ブラジル)で支間長300mがあります。
橋の上を自動車が通ると、橋桁は自動車の重みによって曲がります。
これにより、橋桁内部の上側には、圧縮力(物体を押しつぶそうとする力 )が生じ、下側に、引張力(物体を引き伸ばそうとする力)が生じます。
また、橋の材料として使われるコンクリートは、「圧縮には強いが、引張には弱い」という特性があります。
そのため、引張が生じる部分は、鉄筋等で補強されています。
なお、桁を両端で支えたものを「単純桁」といい、3箇所以上で支えたもの(両端に加え桁の中央を橋脚で支えたもの)を「連続桁」といいます。

(2)トラス橋
桁橋で長い橋を架けようとすると、橋桁の高さをかなり高くしなければなりません。
そこで考え出されたのが、トラス橋です。
トラス橋とは、橋桁を「トラス構造」で補強した橋のことをいい、変形しにくいという特長を持っています。
「トラス構造」とは、三角形は力がかかっても形を変えたり歪んだりしないというトラスの原理に基づき、三角形を隣り合わせにする事でより力を強くした構造です。
つまり、四隅をピンでつなげた四角形に、横から力を加えると、平行四辺形に変形しますが、三角形の場合は、横から力を加えても、変形しにくく、部材軸方向の力で抵抗することを原理としています。
数多くの棒状の部材を三角形に組み合わせる事によって、しっかりとした骨組みに作り上げています。
最近のトラス橋は、上下の部材が平行で、正三角形が並んだような、所謂「平行弦ワーレントラス」が多く見られますが、古いトラス橋には、上弦材がアーチ状に折れ曲がった「曲弦トラス」もあります。
トラス橋の形式には特許を取得した人々の名前がつけられ、ハウ、プラット、フィンク、ボールマントラスなどがあり、現在ではワーレントラスが最もよく用いられています。
トラス橋の一般的な適用支間長は、50~110mですが、世界最大のトラス橋は支間長549mのQuebec橋(カナダ;1917年)があります。

(3)アーチ橋
アーチ橋は、古代から利用されてきた橋梁形式で、虹のように弧を描いた美しい形の橋で、両端の圧縮力で橋を支える力学的合理性も備えています。
アーチ橋は、上向きに弓なりの形をしているのが特徴です。
アーチ橋は、古来から石橋があるように、石を積み上げて作ることができます。
これはアーチ型の構造物には、引張力(物体を引き伸ばそうとする力)が生まれず、圧縮力しか生じないからです。
ただし、アーチ橋を架けるには、強固な地盤が必要となります。橋に対して横方向にかかる力を支えるためです。地盤が弱い場合は、横方向に部材をつなげることで、力を受けもちます。
・両端が固定された固定アーチ
・両端が回転可能な2ヒンジアーチ
・アーチの中央にピン(ヒンジ)び入った3ヒンジアーチ
の3種類が基本的な構造スタイルです。
アーチの材料は石、木、鉄、コンクリートなど様々なものが使われています。
アーチ橋は、弧状の主部材の両端を水平方向に固定し支持するもので、桁とアーチとの位置関係から上路アーチ、中路アーチ、下路アーチがあります。
アーチ橋には、全ての力をアーチリブに受け持たせ、地盤に水平反力をとらせるアーチ橋と、両支点部に生じる水平反力を路面の桁に受け持たせるタイドアーチ構造が一般的です。
タイドアーチには、ランガー、ローゼ、ニールセンなどの形式があります。
一般的な適用支間長は50~170m程度で、世界最大のアーチ橋は支間長550mの上海盧浦大橋があります。

(4)斜張橋
斜張橋とは、橋桁を塔から斜めに張られた複数のケーブルで吊り、引張力で支える構造の橋です。
吊橋に次いで長い支間(主塔と主塔の間隔)を造るのに適した橋です。
桁橋、トラス橋、アーチ橋に比べると、斜張橋は長い距離の橋を架けることができるのが特長です。
ただし、塔からケーブルで橋桁を直接吊るという構造上、長い橋を架けるためには、それだけ高い塔が必要となります。
主塔から斜めに張り渡されたケーブルで長い橋桁を吊った形で、現代的な美しさを持つ橋といわれています。
一般に斜張橋のスパンは80~500m程度が多いですが、コンピュータによる解析技術の進歩や強いケーブル材料の開発などにより、近年急速に発展し、長大化が進んでおり、現在斜張橋としては世界一の長さを誇る西瀬戸自動車道の「多々羅大橋」は、中央スパン890m、全長1480mもの長さがあり、技術的には900mくらいまで可能になっています(それ以上のスパンになると吊橋になります)。
斜張橋は、先に述べたように、桁橋の支間の途中を数箇所で、ケーブルによって斜上方に支持するもので、主塔、ケーブル、桁で構成されます。
主塔の形式には1本柱、2本柱、H型、A型、逆Y型、門型、ダイヤモンド型などがあり、ケーブルの張り方には、1面吊、2面吊、ファン形式、ハープ形式などがあります。

(5)吊橋
吊橋とは、塔の間を渡るメインケーブルから垂らしたハンガーロープで橋桁を吊り、引張力で支える構造の橋です。
橋の中では最も長い支間を造るのに適した形で、橋全体を強いケーブルで吊り、支間を確保する位置に主塔を建てます。主塔が吊橋全体の重さを支え、ケーブルの両端はアンカレイジと呼ばれる大きなコンクリートでしっかりと固定されます。
ケーブル形状は山並みと思わせる緩やかな放物線ですが、優美な美しさを感じさせる橋です。
斜張橋と似た構造ですが、斜張橋が塔と橋桁とが直接ケーブルで吊っているのに対し、吊橋は、塔の間を渡したメインケーブルがあり、そこから垂らしたハンガーロープで橋桁を吊っている点が異なります。
吊橋は、橋の中でも最も長い距離の橋を架けることができる構造です
吊橋は主塔、ケーブル、桁、アンカレッジからなり、桁にはアメリカで主に採用されているトラス桁形式と、イギリスで開発された、航空力学を応用した軽量の箱桁形式があります。
吊橋は、常に超長大橋として採用され得る形式で、一般的な適用支間長は、150m~2000m程度ですが、世界最長の橋は、神戸と淡路島を結ぶ、中央スパン1991m、全長3911mの吊橋「明石海峡大橋」だそうです。

「トンネル」「随道」「洞門」「覆道」の違いについて

道路を走ると「トンネル」「随道」「洞門」「覆道」など、「トンネル」みたいな構造があります。
この違いは何なのか調べてみました。

まず「トンネル」( tunnel)ですが、地上から目的地まで地下や海底、山岳などの土中を通る人工の、または自然に形成された土木構造物であり、断面の高さあるいは幅に比べて軸方向に細長い地下空間をいうようです。
1970年のOECDトンネル会議で「計画された位置に所定の断面寸法をもって設けられた地下構造物で、その施工法は問わないが、仕上がり断面積が2m²以上のものとする」と定義されています。
人工のものは道路、鉄道(線路)といった交通路(山岳トンネル、地下鉄など)や水道、電線等ライフラインの敷設(共同溝など)、鉱物の採掘、物資の貯留などを目的として建設されています。
この「トンネル」ですが、日本ではかつて中国語と同じく「隧道」(すいどう、ずいどう)と呼ばれていました。
常用漢字以外の文字(隧)が使われているために、第二次世界大戦後の漢字制限や用語の簡略化、外来語の流入などの時代の流れにより、今日では一般的には「トンネル」と呼ばれるようになりましたが、「トンネル」の正式名称に「隧道」と記されることも多く見られます。
特に、古い時代に建設されたものに多く見られます。
鉄道や道路の「トンネル」には入口と出口が決められており、起点に近い方が入口となっています。
新幹線で例えると、東京寄りの坑口が入口であり、その逆が出口となります。
次に「洞門」(どうもん)ですが辞書で調べると、
① ほらあなの入り口、また,ほらあなの入り口に作られた門
② 落石・雪崩防止のため,道路に接した擁壁を用いて設けたトンネル状の工作物
と書いてあります。
あと「覆道」(ふくどう)ですが、これは雪崩や落石、土砂崩れから道路や線路を守るために作られた、「トンネル」に類似の形状の防護用の建造物のことだそうです。
そして、道路用のものは「洞門」と呼ばれることが多いとのことで、他には「覆い工」、「シェッド」、「シェード」とも呼ばれています。
雪対策のものは「スノーシェッド」、岩石対策のものは「ロックシェッド」と言い、両者を兼ね備えるものもあります。
「覆道」もしくは「洞門」は、主に、海岸沿いや川沿いで山や崖が道路や鉄道の近くまで差し迫ったところに作られています。
「トンネル」の一種と捉える説もありますが、「覆道」「洞門」の谷側は完全に吹き抜けになっていることが多いので、どうやら、「トンネル」と「覆道」もしくは「洞門」との違いは、この「明り取り」の有無のようです。
「トンネル」に接続するものも多く見られますが、「覆道」もしくは「洞門」と「トンネル」とで断面が変わるためにすぐに見分けがつくことも多いです。
「覆道」「洞門」は断面が長方形のものが多いのに対し、「トンネル」は、大洲~八幡浜間の夜昼トンネルのように長方形もありますが、円形のものが多いのが特徴です。

PA290193.jpg
愛媛県と高知県の県境にある「洞門」です。
長方形で、「明り取り」もあります。

PA290192.jpg
山を掘削して施工したのではなく、山側擁壁を用いて、落石防止対策をしているような構造です。
私は、当初は土被りが厚いのが「トンネル」「随道」で、土被りがないとか薄いのが「洞門」「覆道」と思っていました。
でも、これも概ね間違いではないようです。
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